中村俊輔がピッチに立つ姿をもっと見たい、と求めれば「もう43だから。別に」とリアクションはそっけない。

 もちろん、真意ではない。俊輔なりのジョークだ。

 プロ26年目のシーズン、J2を戦う横浜FCで、稀代のレフティは思うように出場機会を得られていない。14節終了時点で、出場3試合、トータルのプレータイムは20分。先発はまだ一度もない。

 チームが今季初黒星を喫した前節の熊本戦は5試合ぶりのベンチ外だった。自身が置かれている状況に少なからず焦燥感を覚えている。だが「それがないとダメじゃない?」と発奮材料にしている。

「それをパワーに変えられるから。試合に出ていないからこそ、いろんなことを外から見て、自分と照らし合わせることもできる」

 たとえ試合に絡めなくても、モチベーションは高い。ピッチに立った時に何をすべきか。何ができるか。それを常にイメージしている。

「自分だったら、こういうプレーをしたな、とか。準備はできている。出してもらえれば、こういう感じでやれるっていうのはいつも考えているから。途中出場なら、その時のシチュエーションがあるわけで、それを把握してどう振る舞うか。試合の流れを見る目とか、経験が生きてくる」

 自虐的に持ち出された43歳という年齢は、多くの修羅場をくぐってきたキャリアの証左。「いろんなことに気づいてくれる」と四方田修平監督への信頼を口にしつつ、「出してほしいね。状況を変えられると思う」と俊輔は力をこめる。

「当然、チームの戦術を踏まえたうえでだけど、それを超える何かがあるとも思う。目に見えないもの、空気感。そこで、ちょっとしたタメとかパスとかで、ね」

 ゲームの機微を察しながら、俊輔はどんなプレーを見せるのか。
 
 熊本戦の翌日のトレーニング。最初にグラウンドに現われたのが俊輔だった。スタッフやチームメイトと談笑しながらストレッチ。四方田監督が「集まろうか」と声をかけるまでの間、入念に身体をほぐしていた。

 リカバリー組とは別のグループで、溌剌と汗を流す。ミニゲームでは、狭いエリアで絶妙な浮き球パスを通す。トラップミスすれば「うわー」と大きな声を出す。

 11節の栃木戦から始まった5連戦で、チームはここまで3分1敗と完全にブレーキ状態だ。次節は5月8日の15節・秋田戦。「コンディションは良いよ」と充実の表情を見せた俊輔の活躍に期待したい。

取材・文●広島由寛(サッカーダイジェストWeb編集部)

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