NPO法人「ファミーユ」(名古屋市)は、犬や猫の殺処分ゼロを目標に掲げて、2012年から活動している動物愛護団体だ。これまでに保護や譲渡、看取(みと)った犬や猫は、1千匹を超える。

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老犬や老猫をシェルターでケア

 NPO法人としてのスタート当初から「殺処分ゼロ」を活動の柱に掲げ、動物愛護センターに収容された犬や猫を引き取って保護する活動を続けている。譲渡会を開いて新しい家族との出会いの場をつくるほか、保護猫カフェ「ヘミングウェイ」も運営。ファミーユのシェルターで暮らす猫は、同じ建物内にあるヘミングウェイに「出勤」し、新たな家族との出会いを探している。

保護猫カフェ
保護猫カフェ「ヘミングウェイ」

 動物愛護センターで殺処分対象となった犬や猫の中でも、特に老犬や老猫はもらい手がみつかりにくい。そこでファミーユは、2015年に老犬シェルターを立ち上げた。動物愛護センターから老犬を引き取り、最期の時まで世話をしている。

 同じ年には譲渡対象の猫を保護するシェルターを設け、2019年には老猫シェルターも整備。さらに2021年度からは、猫白血病ウイルス陽性の猫や人になれていない猫、負傷した猫についても、動物愛護センターから引き取りを始めた。

 理事長の熊崎純子さんによると、これまでの10年にわたるファミーユの活動で、譲渡したのは計946匹、看取ったのは計45匹。現在保護している犬や猫たちも合わせると、1千匹以上を保護、譲渡、そして看取ってきたという。「活動を支持してくださる方々がいて、ここまで来られた」と、熊崎さんは振り返る。

女性と犬
ファミーユの理事長、熊崎純子さん

 活動を始めた2012年度、名古屋市の犬の殺処分数は112匹だった。年々殺処分数は減少し、2016年度からは犬の殺処分数ゼロを継続している(引き取り後の死亡を除く)。熊崎さんは、「名古屋市も、それぞれの動物愛護団体も、殺処分ゼロに向けて頑張っている。みんなで力を合わせて、ここまで来たんです」と話す。

「とにかく幸せにしてあげたい」

 団体名のファミーユは、フランス語で「家族」という意味。ペットも大切な家族だ、との思いを込めた。最優先するのは保護した犬や猫たちの幸せだ。

「ボランティア一同、縁あってファミーユに来た犬や猫たちを『とにかく幸せにしてあげたい』という気持ちがとても強いんです」と言う。老犬、老猫シェルターで過ごす犬や猫は、おむつをしたり動けなくなったりと、若い犬や猫より多くのケアが必要となる。1匹1匹に余裕をもって向き合えるように、シェルターの受け入れ数を決めているという。

 活動を支えるのは、寄付とボランティアだ。毎月支援をする会員制度もあるほか、1回ごとに寄付することもできる。また、全国から物資も送られてくるという。企業からの支援もあり、昨年度はパナソニックから“次亜塩素酸 空間除菌脱臭機「ジアイーノ」”を寄贈された。

ケージの中の猫
ファミーユのシェルターで過ごす猫

 ボランティアには現在、200人以上が登録している。活動内容は、赤ちゃんの犬や猫を育てるミルクボランティア、預かりボランティア、看取りボランティアなど様々だ。老犬、老猫シェルターの飼育枠を超えたときは、看取りボランティアの自宅で終生飼養してもらうという。

 活動に協力したいと思ったとき、私たちはどんなことができるのだろうか。熊崎さんは「シェルターのボランティアさんが足りないので、もっと増えてくれるといいなと思っています。また預かりボランティアさん、看取りボランティアさんも増えてくれると、保護できる頭数も増えるのでありがたいです」と話す。

猫トイレの掃除
シェルターで、猫トイレの掃除をするボランティアさん

 さらに、自分の得意分野を生かしたボランティア活動も可能だという。ファミーユでは、保護している犬や猫が亡くなったときの葬儀を、ボランティアの住職が執り行っている。他にも、DIYで犬や猫が暮らしやすいようにしたり、譲渡会の日に関係者にお菓子を振る舞ってくれたり、動画編集をしたり。「自分が得意な分野で、できそうなことを提案してもらえたら」と熊崎さん。

最後まで責任を持って、幸せに

 熊崎さんが繰り返し伝えるのは、終生飼養の大切さだ。

「自分が飼った犬や猫は最後まで必ず責任をもって、幸せにしてあげてほしい。犬や猫にとって、飼い主さんが変わるのは大変なストレスだし、なぜそれが起こっているのかも理解できない。家に迎え入れる時に、どの犬や猫だったら最後まで飼えるのか、自分たちはその犬や猫を迎え入れるのにふさわしい環境にいるのか。可愛いだけでは飼えないことを、もう一度考えてほしい」

 目指すのは、動物保護活動が必要ない社会だという。熊崎さんはこう話す。「私たちは早くなくなることが夢。ファミーユ解散が目標です」

(磯崎こず恵)