調査室内に置かれた2つのトイレとネコ(イラスト:長崎訓子)

 ネコと暮らしてる人にとって永遠の悩みであるトイレ問題。どんなサイズや形のトイレがいいのか、砂の大きさや置き場所など、ネコの好みは千差万別です。また、ずっと同じトイレでうまくできていたのに、突然そそうをするようになることも。もしかするとその原因はトイレにあるのかもしれません。

 そこで今回は、ネコのトイレと排泄(はいせつ)にまつわる論文 " Does previous use affect litter box appeal in multi-cat households? " を紹介します。

理想的なネコ用トイレとは

 ネコの排泄は、主にマーキング行動と排尿・排便にわかれます。野生の場合、自分のエリアに排尿しマーキングすることで、別のネコがやってきた時にその信号を受け取る合図となります。知らないネコ同士の場合、マーキングすることでお互いのエリアを確認する信号の役割を果たしているといわれます。排尿・排便については、意図的な信号を発するわけではないですが、どこに誰がいたのか、という情報にもなります。

 ではネコが好む理想的なトイレとはどのようなモノなのでしょうか。まず砂に関しては、シリカゲルよりも固まるタイプの砂、そしてより粒が細かい砂を好むネコが多いことがわかっています。

 またカバーのついたトイレとカバーなしトイレでは好みの差はありませんでしたが、より大きいトイレのほうを好むようです。そして排尿・排便後はすぐに掃除することが推奨されてきました。ちなみに、多頭飼いの場合、ほかのネコが使ったトイレをいやがるネコがいるとのことで、飼育頭数プラス1つ多めにトイレを設置するのが良いといわれています。

 ただ、トイレにまつわる何が一番嫌なのか。他のネコが使った後の匂いなのか、掃除がされていないことなのかはわかっていませんでした。そこで、アメリカ・ミズーリ州にあるネスレ・ピュリナ・リサーチの研究チームは、多頭飼いの場合のネコたちのトイレの好みについて調査しました。

匂いよりもその存在がイヤ!

 調査方法は、1〜12歳までのネコを対象におこないました。室内にオープンタイプのトイレを2つ設置し、すべてのトイレに同じ砂を入れます。何も入っていないきれいなトイレ、プレイルームで一緒に遊んだことのある知っているネコの本物のおしっこやうんち、おしっこを模した生理食塩水の尿とゼラチンで作った偽物のうんちを置きます。それぞれの組み合わせを2択で、どちらのトイレを好むか調べました。1つの組み合わせにつき計4日間、それぞれ16〜29匹が参加しました。

 ちなみに、偽物のうんちは本物のうんちをシリコンで型取り、ゼラチンを流し込んで作られました。想像するだけでもシュールな調査風景です。

おしっこに見立てた生理食塩水とゼラチンで作ったうんち(イラスト:長崎訓子)

 結果は、何も入っていないきれいなトイレが一番人気でした。ネコを飼っている人は、掃除をした途端、待ってましたとばかりにおしっこをするといった経験をしたことがある人も多いと思います。そう考えると、きれいなトイレを好むのは当然の結果でしょう。

 意外だったのは、他のネコのおしっこやうんちがあるトイレと自分のおしっこやうんちのあるトイレの使用頻度は違いがみられませんでした。これは調査では知っているネコのうんちを用いたので特に気にしなかった可能性があります。

 また、においがない偽物のおしっこやうんちも好まないことがわかりました。人にとってはにおい自体が嫌なのではと思ってしまいますが、それよりもトイレを使用した痕跡、つまりモノがあるほうが嫌だったのです。

 マーキング行為では匂いが鍵となりますが、今回の調査でわかったのは“モノ”の存在が好ましくないということです。1匹飼いであろうと多頭飼いであろうと、排尿・排便後にはすぐに掃除をしてあげることがネコにとって良いでしょう。

ネコ研究最前線
小さめなトイレにもかかわらず器用に排便をこなす愛猫スカイ

今回ご紹介した論文

Does previous use affect litter box appeal in multi-cat households? 

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