美の基準は驚くほど移ろいやすい。

「女性が選ぶ“なりたい顔”ランキング」などは毎回順位に変動があるし、「世界で最も美しい顔100人」などのランキングも毎年のようにメンバーが入れ替わっている。

だからこそ面白味もあるのだが、お隣・韓国では今、数年前まで想像できなかった“美意識の変化”が起きている。

それを端的に知らしめてくれるのは、筋トレに励む女性と化粧を楽しむ男性が増えていることだ。

“美ボディ”が女性の憧れに

「イーベイコリア」によれば、女性消費者の健康用品購買金額に大きな変化が出ているという。

運動後に体力を補強するためにとる「エネルギー補充剤」の購買金額は前年比10倍、筋力回復を助ける「アミノ酸」も2倍に急増したそうだ。

反対にダイエット関連商品の伸び幅が少なく、増加率は16%にとどまったという。単純に体重を減らすダイエットよりも、健康的な肉体を追求する韓国女性が増えている証拠だ。

実際にショッピングサイト「G9」によると、2018年1〜11月のウエイト器具の販売量は、前年同期比4%増加。そのうち女性消費者の販売量に限ると26%も増えたというのだから、いかに女性の関心が運動や筋トレに集まっているかが伝わってくる。

スラっとしたモデル体型の女性ばかりでなく、“美のアイコン”としてユ・スンオク、レイヤン、チェ・ソルファなど、健康的な肉体美を持つ“マッスル美女”たちが注目されているのも、そのためだろう。

韓国メディアも「健康的で弾力のある肉体が好まれる傾向から、筋力運動を楽しむ女性が増えている」(『TV朝鮮』)と伝えていた。

韓国男性が化粧にハマる理由

変化しているのは、女性だけではない。韓国では化粧品の消費層が男性にまで拡大しているのだ。

例えば、韓国セブンイレブンの化粧品の購買顧客を見ると、男性の比率は2016年8.4%だったが、2018年は19.4%にまで上昇。同じく韓国コンビニ大手のCUでは、化粧品を購入した顧客の36.4%が男性だったという。

「“化粧”にハマる大韓民国」と見出しを打った『朝鮮日報』の記事では、「“素顔は迷惑”という意識が広がりながら、20〜30代男性のなかには基礎化粧品であるBBクリームを超えて、シミやくすみを消すコンシーラー、唇に発色効果を与えるリップクリームを使う人も増加した」と伝えていた。

韓国の男性用化粧品市場は1兆ウォン(約1000億円)を突破しているが、2020年には1兆4000億ウォンにまで上がると予想されている。

ギリシャのテレビ番組で女性司会者が男性K-POPアイドルを「女みたいな顔をしている」「韓国人男性はみな不細工」などと侮辱し、炎上した騒ぎもあったが、化粧する男性が増えていることは間違いなさそうだ。

ではなぜ韓国の男性は化粧にハマるのか。

誠信(ソンシン)女子大学ビューティー産業学科キム・ジュドク教授の調査によると、韓国人男性が化粧をする理由の1位は「競争力」(30.0%)だった。僅差の2位は「自己管理」(27.1%)だ。

つまり韓国では男性も、“見た目”が競争力や武器になると認識されているわけだ。

ちなみに同調査の「見た目を管理することについてどう思うか」という質問には、「とても肯定的」(14.5%)、「肯定的」(56.4%)という結果で、7割以上の韓国人男性が肯定派だった。

筋トレに励む女性と化粧にハマる男性が増えている韓国。

男女ともに、固定観念にとらわれない“新しい美しさ”を求める傾向は、今後も続いていくのだろうか。注目したい。

(文=慎 武宏)