■Karim ADEYEMI
カリム・アデイェミ(レッドブル・ザルツブルク/ドイツ代表)
生年月日/2002年1月18日(19歳)
出身地/ミュンヘン(ドイツ)
身長・体重/180cm・69kg
主要ポジション/CF、ウイング
A代表/3試合・1得点
ユース年代の代表歴/ドイツU-16、U-17、U-21
キャリアの転機/レッドブル・ザルツブルクへの移籍(18年6月)

 サディオ・マネやアーリング・ハーランドを輩出するなど、欧州指折りの育成機関と化しているレッドブル・ザルツブルクに、また新たな逸材が出現した。

 オーストリア・リーグの得点ランキングでトップに立つカリム・アデイェミだ。弱冠19歳ながらエースの重責を担い、チャンピオンズ・リーグ2節のリール戦では冷静に2本のPKを成功。チームに初勝利をもたらした。

 大きな話題をさらったのは8月。ハンジ・フリック新監督が率いる、新生ドイツ代表の初陣にサプライズ招集されたのだ。

 ほんの3か月前までU-21代表の控えアタッカーに過ぎなかったレフティー自身も『スカイ・オーストリア』で「信じられなかった」と明かしたが、デビュー戦(9月5日のアルメニア戦)でゴールを決めると、10月の2連戦でも途中出場。瞬く間に貴重な戦力になっている。
 
 同じ10代のジャマル・ムシアラ、フロリアン・ヴィルツとともに、ドイツ代表の未来を背負って立つ存在と目されるアデイェミは、ナイジェリアとルーマニアのハーフであり、ミュンヘンで生まれ育った。

 幼い頃からボールを追いかけ、7歳の時にバイエルンの下部組織に入団した。その名門で2年間の英才教育を受けた後、地元クラブを経て、12年夏にウンターハヒンクのユースへ。この元ブンデスリーガのクラブで力を伸ばしていった。

 ひとつの転機が訪れたのは17-18シーズン。U-17ブンデスリーガで15戦15発と躍動し、18年2月にU-16代表デビューすると、国外にもその名が知れ渡るようになる。実際、チェルシー移籍の可能性があったという。

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 ウンターハヒンクのマンフレート・シュバブル会長は当時をこう振り返っている。
「チェルシーからスカウトを介して連絡があってね。カリムの父、私の娘、カリムとチェルシーを見てきたよ。しかしながら、(グレートブリテン)島へのステップが早すぎるのは明らかだった」

 チェルシー移籍の可能性は消滅したものの、シュバブル会長はここでバイエルンに売り込みをかける。

 だが、16歳の無名アタッカーに付けた300万ユーロ(約3億9000万円)という移籍金に、バイエルンの首脳陣が難色を示したために交渉は不成立。

 18年6月、ウンターハヒンクの要求を呑んだザルツブルクへの移籍が決まった。
 
 この移籍が正解だったのは、前述の活躍ぶりからも明らか。スピード豊かなドリブルに加え、左右両足のフィニッシュなどに磨きをかけ、加入3年目(最初の1年半はセカンドチームにあたるリーフェリンクで武者修行)の20-21シーズンに飛躍を遂げる。

 オーストリア・リーグで7得点・9アシストを記録し、本格ブレイクの足掛かりを築いた。2トップの一角を主戦場とするが、2列目の左サイドでも機能。同じドイツ代表のレロイ・ザネが台頭した頃を想起させる。

 その先達に肩を並べるには、今後の移籍先が重要になるだろう。噂にあがるバイエルンやリバプールにいきなりチャレンジするのではなく、より出番を掴む可能性が大きいドルトムントやRBライプツィヒへのステップアップが堅実な選択と言えるのではないか。

文●遠藤孝輔

※『ワールドサッカーダイジェスト』2021年11月4日号より転載