4月27日に行なわれたJ2第12節のザスパクサツ群馬戦で、前半に2点を先行された大宮アルディージャは後半に奮起。わずか11分間で3点を挙げ、3−2の逆転勝利を果たした。

 振り返ると、34分のGK南雄太のPKストップや、68分のMF矢島慎也の逆転弾となる技ありゴールとトピックがあるなか、忘れてはいけない影のMVPは、全得点に絡んだMF武田英寿だ。

 矢島の得点や57分の菊地俊介の1点目に関与。62分、DF西村慧祐の2点目をアシストしたCKは「ピンポイントだった」と狙い通り。とりわけ後半は、培ったテクニックを出し惜しみせず、長短のパスを織り交ぜ、チャンスを作れば、ゴールが見えたら果敢にシュート。滅私奉公。チームのために走り続けた。

 武田は2020年に青森山田高からJ1の浦和レッズに加入。翌年7月にJ2の FC琉球へ育成型期限付き移籍し、今季は同じくレンタルで大宮に新天地を求めた。

 群馬戦まで5試合に出場も、先発しても早い時間帯での交代あるいは途中出場も限られた時間しか与えられなかった。だが、7試合ぶりに先発した群馬戦では今季最長の86分間プレー。「自分のように久しぶりに出た選手が違いや勢いを出せればと積極的にプレーした。自信になったゲーム」と確かな手応えを掴んだ。

 今季の大宮は開幕9戦未勝利と大きく躓いた。チーム状況が悪いとミスがミスを呼び、自信は砂のように削られていく。流れに沿うように武田は思うようなプレーが出せなかったが、その迷いが晴れるキッカケがあった。

 チームが3連敗中にあった4月12日の練習後のこと。武田は霜田正浩監督に呼び止められ、10分ほどだろうか、立ち話しをする光景があった。

「もっと自分の強みを出していけ」

 霜田監督からの助言は原点に立ち返る瞬間となった。「山形戦(4月23日)くらいだったか、迷いがなくなったって顔をしていました」と、武田の変化を霜田監督は感じていた。

「伸びているなという選手は見れば分かる。顔でも分かるし、身体からエネルギーが出て、パワーを感じる。そうなると自信を持ってボールを受けられ、プレーを選択できる。それでもミスはあるけど、ヒデはそうしたフェーズに入っている」
 
 実は武田も予兆を感じていた。「なんとなく今日(群馬戦)は僕のところにボールが集まってアシストしたり、点に絡めるチャンスがあるかなって」。予感は思い過ごしではなかった。

 その武田にとって、何より嬉しかったことが試合後にあった。DF茂木力也と連れ立って群馬の大槻毅監督に挨拶へ。武田にとってはプロ1年目の、茂木にとっては浦和ユース時代の監督。それぞれ縁がある。

 2人とも浦和を離れてからの再会。群馬戦では武田が右MF。茂木が右サイドバックで起用された。「大槻さんから『今日はお前ら2人にやられたよ』って言われて嬉しかった」(武田)。大槻監督にとっては、負けはしたものの指導者冥利に尽きるだろう。

 降格圏脱出の足がかりとしたい5連戦。大宮は2試合を終え、1勝1敗だ。次節は5月1日、敵地でのツエーゲン金沢戦。「目に見えて、良くなっているときは使いどき。疲れたとか言わせない」と霜田監督。武田の2試合連続先発は十分にありそうだ。

 背番号14の本格ブレイクの瞬間は間近に迫っている。

取材・文●佐藤亮太(フリーライター)

【PHOTO】拍手が響き渡ったNACK5に集結した大宮、群馬サポーター

【PHOTO】編集部が厳選! ゲームを彩るJクラブ”美女チアリーダー”を一挙紹介!

「次の試合がラストかもしれない」大宮・三門雄大の揺るぎない原動力「ピッチに立つのは当たり前じゃない」

Jリーガーのラブラブ“夫婦ショット”に脚光!「みんないい写真」「微笑ましく感じる」