猫
我が家にお泊まりにきた実家のちびちゃん

 母と弟が暮らす実家には2匹の猫がいるのですが、母が病に倒れたあと、弟まで体調を崩し、私は猫の世話に頻繁に通うようになりました。万が一の時には預かるつもりでいるのですが、この前、お見合いのため、おとなしいほうの「ちび」を私のマンションに連れてきました。猫たちの反応に私もドキドキ。予想以外のシーンも見られました。

(末尾に写真特集があります)

実家の猫「ちび」がお泊まりに

 先日、実家の猫が私のマンションにお泊まりにきました。

 春先に、88歳の母が病気で入院し、無事に退院して落ち着いたのもつかの間、今度は母と一緒に暮らす弟の体調が悪くなり、この夏は実家に連日、(家族と猫の世話に)通っています。

 前々から「何かあったら猫を頼む」と弟に頼まれていたので、自分の部屋に大きなケージも用意してあり、一度、お見合いも兼ねて家に連れてきたいなと思っていました。

おやつを食べる猫
家に来てすぐにおやつを指からなめたちびちゃん

 実家にいるのは、8歳のスコティッシュフォールドのちびと、10歳になったばかりのアメショーのルビィ(どちらもメス)で、2匹とも子猫の時に弟が迎えました。

 2匹のキャラは正反対で、ちびは臆病で引っ込み思案(弟がいうには、いじけ気味)、ルビィは積極的で陽気。ちびはルビィにたまに意地悪されることもあるので、私は実家にいくたびに、まずちびからおやつをあげるなど、ちょっと“ひいき”してきました。私の指からおやつをなめるたびに、絆が深まるような気もしていました。ちびは大好きだった亡父と誕生日が同じで(父が亡くなった3カ月後に出会ったので)思い入れもあります。

 ちびは、週末に実家に行った時に居間にあったキャリーバッグに自ら入り、まるで「今日、連れてっていいヨ」といっているようでした。この先のこともあるし、今だ、とそのタイミングで我が家にお泊まりしてもらうことにしたのです。

「連れていくからね」

 そう母にいうと、「あなたのうちの猫に会うのね。ちびちゃん、いってらっしゃーい」と笑顔で送り出してくれました。

 母は認知症が進んでいるので、ちびの不在を忘れて「どこにいるの?」と探したりしないか不安だったので、「(私の)うちに泊まります」とメモも残しました。

2匹の猫
「猫がきたね」動じないイヌオ(左)とイカ耳のはっぴー

声出さずにシャー、おやつはペロリ

 さて、うちの2匹の愛猫はっぴー(5歳、オス)と、イヌオ(18歳、メス)はどんな顔をするでしょう。

 ここ最近、コロナもあって来客はほぼありませんでしたが、若いはっぴーよりも、高齢のイヌオが少し心配でした。体調は安定していますが、インターホンが鳴るだけで隠れようとするシャイ猫さんなのです。

 ちびと一緒に帰宅すると、玄関まで迎えにきたはっぴーが鼻をひくひく。すぐにバッグの中の“猫のお客さん”に気づいたようです。

「えー、誰なの?」まん丸な目でバッグをのぞきます。

 ちびちゃんは、静かにしています。いや、よく見ると、声を出さずに「シャー」。3段ケージの下にいれてあげると、隅っこにそーっと身を隠しました。動物病院にいく以外は外出したことがないので、それは想定内です。

 “犬は人に付き、猫は家に付く”といわれるように、猫にとってテリトリーが大事なのは確かです。場所が変わっても少しでも安心できるようにと持ってきた、(実家で使っている)ちびの猫ベッドと匂いのついたタオルをケージ内に置きました。前にチビが使っていたトイレも持ってきました。

 とても緊張しているようでしたが、しばらくしておやつをあげると、ペロリペロリ。実家にいる時と同じように、ちびが私の指からなめてくれたので、ほっとしました。食べてくれれば、何とか大丈夫。そう安心する私の後ろを、はっぴーが走っていきます。そのシッポは、見たことがないくらい、ぼわぼわに大きく膨らんでいました。

