愛知県瀬戸市を拠点に、キャットシッターやキャットサロンなどの猫にかかわるサービスを展開する「にゃんコール」。もうひとつ心血を注いでいるのが「つなぐ猫活動」で、家族をなくした猫と新しい飼い主とを結ぶ活動だ。

 昨年、つなぐ猫活動の一環として、新たな縁を待つ猫たちの居場所を作る「仮暮らしハウス」プロジェクトを「

飼い主が余命宣告、残される猫たちを守りたい クラウドファンディングに挑戦中
」で紹介した。ハウスの稼働から1年余。その後の様子と、活発化する「つなぐ猫活動」を改めて取材した。

(末尾に写真特集があります)

ハウスの正式名は「チロの家」に

「にゃんコール」代表の鈴木ゆうこさんは、キャットシッターの顧客Kさんが末期がんで余命宣告を受けたことを知り、残される高齢・闘病中の6匹(当時9〜20歳)のために中古コンテナを活用したハウスをつくろうと決意。

 初めてチャレンジしたクラウドファンディングで集まった金額は265.6万円。さらに直接や送金による支援が118万円あり、計383.6万円を得ることができた。あとの資金は飼い主Kさんからの預かり金とそれまでの活動積立金を充当し、2021年6月にハウスが完成。6匹が無事入居した。

キャットウォークも設けられ、猫が快適に暮らせる仕様。右上には亡き2匹の写真が

「たくさんのご支援に感謝、感謝です」と鈴木さん。「当初は仮暮らしハウスとしていましたが、もっと温かい響きがいいなと思い、6匹の中で一番のお姉さん、20歳の『チロ』ちゃんの名前をもらって『チロの家』としました」

猫たちが安心できる居場所

 引越ししてすぐは緊張していた猫たちもほどなくして新しい家に馴染み、色々な人が会いに来て、声をかけたり、なでたりしてくれたことで人慣れもできた。

「デルタ」。元気!

 一方その頃、飼い主のKさんは徐々に病状が悪化していき、猫たちの新生活が落ち着くと同時に他界した。安心したのだろう、とても穏やかな最期だったという。それから間もなく、もともと腎臓がかなり悪くなっていたチロが他界。まるでKさんの後を追うように、旅立ったそうだ。さらに年明けには、同じく20歳のオス猫「ななお」が旅立った。

 現在「チロの家」にいるのは4匹。いずれも病気があり治療中ではあるが、元気にのびのびと暮らしている。

手前から「ジジ」、「キィ」、「まい」

 成猫、ましてや病気の場合は新しい飼い主を見つかるのはかなり難しい。まとまった数を一度に受け入れるにはスペースが必要だ。そんな理由から、6匹をきっかけにつくった「チロの家」は、他の同じような状況にある猫たちのためにもなる。「ここができたことで、活動がしやすくなりました」と鈴木さん。もう少ししたら、新たな4匹を受け入れる予定だ。

相談が増えている「つなぐ猫活動」

「つなぐ猫活動」への依頼はこれまで、会員向けに解説している「猫のお悩み相談」か、口コミがほとんどだった。そのため数も限定されていたが、ハウス設置をきっかけに地元新聞などで取り上げられ、相談やレスキュー依頼が増加している。

鈴木ゆうこさん。サロンのスタッフ猫と保護中の猫、併せて17匹と暮らしながら活動している

「最も多いのは、猫と暮らしていた親御さんが亡くなられた時や、施設に入居されるといった際に、お子さんからいただく相談や依頼です」

 例えば、「えびぞう」(オス/推定6歳)のケース。飼い主の80代男性が認知症になり、「世話ができなくなった」とお子さんから相談を受けた。

えびぞう。その名前はきりりとした顔から

 そこで鈴木さんがつないだのは、80代の女性Aさん。

「庭に遊びにくるノラちゃんを家に迎えようとしていた矢先に、その子が虹の橋を渡ってしまい……キャットサロンに来て下さるようになった方です。娘さんも『猫といる時のお母さんの目が輝いている』と、猫を飼うことを応援されていました」

 しかしAさんが躊躇していたことから、一旦娘さんのもとで預かり、毎日写真を送って気持ちを揺さぶる作戦に。ところが、娘さんご自身がえびぞうを放せなくなり、そのまま引き取ったのだそうだ。

 えびぞうはAさんの家で過ごすこともあり、周りのみんなに愛され、みんなを幸せにしている。

新しい家族にすっかり馴染み、幸せいっぱい

 えびぞうのケースは結果的に娘さんが引き取り手になったが、高齢の方が引き取り手になるケースも多いという。

 一例が、飼い主の80代男性が亡くなり、あとに残された「福」(メス/7歳)。男性のお子さんから新しい飼い主探しを頼まれた鈴木さんは、以前から成猫の受け入れを希望していた80代の女性につないだ。

「トライアル中から早くも新しいお母さんにべったりで。のびのびゴロゴロ暮らしています」

抱っこされてご満悦の福

活動からサステナブルなシステムへ

 引き取り手が少ない成猫も、シニア世代は受け入れてくれることが多い。また、シニアに飼われていた猫は穏やかな性格の子が多く、うまくいきやすいと鈴木さんは話す。

「保護猫の譲渡には年齢制限があったり、もしもの時の引き受け先の証明が求められたりすることが多いですが、『にゃんコール』はまず“今”を見て、もしもの時はまた一緒に考えましょうというスタンスです」

 成猫に新しい家族ができる。同時に、年齢で猫との暮らしをあきらめないでいい。猫も人も幸せになれるのだ。

拠点のキャットサロン。行き場をなくす猫に居場所をつくり、いくつになっても猫と幸せに暮らせるシステムを構築するため、いざという時の受け入れ体制も整えていく

 課題は、活動をサービスに成長させ、持続可能なものにすること。ネックは「こうした活動がとん挫する原因のほとんど」という資金面。現状、猫を預かる場合は当面の飼育にかかる費用を寄付の形でお願いしているが、理解を得られないことも少なくないという。

「経済的にもちゃんと回るシステムを確立したい。そうすることで関わる人も増え、次の世代へ受け継ぐこともできると考えています」

 また、依頼がどんどん増える中で、引き取り手を増やすことも課題だそう。アクセス可能な地域で成猫を受け入れたいという人は

「にゃんコール」のホームページ
からぜひ連絡を。ステキなご縁につながる、かもしれない。