マジョルカは、ラ・リーガ最終節で1部生き残りを懸けて敵地でオサスナと対戦する。仮に敗れても、降格圏内の18位のカディスの結果次第では残留が確定するが、他会場の結果に一喜一憂することなく、すっきり勝って自力で決めたいところだ、

 マジョルカにとって21−22シーズンは、決して楽なものではなかった。ルイス・ガルシア・プラザ前監督、ハビエル・アギーレ現監督時代を通じて浮き沈みの激しいパフォーマンスに終始し、終盤は常に降格と隣り合わせの戦いを強いられた。

 現在のマジョルカのようにドレッシングルーム内に不安や恐れといったネガティブな感情が渦巻いているチームは、攻撃の快活さや自由奔放さといった要素とは相いれない場合が多い。監督は得てして結果を最優先し、数々の修羅場をくぐり抜けてきた経験豊富でソリッドなプレーをする選手を好んで起用する。

 タケ・クボ(久保建英)はその真逆のタイプに該当する。輝きを放っても、散発的にしか出場機会が与えられていない所以でもあり、また試合に出ても、その特徴に向かないシナリオでのプレーを強いられている。

 アギーレ監督が攻撃の厚みを失う代償を払ってでも後方の安全を確保することに比重を置いたチームでは、ヴェダト・ムリチのようなFWにロングボールを放り込むダイレクトプレーが主なプランとなっている。その一環として、3月の就任以来、前線の枚数を1枚削ってDFの枚数を増やす3バックを採用しているのは周知の通りだ。

 それでもタケは、チームにとって有効なオプションであり続けている。アギーレ体制下ではスタメンで起用された試合は2度にとどまり途中出場がメインだが、終盤試合の流れを変える切り札として重宝されている。

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 前節のラージョ・バジェカーノ戦もそうだった。ムリチのゴールで前半を1点リードで折り返し、後半同点に追いつかれた直後の63分だった。マジョルカにとっては最も苦しい時間帯で、とりわけ相手の左サイドバックのフラン・ガルシアに幾度も自陣深くに侵入され、危険なクロスを蹴り込まれていた。

 この場面、アギーレ監督が編み出した対策は興味深かった。守備を厚くしてその突破を封じるのが常套手段だが、指揮官は、タケとマッチアップさせることで、フラン・ガルシアに守備のタスクを増やすという逆の発想で改善を図ったのだ。

 実際、その後、ボールを失ったときにダメージを与えることのできる新たな脅威が前方で構えていることで、フラン・ガルシアは攻撃参加を自重することを余儀なくされた。タケの投入は試合の流れを変えるほどの影響力があったわけだ(試合はマジョルカが2−1で勝利)。

 そこで最終節の対戦相手のオサスナだ。ジャゴバ・アラサテ監督率いるチームも、ラ―ジョと同様に長い距離を駆け上がるサイドバックのオーバーラップが攻撃において重要なウエイトを占めている。

 マジョルカの右サイドハーフは、自陣まで戻って守備に奔走するとともに、マイボール時には相手の脅威になって対峙するオサスナの左サイドバックの攻撃への関与を減少させるようなプレーが求められる。タケは途中出場という難しい状況にもかかわらず、ラージョ戦でその役割を見事にこなせることを示した。

 もちろんオープンな打ち合いとなり、得点が必要な状況でもそれは同様だ。波乱万丈だった今シーズンを締めくくるオサスナ戦、タケとマジョルカは最後の大勝負に挑む。

文●アルベルト・モレン
翻訳●下村正幸

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