猫
「あれは誰だ」離れた場所から見ていたはっぴー

対照的なはっぴーとイヌオ

 はっぴーは、ふだんはほとんど入らないキッチンに入り込み、「だからこの子は誰なんだって」というように、ちびのいるケージをじっと見ています。 

 食いしん坊なのに、食べるのも忘れているかのようです。しばらくすると、はっぴーは私のベッドに移って、またケージをじーっ。そのまま30分、1時間……夜通し見張るぞという感じです。ちびはケージ内で寝てしまいましたが、はっぴーは私がちょっとでも動くとビクッとして。いつもなら寝る前に私に甘えて指をなめるのに、それもしません。

 一方のイヌオはといえば、いつもとまったく変わらずケージの側にある水を飲みにいったり、「おなかすいたー、ごはーんまだー、ニャー」と大声で催促。イヌオは糖尿病でインスリンを打っていることもあり、ストレスで食事をとれなくなることが、今回のお泊まりのいちばんの気がかりでした。

 でも拍子抜けするくらい、ちびを気に留めていないのです。

 ちびが静かなので、まだ気づいてないのでは?イヌオを抱いてケージに近づけましたが、ちゃんと目は合っています。もしかして、すでに目が見えていないのかと思いましたが、そういうわけではないよう。それとも、ボケてわけがわからなくなってるのか……。

猫
「ハロー」翌日になると、少し落ち着いたちびちゃん

 翌日、ケージ越しにあらためて顔を会わせましたが、イヌオはやはり動じず、ごはんをぱくぱく食べました。

 イヌオの薬をもらいに動物病院に行った時に、看護師さんに(イヌオの態度を)話してみると、「ちゃんと猫ちゃんがいることがわかって、受け入れているのだと思いますよ」といわれました。

 そういえば、イヌオは5年前にはっぴーが家に来た時も、びっくりするほど早く受け入れ、シッポをゆっくり動かして遊んであげたのです。若い頃も、癖のある先代の猫とうまくやっていたし、「人間のお客さんは苦手だけど、猫なら大丈夫」なのかもしれません。大きな発見でした。

 ちびちゃんも、シャーをしながらお皿にいれたごはんを食べてくれたので、ちょっと安心しました。はっぴーは「とにかく驚いた!」という状態で、食が進みませんでした。(翌日はいっぱい食べましたが、それも大きな気づきでした)

 おとなの猫同士が親しくなるのは並大抵のことではないでしょう。相性もあるでしょうが、周囲でも、「実家の家族が倒れて猫を引き取ったが先住猫との仲がなかなか……」という話をよく聞きます。でもほどよい距離をとりながら、徐々に慣れて、うまく暮らしているケースもあります。

2匹の猫
イヌオ(左)はシャーもせず、ちびを受け入れました

ちびの帰宅と母のひと言

 翌日の夜、ちびを実家に連れ帰ると、「なにしてたの?」とルビィに頭をぽんとはたかれていました。

 ちびとイヌオとはっぴーと3匹に気を配り、(じつは眠れず)私もくたくた。たった一泊でも一大イベントです。

 じつは、私が30年前に初めて飼った猫も、実家から迎えた子でした。姉が結婚して置いていった猫を、私が引き取りました。人の都合で環境が変わるのはかわいそうですが、だからこそ、準備をして見守り、心地よく暮らしてもらえればいいなと願っています。

 ところで、母に、「ちびちゃんがいなくて、さみしかった?」と聞くと、「どっかいってたの?ずっといたわよ」という驚愕(きょうがく)の返事が!やはり(認知症が)進んでいるようです。「日ごとボケがつのります〜」と母は明るく歌っていましたが……こちらもおおらかに見守りたいものです。

 次は、陽キャラなルビィちゃんのお泊まりを考えています。さて、どうなるでしょうか。