公益社団法人「

アニマル・ドネーション(アニドネ)
」代表理事の西平衣里です。この連載は「犬や猫のためにできること」がテーマです。昨今、保護犬猫を迎えたいと考える方が増えています。それは動物福祉向上を目指すアニドネにとって活動の成果ともいえます。しかしながら、初めて保護犬猫を探すにあたり路頭に迷う方も多くいます。常日頃、動物保護活動を後方支援するアニドネとして「保護犬猫を迎えるために、とても大事な5つのこと」をまとめました。

(末尾に写真特集があります)

その1:出会いは簡単ではない 時間をかけて会いに行こう

「保護犬猫」と言っても、その出自はさまざまです。飼い主さんとの生き別れ、ブリーダーが排出した繁殖引退犬、野良猫や野良犬……。そんな子たちが保護されている場所は、各県および中核指定都市などにある動物愛護センターや民間の保護団体、個人ボランティアなどです。

 まずは自宅近辺で、上記の保護情報をネットで検索して探しましょう。探す上では、保護犬猫の情報が出ているマッチングサイトも便利です。ただし、大事なことは、必ず保護犬猫がいる現地に足を運ぶこと。愛護センターでの譲渡会に出向くもよし、保護団体のシェルターに行ってみるのもいいでしょう。そうすると犬猫たちがなぜ保護されたのか、保護されたときの様子、保護された後はどんな暮らしをしているのかがわかります。

 迎えたい子を決めた後は、家族全員の同意を得た上での面談のほか、行政によっては譲渡前講習会もあります。それから2週間から1カ月ほどのトライアルを経て、正式譲渡となります。時間をかけて情報を得る、保護された状態をしっかり知った上で決断する、その手間が大事です。

 犬や猫が保護されている場所へ何度も足を運ぶことを想定し、また長い時間をかけての輸送は動物に負担をかけてしまうという面からも、自宅近辺での出会いをお勧めします。

その2:その子のhistoryを貪欲に知ろうとする

 お迎えしたいと思ったら、その子のあらゆる情報を得るようにしましょう。行政でも民間でも個人情報の観点から、元飼い主の情報は教えてくれません。しかし例えば、「この子は高齢の方と暮らしてきて、飼い主の病気にともない保護されました」などの保護された経緯は把握しています。同時に、健康状態や性格、好みの食事なども分かった上で、ベストマッチする飼い主さんを犬猫目線で探しています。

爪が伸び放題の保護時。きれいにし、メディカルチェックを行う

 つまり保護団体さんは、お見合いおばさんのような役目です。オンラインのマッチングサイトだけで決めて後日輸送されてくる、といった経緯ではお見合いおばさんが関与しません。一緒に暮らし始めて「すぐに病気が発覚した」とか「元野犬でリードをすることも難しく散歩に行けない」といった悲劇が起きないよう、事前のリサーチはとても大事です。

その3:譲渡費が妥当か見定める

 税金で運営されている動物愛護センターの譲渡は多くが無料です。対して非営利の保護団体で、シェルターを持ち一定の頭数を保護している団体は「第二種動物取扱業者」として届け出をしています。その場合は、かかった経費(例えば、避妊去勢手術代、ワクチン代など)が譲渡費用となるケースが多いです。シェルターの維持費や人件費は寄付でまかなわれています。団体さんの活動を見て賛同するようであれば、寄付をお渡しするのもよい社会貢献だと思います。

 気を付けてほしいのは、譲渡費なのか、販売価格なのか、内容が不明瞭なケースです。例えば、譲渡費用が相場より高くどんな実費がかかったのかわからないような時や、ドッグフードや保険、トリーツなどがセットになり総額何十万にもなるケースがあります。

保護犬の中でも純血種は人気がある。医療費の相場などは調べればわかること。譲渡代が妥当かどうかは自身で判断しよう

 保護犬猫たちは、それまであまりいい環境で生きていないことが多く、医療費がかかることは珍しいことではありません。その経緯を納得した上で迎えるなら問題ないでしょう。しかしながら、知らず知らずのうちに保護ビジネスともいえる営利活動に加担してしまわぬよう、見定める賢さを持つべきです。

 ここで、他国の事例を一つ紹介しておくと、アメリカのカルフォルニア州ではペットショップでの犬猫ウサギの展示は禁止されており、保護動物のみ展示できます。その譲渡費用は上限設定がされており、総額で500ドルを超えないこと、と法律に明記されています(

カリフォルニア州法§122350 – 122361
)。

その4:ありのままを受け入れる

 保護犬猫たちには、さまざまなhistoryがあります。外で暮らした経験がある子には、虫をおいしそうに食べる姿が見られることもあります。ブリーダーから保護された場合、トイレトレーニングはされていないことが多く、室内で粗相をすることも多いでしょう。またずっとゲージ暮らしの繁殖引退犬の足腰は弱く、歯ももろいかもしれません。多頭飼育崩壊のような現場で、近親交配によって生まれた子は、残念ながら寿命が短い可能性だってあります。

四国で猟の罠にかかり、足を切断したワンちゃん。3歩足になってしまったけれど、生きる意欲は満々。その過去も含めて受け入れよう

 また、身体的なダメージ以外にも、男性を怖がる、手をあげると逃げる、といったトラウマを抱える子もよくいます。そんな子たちも、安心できる場所で飼い主さんと信頼が築けたら、私たち人間の都合で刻まれたつらいhistoryを帳消しにしてくれたかのような、幸せな姿を見せてくれます。ありのままを受け入れ、その子が輝きを再び取り戻せるまで、辛抱強く寄り添える飼い主でありたいものです。

その5:セーフティネットを築く

 迎えた子によっては、脱走防止柵が必要になるかもしれませんし、犬に優しい床に変えねばならないなど、家を犬猫仕様にする必要が出てきます。また、転勤や結婚、出産など自身のライフスタイルの変化を想定し、万が一の場合の預け先や、家族・知人の協力などを事前に考えておくべきでしょう。

 そして、犬猫は人間の何倍も速く年を取ります。いつまでも健康でいてくれるよう、健康面の管理について勉強をし、万が一に備えることは飼い主の大事な義務です。

2023年、ぜひ保護犬猫を迎えてください

 今回の「5つのこと」を読んでいただき、保護動物を迎えるのはなんと労力のかかることか、と思った方もおられるでしょう。保護動物に関わらず、動物と暮らすというのはとても大変。時間を差し出し、金銭的な負担を負ってでも、人が犬猫と一緒に暮らしたいのはなぜでしょう。

 私なりの答えですが「犬猫との関係性が人生を豊かにしてくれるから」です。

 言葉はしゃべらないものの、喜怒哀楽以上の感情を持ち、掛け値なしに気持ちを表現する犬猫の態度は、私たちの心を溶かします。もちろん、ふわふわの毛が心地よいとか、楽しそうに遊ぶ姿に癒やされるといったこともありますが、強い絆を作れた時、その存在に誰もが感謝をすることでしょう。

 そんなすばらしい存在である犬猫にも、現在露頭に迷っている子たちはいます。ぜひ、ペットショップではなく保護犬猫を探してください。多少大変です。だけど、きっとあなたにぴったりの巡り合わせはあるはずです。

(次回は1月5日公開予定です)

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個人で保護活動を続け本を出版! 保護犬たちに支えられているのは他でもない私自身