大きな目標は口にしない。日々の努力と結果の積み重ねでしか、道が拓けないことを知っているからだ。

 2−1で勝利したUAEとの初戦では先制点をマーク。準決勝進出を懸けた韓国戦、チームは3−0で完勝。この大一番で2ゴールを含む全3得点に絡む大活躍だ。今まさに、鈴木唯人(清水)は新たな未来を作ろうしている。

 ウズベキスタンで開催されている U-23アジアカップ。大岩剛監督が率いる“U-21”日本代表は、ベスト4進出を果たした。現地時間6月12日に行なわれた“U-23”韓国との一戦は、2歳年上の相手に対し、苦戦も予想された。試合会場に100名を超える韓国の応援団が声援を送るなか、圧倒的な存在感を放ったのが、鈴木だった。

 負ければ終わりの一発勝負。しかも、自身にとって初の日韓戦だ。試合前から緊張があった一方で、いつも以上に気持ちが入っていた。4−2−3−1のトップ下でプレーした鈴木は、肉弾戦を得意とする韓国のDF陣をはね返し、持ち前の推進力で敵陣に進入。守備でもプレスバックを怠らず、強度の高いプレーで相手から何度もボールを奪った。

 そして、22分だ。ゴール前でFKのチャンスを得る。キッカーは鈴木。「自分で得たFKだったし、気持ちの面でも『入るんじゃないか』と思っていました」という予感が的中し、強烈な一撃は壁に入っていた相手DFに当たりながらゴールに吸い込まれた。

 その後も随所に“らしさ”を見せ、自身のボールキープや突破からチャンスを演出していく。後半に入って多少、運動量が落ちたが、気持ちは途切れない。果敢に相手DFに勝負を挑む。
 
 65分。ペナルティエリアの手前でパスを受け、相手DF2人を置き去りにするドリブル。さらにDFを外し、右足でシュートを放つ。GKが弾いたところを細谷真大(柏)が押し込み、日本がリードを2点に広げる。

 鈴木の勢いは止まらない。80分にもDF内野貴史(デュッセルドルフ)の縦パスを受けると、巧みなコントロールから左に持ち出してネットを揺らした。
 
 韓国戦のパフォーマンスは、まさにエースの仕事。「正直、日韓戦は負けられないし、(自分自身も)この大会に相当な気持ちをぶつけている」と言い切る背番号18の背中が、日増しに頼もしくなっている。そう思えるのも、今大会で継続して結果を残しているからだろう。

 その意味で、鈴木は自らが理想とする道を歩んでいるのかもしれない。以前、代表への想いを聞いた際にこう話していた。

「良い意味で自分は代表が全てではないと思っている。代表を目ざしているのはサッカーをやっている以上は当たり前。しっかりとプレーした先に日の丸を背負う権利が生まれる。僕は普段からそういう想いでやっています。特に年始にA代表候補合宿に呼ばれたので、頑張っていれば結果が付いてくるという経験もしましたから」

 結果を残し続ければ、U-21日本代表で絶対的な存在となり、A代表にも自然と選ばれる。そう確信して、鈴木は自分自身と向き合ってきた。
 
 だからこそ、いつでも自分を見失わない。「特別、攻撃で上手くやろうとか、上手いプレーをしようとは思っていない。注目されてきたからといって、良いプレーしようとするわけではないんです」という言葉が示すように、代表戦で戦うモチベーションを力に変えながら、普段通りのプレーを心掛けていた。だからこそ、韓国戦の活躍に繋がった。

 アジアの頂点まであと2勝。開催国ウズベキスタンとの準決勝でも鈴木のスタンスは変わらない。運動量をベースに攻守で違いを作りながら、自分のプレーをするだけだ。

 今大会、鈴木のスパイクには日の丸が縫い付けられている。これは代表戦を戦うためにメーカーの方が作ってくれた特注品だという。結果を重ねていけば、特注のスパイクは今以上に似合うようになる。

取材・文●松尾祐希(フリーライター)

【関連動画】U-21鈴木唯人、韓国戦で圧巻2発! 鮮烈FK弾&鮮やか反転ショット!