韓国野球界が賭博問題で再び騒がしい。4人のプロ野球選手がカジノ賭博をしていたことが発覚し、非難を浴びているのだ。

渦中の人物となっているのは、韓国プロ野球LGツインズの選手たち。現在LGツインズはオーストラリア・シドニーで春季キャンプを行っているのだが、その休日にチャ・ウチャン、オ・ジファン、シム・スチャン、イム・チャンギュの4人がカジノに行ったというのだ。

韓国の法律では、たとえ海外のカジノだったとしても、韓国国籍所有者のカジノ賭博は不法な行為となる。もちろん韓国野球委員会(KBO)の規約でも、賭博を禁止している。

LGツインズ関係者は事実関係を認めつつも、「最も多くお金を使った選手で500豪ドル(約3万9000円)」と金額の少なさを強調していたが、法律も規約も違反していることに違いはないので仕方がない。

元阪神オ・スンファンの場合

韓国プロ野球選手の賭博といえば、元阪神タイガースのオ・スンファン(コロラド・ロッキーズ)が記憶に残っているかもしれない。


最近、「韓国プロ野球に復帰する」などと“爆弾発言”でも話題になった。

ただそのオ・スンファンは仮に帰国して韓国球団と契約したとしても、すぐに試合に出場できるわけではない。海外賭博でKBOから72試合出場停止処分を受けているからだ。

今回賭博が発覚した4選手にもなんらかの処分が下るだろうが、興味深いのは、オ・ジファンの処遇がどうなるか、だ。

というのもオ・ジファンは昨年のジャカルタ・アジア大会で金メダルを獲得し、兵役免除となった9人のうちの一人なのだ。

少し説明が必要かもしれない。

スポーツ選手の兵役免除

韓国人男性は一定の年齢になると兵役につく義務が生じるのだが、兵役法にあるように、オリンピックでメダルやアジア大会で金メダルに輝いたスポーツ選手は、「芸術・体育要員」として軍隊服務を代替できる。

現在、イギリス・プレミアリーグで大活躍中のサッカー韓国代表ソン・フンミンなども、アジア大会に優勝したことで兵役免除となったわけだが、厳密にはいえば「芸術・体育要員」という身分だ。

「芸術・体育要員」は4週間の基礎軍事訓練で実質上は兵役が終わるが、義務をすべて果たしたわけではない。基礎軍事訓練後の34カ月間はあくまで「芸術・体育要員」であり、その期間はサッカーや野球などの分野で兵役を代替するのだ。

昨年、2014年アジア大会優勝で兵役免除の恩恵を授かったサッカー韓国代表DFチャン・ヒョンスが兵役義務ねつ造で韓国代表資格の永久剥奪処分を受けているが、それだけに世間の目もシビアだということだ。

そのため該当期間中に何らかの罪を犯せば、その恩恵が取り消される可能性もある。

取り消されると、34カ月の残りの期間を現役兵、または社会服務要員として過ごさなければならない。

兵役免除が取り消される要件のひとつは、禁固以上の実刑。もしオ・ジファンが今回のカジノ賭博で禁錮以上の実刑となれば、兵役免除の恩恵も失うため、彼への処遇に注目が集まるわけだ。

とはいえ今回の件は、司法機関が一時的な単純娯楽と判断する可能性が非常に高いという。金額も少額で、常習性も見られないためで、球団やKBOの懲戒で事態は収拾されるとの見方が強い。

ソン・ドンヨル監督辞任の引き金にも

それでも現在オ・ジファンには、韓国野球ファンから「軍隊に送ってしまえ!」「軍隊で根性を叩き直すべき」などと非難の声が飛んでいる。


それは、そもそも彼が韓国代表としてアジア大会に出場したこと自体に、疑惑の目が向けられていたからだろう。その疑惑の選手選抜の余波で、韓国球界が生んだ国民的英雄・野球韓国代表のソン・ドンヨル監督が辞任する事態にまで陥った。

韓国メディア『MKスポーツ』は、「韓国代表に選抜される実力もないのに、球団同士の利害関係によって、兵役免除のために一部選手を選抜したという疑惑が拡散したが、オ・ジファンはその代表的な人物だ」と解説していた。

そんな悪印象のなかで、今回のカジノ賭博が発覚しただけに、ファンが叩きたくなるのも無理はないかもしれない。

いずれにしてもカジノ賭博が発覚して、開幕前から騒がしくなってしまった韓国プロ野球界。KBOが目指す「クリーン・ベースボール」の足を引っ張らなければいいのだが……。

(文=慎 武宏)