私は、1998年からずっと日本のサッカーを追ってきた。しかしこんなにファウルが多い日本代表を見たのはこれが初めてだった。それも不本意なファウルでなく、ブラジルを止めるための武器としてそれを使っていた。正直、残念でならない。

 いま思うと大変失礼な話だが、私が子供の頃、ブラジルではプレーが下手な者に「日本人みたいなプレーするなよ」と言うのが、決まり文句だった。だが、90年ごろからは誰もそんなことは口にしなくなった。

 Jリーグが始まった頃は、日本は「年金リーグ」だとか「ゾウの墓場」だと言われていた。トップを過ぎた選手が花道を飾る場所なのだと誰もが思っていた。しかし今はそれも言う者もいない。現在の日本サッカーはモダンで、どんなボールも全力で戦って得ようとする、リスペクトすべきものだと知っているからだ。
 
 ところが、先日のブラジル戦で日本の選手で目についたのは、1髪型をめちゃくちゃ気にする(常に誰かが髪をいじっていた) 2終始しかめっ面、3プレーにエレガントさがない、の3つだった。一方、森保一監督はずっとイラついていて、ペン出したり入れたりいじっていた。何かがうまくいっていない証拠だ。

 ほとんどの選手にがっかりさせられた。私の期待が大きすぎたのかもしれないが、少なくとも9人は名前の知れたヨーロッパのチームでプレーしている。リバプールの南野拓実はもう少しやってくれると思った。またヨーロッパリーグでの鎌田大地のプレーを見て、これはすごい選手だと思っていたが、それも肩透かしを食らった。

 唯一良かったのはGKの権田修一だ。彼のおかげで日本はかなり救われた。そして伊東純也、彼は右に左に良く動き、ダイナミックでゴールを脅かす存在だった。

 試合が0−0に終わらなかったのは良かった。もちろんブラジルにとってもだが、日本にとってもだ。こんなプレーでブラジルを無得点に抑えたりしたら、日本は勘違いしてしまっただろう。

 ブラジルではよく、対戦相手がどんなプレーをしたかを知るには2つのことを見ろという。一つは自分のチームのGKがどのくらい仕事をしたか。もう一つはファウルの数。それを当てはめると、今回の試合でブラジルの守護神アリソンはほとんど仕事をせず、日本のファウルの数はブラジルの倍近くだった。

 日本が取られたファウルの数は19回、そのうち13回がネイマールに対するものだった。

【画像】田中碧の激しいプレスにネイマールのショーツが脱げる!反響を呼んでいる“下着丸見え”シーン
 チッチ監督は後半、ネイマールが田中に倒されたシーンで第4審判に詰め寄っていた。彼の口の形から英語でこう言っているのが分かった。

「Foul、Foul、Enough!」(ファウル、ファウル、もう十分だ)

 試合後もチッチはブラジルのTVにこう語っていた。

「戦術的なファウルが常に存在していたので、私は審判に腹を立てた。ファウルはしばしば暴力的で、そのためブラジルのイマジネーションはつぶされてしまった。ルール上そうしたプレーは可能だが、審判はもっとそれを抑えるべきだった」

 この一戦を裁いたイランのアリレザ・ファガニー主審はネイマールの知り合いだった。試合後、そのセレソンの10番も「今日の審判は大変だったと思うよ」と苦笑していた。

 ダニエウ・アウベスも倒されたシーンであわや小競り合いとなるところだった。彼は叫んでいた。

「You touch me strong!」(激しく接触しただろ)

 日本の選手たちはマークしても止められないので、危険なファウルで止めに出た。しかし、それは私の知る日本のサッカーではない。
 
 日本はまたほぼ全員がボールより後ろにいることが多かった。全員が絶えず上がったり下がったりするフィジカルだけは素晴らしかったが、ブラジルではどんな弱小チームさえこんな守り方はしない。そんなプレーでは勝てないことを知っているからだ。日本は自らレベルの低い弱小国だと認めているようなものだ。

 チッチのアシスタントコーチを務めていたサンパイオは日本で長年プレーした経験を持つ。

「私は日本を愛しているし、文化的な背景も知っている。しかし今日の日本は私が知っている日本とは違い、ものすごく戦闘的だった」

 アグレッシブであるのはいい。しかし暴力的なプレーはダメだ。

 エデル・ミリトンの姿がこの試合を象徴していた。彼は2分間で3回のファウルを受け、試合後両足を氷で冷やしていたが、その後数時間は普通に歩けなかった。

 こんなプレーを続けたら、躍進を続けてきた日本サッカーは後退をしてしまう。森保監督は早急に手を打ってほしい。

文●リカルド・セティオン
翻訳●利根川晶子

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