イラストレーターの竹脇さんが育った奥深い住宅地。この場所で日々繰り広げられていた、たくさんの猫たちと犬たちの物語をつづります。たまにリスやもぐらも登場するかも。

(末尾に写真特集があります)

なぜか猫に出会ってしまう姉

 私には人間の、一つ年上の姉がいる。

 これまであまり登場しなかったのには理由がある。

 姉は長女・初孫で、親族全員からものすごく可愛がられて育った。

 それゆえお姫様気質なところがあり、「猫のごはんの匂いが苦手」などと言って、猫のお世話をあまり手伝わない人だった。

 猫は可愛いけれど、麻衣ちゃんよろしくね、というわけだ。

 しかしなぜか姉は、外出するとしょっちゅう猫を拾ってきた。

 母と買い出しに行っては駐車場で猫を拾い、近所の大きな公園に遊びに行っては猫を拾い、ゴミの日にゴミを捨てに行っては猫を拾ってきた。

 我が家だって無限に猫を飼えるわけではないから、母も「ゆかちゃんが出かけると、猫に出会ってしまって……」と困惑していた。

竹脇麻衣ねこのイラスト
なぜ???

お世話をしなかった姉が覚醒

 さて、そんな姉が拾ってきた猫たちのお世話をするかというと、しないのだ。

「ああ、かわいそう、かわいいそう」と拾ってきては、いそいそと遊びに行く。

 たまに「少しは手伝ってくれないかな……」と、泣きたくなる時もあった。

 そんな私を神様がふびんに思ったのかどうか知らないが、とうとう姉にも「運命の日」がやってきた。

 大学生になった姉は母と車で買い出しに行き、私道のゴミ置き場でモソモソと動くゴミ袋を見つけたのだ。

 姉はすぐにピンときて車から降り、その袋の中をのぞくと、生まれたばかりの子猫が2匹入っていた。

 この時、姉の眠っていた母性がカッと目を覚ました。

 家に着いた途端、姉は脇目もふらず、この猫たちのお世話をし始めた。

 あまりにも突然の“覚醒”に、私も母も「ゆかちゃん、どうしちゃったのかしら?」と、顔を見合わせた。

 けれど猫のお世話の人手が増えることはとても喜ばしいことなので、そのまま姉に子猫たちを託すことにした。

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乳母、開眼!

面倒見のいい猫に育った

 まだ乳飲み子の2匹は、姉の耳たぶをお乳だと思いこみ、よじよじと登ってきては、姉の耳を嚙んだ。

 姉は嫌がることもなく四六時中嚙ませていたので、とうとう両耳たぶは、ひどく膿んでしまった。

 容姿をとても気遣う姉が、それすらも全く気にせず、開けたてのピアスの穴を消毒して薬を塗り、誇らしげにばんそうこうを貼っていた。

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耳たぶで寝かしつけ

 キジ柄の男の子をペレ、白くて尻尾の長い女の子をクリームと名付け、それはそれは溺愛していた。

 そして姉の遺伝子をなぜが引き継いだ2匹は、華やかで可愛くてちょっぴりワガママに成長したが、新入りの子猫たちの面倒もよく見る、とても優しい姉弟猫だった。

 ペレとクリームのおかげで、姉はちゃんと猫のお世話をするようになり、現在もデレデレと猫たちと暮らしている。

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立派に成長しました

猫のためにできることを

 しかしオソロシイことに、猫を拾う姉の体質は今も健在だ。

 ただし持ち前の豊かな社交性を生かして、猫を迎え入れてくれる人を次々に見つけてきてくれるので、母も私も安心している。

 自分たちの年齢を考えると、もうむやみに飼い猫を増やすことはできない。

 母は一生懸命TNRの活動をして子猫が増えないように頑張っているが、実家の庭には、まだたくさんの地域猫がやってくる。

 母は楽しそうに、そんな猫たちと大好きな庭の手入れをしているが、新しくご近所さんになった人の中には考えが違う人もいて、なかなか苦労している。

 地域猫が穏やかに暮らせる社会になって、そして地域猫を増やさないことについて、もっともっと理解されるといいな、と切に思う。

【前の回】

目やにだらけだった白い子猫「太郎」 奮闘するも子育ての難しさを知った

※竹脇麻衣さんも出演するオンライントークイベント「犬も猫もどっちもかわいい!」を10月21日(木)20時〜生配信します。ご視聴は

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