韓国で今、テレビショッピングが盛り上がっている。

そもそも韓国でテレビショッピングが始まったのは1995年ぐらいからのこと。韓国では“ホームショッピング”と呼び、「ロッテ・ホームショッピング」や「ヒュンダイ・ホームショッピング」、「新世界TVショッピング」など、百貨店チェーンを展開する大手流通会社がケーブルテレビなどで専門番組を放送している。

ほかにも、「SKストア」、「KTH Kショッピング」などあり、韓国のテレビショッピング専門チャンネルの数は、17を超えるとされているほどだ。

それだけに一般家庭でもホームショッピングは広く知られており、商品を紹介する番組MCがちょっとした話題になることもある。最近では、“美ボディすぎるMC”と呼ばれるユン・ヘファなどが有名だ。

ただ、最近の盛り上がりは、そうしたMC個人にスポットライトが当たるようなものとは異なるらしい。ホームショッピングが“エンタメ化”しているというのだ。

人気K-POPアイドルも登場

例えば、人気アイドルがホームショッピングに登場することも珍しくない。

「CJオーショッピング」の番組には、日本でも人気の高いボーイズグループSUPER JUNIORが出演。SUPER JUNIORとコラボしたダウンコートとニューアルバムのセットなどを販売し、大反響を呼んだ。視聴率は普段の6倍を記録し、21億ウォン(約2億1000万円)を売り上げたという。

ガールズグループOH MY GIRL BANHANAに至っては、ホームショッピングを通じてデビューショーケースを開催していた。

OH MY GIRL BANHANAは、メンバーのユアが「世界で美しい顔100人」で23位にランクインした人気グループOH MY GIRLの派生ユニットで、「ロッテ・ホームショッピング」のホームショッピング番組でステージを初披露した。

深夜1時からの放送だったにもかかわらず、販売された特別版アルバムとTシャツは完売したというからスゴい。

そのほかにも、ボーイズグループiKONがホームショッピングに試食モデルとして登場して焼肉セットを完売させるなど、K-POPアイドルがホームショッピングに出演するケースが増えているのだ。

最近はアイドルのみならず、『サンドゥ、学校へ行こう!』や『大丈夫、愛だ』などでヒロインを演じた人気女優のコン・ヒョジンなど、女優の出演も話題になった。

お笑い番組とコラボ

もっとも、番組の内容もエンタメ化しているらしい。

例えば「CJオーショッピング」は、tvNのお笑い番組『コメディビッグリーグ』とコラボした番組を放送。『コメディビッグリーグ』に出演するお笑い芸人が登場し、ギャグを披露しながら剃刀や掃除機、アイスクリームを紹介した。

バラエティ番組の様相を呈した番組は反響を呼び、売上は10億ウォン(約1億円)を突破。特に20〜30代の若者の注文数が普段の2倍近くに上ったという。

こうした流れは現在、「ショッパーテイメント」という新たな造語が誕生するほどのムーブメントになっている。これは「ショッピング」と「エンターテイメント」を合わせた造語だ。

数年前から韓国ではフィットネス・ブームが巻き起こり、イェ・ジョンファ、レイヤン、シム・ウトゥムといったフィットネストレーナーたちが人気者になってそのままタレント化し、「スポテイナー(スポーツとエンターテイナーを組み合わせた造語)」という言葉が生まれているが、またもや新たな言葉が生まれたわけだ。

それも運営と出演者のニーズが合致したからこそ可能だったことだろう。

韓国メディア『news1』も、「ホームショッピングの主な視聴層が40〜50代の女性であるなか、人気アイドルやコメディーなど多様なジャンルと結合して話題性と楽しさを同時に提供し、若い世代の視聴時間を増やそうとする戦略だ。芸能人にとっても、テレビを通じて少なくない宣伝効果が得られる」と報じていた。

最近はSNSなどを通じて宣伝を行う芸能人も多いが、ファンと直接コミュニケーションを取るなかで、それが逆効果になるケースもあった。日本でも数年前、芸能人ブログのステルスマーケティングが問題になったが、それに近いことが韓国でも起きている。

そんななかで、芸能人にとってはホームショッピングが新たな宣伝チャネルになりつつあるのかもしれない。

いずれにしても、韓国で盛り上がるテレビショッピング。今日も誰かがテレビの前で衝動買いしているかもしれない。

(文=慎 武宏)