朝鮮王朝27人の王の中で最悪の暴君と呼ばれる燕山君(ヨンサングン)は、クーデターで王位を追われ、異母弟の晋城大君(チンソンデグン)が11代王・中宗(チュンジョン)として即位する。しかし、臣下たちに祭り上げられた王は、最愛の妻との別れを迎えることになる……。

中宗の人物像を見てみよう。

真夜中の襲撃者たち

暴君として知られる10代王・燕山君は、政務を疎かにして、連日のように酒や女に溺れていた。

国の財源を使って豪遊する燕山君の暴政は、庶民の生活を圧迫していく。

反乱が起こるのも当然だった。

1506年、臣下たちの間で打倒・燕山君を掲げた大規模な反乱が起こるが、やみくもに反乱を起こしては非難される可能性もあった。そこで、反乱軍が掲げた大義名分が燕山君の異母弟である晋城大君を王にするというものだ。

もちろん、晋城大君はそのことを一切知らなかった。

事件当日、反乱軍は燕山君を討伐する部隊と晋城大君を保護する部隊の2つに分かれた。何の前触れもなく屋敷を囲む武人たちの姿を見た晋城大君は、兄が自分を殺そうとしていると思ってしまう。

意思を無視された即位

抵抗の無意味さを感じた晋城大君は、せめて自ら命を絶とうとする。

晋城大君の命を救ったのが、彼の妻である端敬(タンギョン)王后だ。彼女は一向に攻め入らない武人たちに違和感を覚えたのだ。冷静な妻の判断が、晋城大君の命を救ったのだ。

一方、家の中に招き入れられた兵士たちは、晋城大君に挙兵の説明をする。しかし晋城大君は頑なに即位を拒むのだった。

晋城大君の説得が行なわれる一方で、反乱軍の主力部隊は燕山君の屋敷を襲撃した。普通なら、王を守るために兵士たちは相手を迎え撃つ。

しかし、燕山君に仕えていた兵士たちは、王を守ろうとせずに逃げ出してしまった。

クーデターが起きたことを知った燕山君は、怯えはじめる。そんな王の姿を心の中で笑っていた者たちは、外の様子を見に行くと言って逃げてしまう。傍若無人な暴君を命を賭してまで守ろうとする者はいなかったのだ。

こうして、反乱はあっさりと成功。燕山君は王位をはく奪されて地方に追放されてしまう。(つづく)

(文=康 大地/コウ・ダイチ)