11月27日、J1・37節の川崎とG大阪の一戦が開催された等々力陸上競技場では興味深い実証実験が行なわれた。

 題して「富士通presents循環型エコ食器利用の実証実験」。脱プラスチック及びサスティナブルな社会実現に向けての活動であり、要するに使い捨てのプラスチック容器に代えて、使用後に肥料や飼料に生まれ変わる「エコ食器」を使ってみようとの取り組みである。

 実証実験が行なわれたのは等々力陸上競技場「フロンパーク内」のお馴染みの塩ちゃんこの販売ブース。100食限定の「循環型のエコ食器」は、カカオやコーヒー豆の皮などいわゆる“食品残さ”を活用して作られたもの。そのため容器として使用した後は、特別な工程を経て、たい肥化することが可能で、肥料や飼料に生まれ変わるというのだ。

 昨今、社会問題として取り上げられるプラスチック利用の抑制、食品残さの減量、CO2排出量削減(エコ食器はプラスチック容器の約半分)への効果が期待でき、海洋プラスチック問題や気候変動問題の解決にもひと役買うかもしれないというのだから、意義のある取り組みだと言えるだろう。

 クラブとしてはサポーターと清掃活動を行なう「多摩川“エコ”ラシコ」を定期的に開催するなど、環境問題へ取り組んできた。そのうえで今回は同じ理想を掲げる、オフィシャルトップパートナーの富士通の協力の下で企画が実現したという。

 当日は、購入者が通常のプラスチック容器と、それより50円高いエコ食器を選べる形になっており、担当者によれば10時の開店から多くのサポーターがエコ食器を選択した様子。担当者からは「サポータの方が環境問題に高い意識を持っていただいていて嬉しいです」との声が漏れ、エコ食器を利用して塩ちゃんこを食したサポーターからも「こういう活動があるならぜひ、協力していきたい」との言葉が聞こえた。
 
 現時点では実証実験の段階であり、今回は一連の流れの確認とアンケート調査から浮かび上がった課題を吸い上げ、今後の活動へつなげていく。例えば少し離れたエコ食器の回収場所に今回は常時、担当者を立てて誘導していたが、エコ食器を間違えて通常のゴミ箱に捨てられぬように上手く回収できるかなど、対策も必要になってくるだろう。

 もっともこの活動が軌道に乗れば、スタジアムグルメを楽しみ、その容器が肥料などに生まれ変わり、等々力陸上競技場の周辺や多摩川周辺の自然をより豊かにする――そんな好循環へとつなげられるはずである。

 担当者も「サポーターに食事を楽しんでいただきつつ、その後は選手にも協力してもらい、エコ食器で生み出した肥料などを活用して植樹などをできれば良いですね」と夢を語る。

 試合を開催すれば、どうしても生まれてしまう大量のプラスチックゴミを少しでも減らし、なおかつ緑を増やせれば、理想的な環境作りの一歩になると言えるだのだろう。

 エコ食器を制作した丸紅の担当者も「Jリーグさんは環境問題への意識が高いですし、リーグ王者の川崎フロンターレさんが率先してこういう活動を行なってくださると、周りへの影響も大きい思います。今後も協力していきたいです」と話す。

 やや割高になるエコ食器をどう根付かせるかなど今後の課題も多いが、地域と密接に関わるプロクラブだからこそ、取り組むべきテーマとも捉えられるのだろう。

取材・文●本田健介(サッカーダイジェスト編集部)