7月19日のE-1選手権第1戦で6−0の快勝を飾った日本代表。しかし、相手の香港代表は、戦術的にもテクニック的にもフィジカル的にも明らかに低レベルで、「ワールドカップのメンバー選考であまり参考にならない」という声も多かった。
 
 ただ、個人的には「カタールに連れて行きたい」と強く感じた選手が1人だけいた。セントラルMFの一角としてフル出場した藤田譲瑠チマだ。
 
 この日が初キャップだった20歳の新鋭は、ポジションを細かく変えながらボールを上手く引き出して捌いた攻撃面以上に、インテンシティーの高い守備が何よりも印象深い。鋭くアグレッシブな寄せ、タイミングの良いパスカット、そして戦況を読んだカバーリングなどが目を引いた。
 
 とくに印象深いのが、51分のプレーだ。敵陣中央付近で相手の横パスが弱いと見るや鋭く寄せてボールを奪い、そのまま決定的なカウンターに繋げる。抜け出した相馬勇紀の判断が悪くゴールには繋がらなかったものの、完全に1点もののビッグチャンスだった。
 
 こうしたインテンシティーの高い守備を90分間に渡って継続したスタミナ、20歳ながら身振り手振りを交えながら臆せず仲間に指示を出したメンタリティーも、藤田に好印象を抱いた要因の1つだ。
 
 森保ジャパンの中盤は、アンカーの遠藤航、インサイドハーフの田中碧と守田英正という3人が主力。ただ、彼らと同じような高い守備強度を保証する控えが実質不在だ。鎌田大地と久保建英はアタッカー色が強く、原口元気は元ウイング、柴崎岳は司令塔タイプで、明らかにレギュラー陣とは毛色が違う。
 
 4試合を戦った6月シリーズで森保一監督は中盤も様々な組み合わせを試したものの、浮き彫りになったのは「主力トリオが揃わないと守備の強度が落ちる」という現実だった。
 
 だからこそ、この日の藤田にはピンときた。「ワールドカップで戦うドイツ代表、コスタリカ代表、スペイン代表は、香港代表とは比べ物にならないチーム」という意見はあるだろうが、この日の藤田が示したインテンシティーを個人的には無視できない。アンカーとインサイドハーフで機能する部分を含め、カタールにおける日本代表に求められる資質を備えたタレントだ。
 
 先日、公式YouTubeチャンネル『サッカーダイジェストTV』で福西崇史氏が選んだカタール・ワールドカップのメンバーにも入っていた藤田。同じボランチだった元日本代表もそのポテンシャルを高く買っている。
 
 今回のE-1選手権は残り2試合。7月24日の中国戦、そして27日の韓国戦でもハイパフォーマンスを見せられれば、藤田のカタール行きがにわかに現実味を帯びてきても不思議はない。
 
取材・文●白鳥大知(ワールドサッカーダイジェスト編集部)

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