7月23日、なでしこジャパンは、E-1選手権の第2戦で台湾戦に臨んだ。キックオフから積極的に仕掛けてきた相手の勢いに押され、セットプレーから先制を許すが、前半のうちに逆転に成功。後半、さらに2点を加え、最終スコア4−1で2連勝を飾った。

 2―1で勝利した韓国戦から中3日のこの試合で、池田太監督は、大幅にメンバーを入れ替えてきた。前回の試合に続いて先発したのは、キャプテンマークを託された猶本光(三菱重工浦和レッズレディース)と、宝田沙織(リンシェーピングFC/スウェーデン)の2人だけ。この日が、代表デビュー戦の井上綾香(大宮アルディージャVENTUS)のように、なでしこジャパンとしては出場経験の少ない選手で構成されていた。

 代表初先発の上野真実(サンフレッチェ広島レジーナ)は、ラインの裏を狙う千葉玲海菜(ジェフユナイテッド市原・千葉レディース)と役割を整理して、幾度も好機を作り出した。最後の細かい部分での精度は、シュートにつなげる回数でカバーし、自身の代表初ゴールも決めた。予想していないビハインドを前半のうちに解消し、勝利に貢献した。
 
 多くの選手は、緊張の中でも、平均的な力は出せていたと思う。ただ、それが彼女たちのてっぺんギリギリのパフォーマンスだったかと問われれば、違う。台湾よりも強い相手と戦っているWEリーグで、もっと素晴らしいプレーを見せているのだから。

 台湾に献上した先制点からも、それは感じた。確かに、酷暑の中、格下と見られる相手が、キックオフから“噛みついてくる”とは予想外だった。しかし、開始2分、ゴールキックのバウンドを読み誤ったところをきっかけに、ライ・リーチンのシュートで、すでにヒヤリとさせられていた。
 
 その後もロングボールを前線へ早めに入れられるシーンもあった。これまでとは違う対戦相手の姿勢を読み取ることはできた。それを全員で共有すればスコアにつながることもなかったのではないだろうか。8分、コーナーキックからスー・シンユンにきれいなヘディングシュートを決められたが、それも、日本のミスパスやクリアミスなどが重なって与えたセットプレーだった。

 さらに言えば、そこまでに、日本にもゴールチャンスは生まれていたし、立て直すきっかけもあった。出会い頭の一発ではないし、圧倒的な個に奪われたものでも、前向きなチャレンジが裏目に出てのものでもない。そんな失点だから、残念だった。

 今回のメンバーには、WEリーグでプレーしている選手が多い。ここで活躍すれば、試合を見ている人に「この選手がWEリーグでプレーしているんだ。じゃあ、見に行ってみようか」と足を運んでもらえる可能性が生まれる。また、個々の選手自身の代表キャリアでも、ラージグループの外殻付近から中心へ近づくために、貴重な機会だ。
 
 この日、テレビ中継でプレイヤーズ解説を担当した岩清水梓(日テレ・東京ヴェルディベレーザ)は、2006年、急遽先発したアメリカ女子代表との親善試合で輝きを放ち、レギュラーポジション奪取へ名乗りをあげた。見ている者にも「ここから代表での活躍が始まるんだな」という始まりを予感させた。5年後、岩清水は、主力メンバーとして女子ワールドカップで優勝する。

 この台湾戦で、そこまで強烈なインパクトを残したニューフェイスがいただろうか。むしろ、背水の陣を敷いたような気合いは、第1戦の前半途中で交代し、この日、再び先発した猶本光から感じた。

 来年行なわれる、女子ワールドカップ 2023、その先にあるパリ・オリンピックでのメンバー入りを目ざすチャレンジャーなら、ギラギラするほどの貪欲さ、迸るようなパッションがほしい。

取材・文●西森彰(フリーライター)

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