前橋育英のエースナンバーと言えば、14番だ。山口素弘氏(現・名古屋GM)、松田直樹氏、青木剛氏など名だたる選手が背負い、特別な番号として今も大事にされている。

 歴代の14番を振り返ると、ほとんどがボランチの選手。今年も2年生のMF徳永涼が櫻井辰徳(神戸)から受け継いだ。だが、今の前橋育英には14番を背負ってもおかしくない実力者がもうひとりいる。徳永と中盤の底でコンビを組む2年生のMF根津元輝だ。

 徳永と同様、根津は攻撃に特長を持つプレーヤー。相手の逆を取るプレーやノールックパスを武器に、1年生の時からトップチームの試合に絡んできた。また、守備能力も水準以上で、相手の懐に身体を入れてボールを奪うプレーを得意とする。

 今年の前半戦は怪我がちで思うようにプレーできなかったが、コンディションが整った夏以降は徳永とともに攻守のリンクマンとして躍動。チームに欠かせない選手へ成長を遂げ、最近では凄みすら感じさせるプレーを見せている。

 そうした成長ぶりを見せ付けたのが、来季のU-18高円宮杯プレミアリーグ参入を懸けたプレーオフだった。

 負けたら終わりのノックアウト方式。1回戦から登場した前橋育英は2度の勝利で初のプレミア昇格が決まる。12月10日に行なわれた初戦では仙台育英と激突した。

 立ち上がりの15分は相手のロングボール攻勢に手を焼き、ボールに絡む回数は限られたが、徐々に根津本来の姿を取り戻す。守備に比重を置く徳永と役割を分担し、自身は積極的に高い位置を取る。相手のプレッシャーも難なく外し、ボール回しの起点になりつつ“ここぞ”という場面では鋭い縦パスを供給。

 得意のノールックパスなども織り交ぜながら攻撃をリードし、1−0で迎えた前半35分にはGKのこぼれ球に反応してネットを揺らした。さらに前半終了間際には左SB岩立祥汰(3年)のFKに反応。ニアサイドに走り込むと、頭で試合の行方を決定付ける3点目をもぎ取った。
 
 後半に入っても勢いは止まらず、高い位置を取って存在感を発揮。ボールを散らすのはもちろん、中盤で素早く相手に寄せてボールを刈り取っていく。70分には自らセカンドボールを回収すると、一気に攻撃に転じる。

「仙台育英は攻撃に移行していたので、相手の矢印が結構前に向いていた。守屋さんは足が速いので、速いボールをうまく前につけられれば、良い形で前に持っていけると思ったんです」

 一瞬の隙を見逃さなかった根津はFW守屋練太郎(3年)の動きを見極め、相手DFの背後にフィードを送る。これを見事に守屋が決め、勝利をより確実なものにした。

 その後も根津は存在感を発揮する。75分にボランチの相方が徳永から攻撃が特長の若林大翔(3年)に変わると、ポジションを後ろに下げてカウンターに対応。攻守に関わりながら試合をコントロールし、チームの勝利に貢献した。
 
 根津の成長に、幾多の名選手を育ててきた山田耕介監督も賛辞を惜しまない。

「元々良い選手だったんですよ。でも、最近はだいぶ自信がついてきた。本当にいいですよ」

 自信を得たことでプレーに余裕が生まれたのだが、根津が手応えを掴んだのはつい最近の事。それは11月23日に行なわれた高校サッカー選手権予選の決勝だった。

 高い位置で攻撃に関わりながら、隙あらばミドルシュートを狙っていく。守備では運動量を高め、球際の攻防では競り負けない。そうした意識を持って挑んだ桐生一戦は序盤から中盤でボールを拾いながら、前線に配給。試合を通じて安定したパフォーマンスを見せ、一気に自信を深めた。
 
「ミドルシュートも積極的に打っているけど、ゴールに繋がっていない」と本人が言うように決定力は課題。だが、ブレイクの予感を漂わせているのは間違いない。

 12日に行なわれるV・ファーレン長崎U-18とのプレミアリーグ参入プレーオフ決勝、そしてその先にある高校サッカー選手権で結果を残せれば、もう一皮剥けて上のステージも見えてくるはずだ。

取材・文●松尾祐希(フリーライター)

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