朝鮮王朝19代王・粛宗(スクチョン)が愛した女性の中に、淑嬪・崔氏(スクピン・チェシ)という人物がいた。ドラマ『トンイ』では、女優のハン・ヒョジュが彼女を演じていたが、史実ではどのような人物だったのだろうか。

淑嬪・崔氏には張禧嬪(チャン・ヒビン)を陥れる動機がある。

それは、張禧嬪が罪人となればその息子も後継者の立場を追われ、自分の息子を後継者にできるということだ。

もし、淑嬪・崔氏が本当にそう考えていたとしても、その思惑は外れる。

晩年を寂しく過ごした

粛宗は張禧嬪が亡くなった後も、息子を後継者の立場から外さなかった。

その後、粛宗は淑嬪・崔氏を冷遇して部屋を訪れなくなった。

今まで自分を愛してくれていた人が、急に冷たくなったら誰でもショックを受けるだろう。淑嬪・崔氏も同じ気持ちだったかもしれない。

仁顕王后が1701年に亡くなっているので、新たに王妃を決める必要があったのだが、その時点で一番可能性が高かったのは淑嬪・崔氏だった。

張禧嬪は粛宗によって側室に降格させられているし、後に罪人として処罰を受けることになるため、再び王妃となるのは不可能だからだ。

しかし、淑嬪・崔氏はあまりにも身分が低すぎたため、亡くなるまでずっと側室のままだった。

粛宗がそのような態度を取った理由だが、やはり彼が一番愛していたのは張禧嬪なのではないか。

そうすれば、罪人として亡くなった彼女の葬儀を立派に行なったり、張禧嬪の息子を世子から外さなかったりしたことも理にかなっている。

最初に粛宗は張禧嬪の美貌に惹かれて王妃としたが、あまりに強い欲望を持っていたことで関心を失い、結果的に寵愛しなくなったのは確かである。しかし、完全に心が離れたわけではなかったのかもしれない。

粛宗との間に息子まで産んでいたとはいえ、王妃になれず晩年を寂しく過ごした淑嬪・崔氏は、1718年3月9日に亡くなった。

淑嬪・崔氏は、張禧嬪があまりに強烈な印象を残しているため影が薄いように感じるが、ドラマ『トンイ』によって現在の韓国ではとても有名になった。

(文=康 大地/コウ・ダイチ)