[プレミアリーグ22節(延期分)]トッテナム 3−0 アーセナル/5月12日

 試合終了の1分前、アーセナルのDF冨安健洋は苛立ちを募らせていた。

 0−3の相手リードで迎えた後半アディショナルタイム。トッテナムのDFエメルソン・ロイヤルが倒れ込むと、日本代表DFは「時間稼ぎだ」と言わんばかりに両腕を広げて主審に抗議した。試合はそのまま終了。勝利すれば来季のチャンピオンズ・リーグ(CL)出場が決まった直接対決で、アーセナルは手痛い敗戦を喫した。

 この結果、CL圏内の4位アーセナルと、圏外の5位トッテナムの差は「4」から「1」に縮まった。今季の残り試合数は2。アーセナルが自力で4位突破を決められる状況に変わりはないが、CL出場権争いの行方は、まったくもってわからなくなった。

 大一番のトッテナム戦でミケル・アルテタ監督が採用したのは、前節リーズ戦と同じ4−2−3−1。冨安は、2試合連続で左SBとして先発した。

 試合の流れを大きく変えたのは「ミスマッチ」だった。アーセナル最終ラインの並びは、右サイドからセドリック・ソアレス(右SB)、ロブ・ホールディング(右CB)、ガブリエウ・マガリャンイス(左CB)、冨安(左SB)。ガブリエウと冨安で編成した左サイドに比べ、セドリックとホールディングの控え組を並べた右サイドはクオリティの点で劣った。

 アーセナルは序盤こそ攻勢だったが、21分にセドリックがソン・フンミンへのブロックでPK献上。試合の流れが変わると、開始直後から韓国代表FWと激しくやりあっていたホールディングが33分に退場処分となった。
 
 結果論と言ってしまえばそれまでだが、リーグ得点王を争うほど好調なソン・フンミンのいる右サイドに冨安をぶつけていれば、また違う結果になっていたかもしれない。

 23歳のサムライ戦士は試合が終わるとユニホームめくりあげて汗を拭い、スタンドに3割ほどしか残っていなかったアーセナルサポーターの元に向かって挨拶をしていた。トッテナムの応援歌が大音量でスタジアムに響き渡るなか、腰に両手を当てながらロッカールームに引き上げるその姿は、見るからに悔しそうだった。

 記者会見に現われたアルテタ監督は、PK献上とホールディングの退場処分について「私が思っていることをここで語れば、6か月間の出場停止になる」と切り出した。「私は次節のニューカッスル戦で指揮を執りたい。嘘のつき方もわからないので、自分の考えは言わないほうがいい。試合のスタートは悪くなかったが、美しい試合が壊された」と直接的な批判こそ避けたが、厳し目の判定に大きな不満を口にした。

【PHOTO】加入直後からスタメン奪取で攻守に躍動!アーセナルで欠かせない存在となった冨安健洋!
 
 かん口令が敷かれていたのか。アーセナルの選手たちも、試合後のミックスゾーンに誰ひとりとして姿を見せなかった。しばらくすると非常に険しい表情でクラブ広報が姿を見せ、「今日の取材対応はなし」と首を横に振りながら説明した。

 対照的だったのが、追いかける側のトッテナム陣営。2ゴールを決めたハリー・ケインがリラックスした表情で姿を見せると、「この試合で負けていれば、我々のサポーターの前でアーセナルにCL出場を決められていた。勝利した選手たちを誇りに思う」と笑顔を見せる。「次節のバーンリーは難しい相手だが、早い時間帯でゴールを奪って勝負を決めたい。(15日の)バーンリー戦に勝利すれば、(16日に)ニューカッスルで戦うアーセナルにプレッシャーをかけることができる。彼らにとって厳しい試合になるだろう」とCL出場に向けて決意を口にした。ソン・フンミンも、イギリスメディアと韓国メディアの取材に終始笑顔で応じていた。

 アーセナルは依然としてCL出場権争いで優位に立っているが、試合後の物々しい雰囲気にはプレッシャーも感じ取れた。明と暗がハッキリと別れたノース・ロンドン・ダービー後の雰囲気が、果たして次節にどのような影響を及ぼすか。

 その次節ニューカッスル戦のキーマンは冨安だろう。アーセナルは、とにかくCBが足りていない。

 出場停止のホールディングを始め、ガブリエウも怪我で欠場が濃厚。イングランド代表DFベン・ホワイトも故障から復帰したばかりでフィットしておらず、CB陣が危機的状況にある。そのため、冨安はニューカッスル戦で本職のCBに入る可能性が高い。
 
 トッテナム戦では前半にホールディングが退場すると、冨安はポジションをCBに移した。地元紙『ロンドン・イブニング・スタンダード』が「アーセナルのベストプレーヤーだった」と高く評価したように、苦戦を強いられたアーセナルの中で冨安の守備対応は光っていた。

 前線に長身FWクリス・ウッドや、ドリブラーのFWアラン・サン=マクシマンといった難敵が揃っているニューカッスルを相手に、冨安が力強い守備でアーセナルを勝利に導きたい。

取材・文●田嶋コウスケ

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