7月24日のE-1選手権第2戦・中国戦で、日本はシュート20本を放ちながら、まさかのスコアレスドローに終わった。2013年韓国大会以来のタイトルを獲得しようと思うなら、27日の韓国との最終決戦で勝利するしかない。

「韓国には勝てる気しかしない。『絶対に叩く』っていう心の準備ができている」とキーマンになりそうな相馬勇紀(名古屋)も強調していたが、同じカタール・ワールドカップ出場国に勝って初めて国内組の価値を示せると言っていい。

 そこで注目されるのが、2024年パリ五輪世代の若手たちの動向だ。

 6月のU-23アジアカップに参戦したメンバーのうち、今回は鈴木彩艶(浦和)、藤田譲瑠チマ(横浜)、細谷真大(柏)の3人が招集されているが、25日の練習を見る限りだと、藤田は先発入りしそうな見通しだ。

 すでに19日の香港戦でフル出場し、横浜の同僚・岩田智輝とダブルボランチを形成。序盤こそポジションバランスに苦慮したが、持ち前の統率力とリーダーシップを発揮してチーム全体を動かした。加えて、球際や1対1の強さ、小気味いいパス出しを披露。弱冠20歳とは思えない存在感を見せていた。
 
「でも個人的にはもっとやらないといけないことが沢山あった。ボールを奪った後のファーストプレーのところでまた相手に奪われてしまうシーン、ラインを割ってしまうシーンが多くあったので、そういうところは直していける。攻撃でも自分のところでテンポを出して正確なパスで相手を困らせるシーンをもっと増やせた」と本人は収穫より課題に目を向けていた。

 その向上心は非常に頼もしい。韓国のように気迫を前面に押し出してくる敵に対しては、藤田のようなギラギラした選手が必要不可欠。まずは中盤の争いを制して、先月のU-23アジアカップの再現を果たしたいところだ。

 本人も「ウズベキスタンでやった時の韓国の印象は、個人個人の能力がすごく高くて、スピードのある選手が多くいるなと。今回の相手にそういう選手がいるのなら、自分のボランチのところでカウンターの起点を潰せたらいい」とコメント。やはり自身の守備やボール奪取力がカギになると考えている様子だ。確かに24日の香港戦を見ても、4−3−3の韓国は中盤の展開力やパス出しから攻撃が始まっていることが多かった。やはり藤田が担う部分は重要だと言ってよさそうだ。

 ただ、彼が日韓戦で異彩を放ったとしても、カタール行きのメンバーに名を連ねるのは少し難しいかもしれない。というのも、ご存じの通り、中盤には欧州組の遠藤航(シュツットガルト)、守田英正(スポルティング)、田中碧(デュッセルドルフ)という最終予選不動のトリオがいるからだ。加えて柴崎岳(レガネス)、原口元気(ウニオン・ベルリン)、鎌田大地(フランクフルト)らも控えていて、実績や経験値でどうしても見劣りする部分は否めない。
 
 ゆえに、藤田はこの大会で弾みをつけ、この先の横浜で絶対的地位を築かなければならない。夏の欧州移籍市場はまだオープンしているため、場合によっては今夏の移籍もないとも言い切れない。橋本拳人が逆転代表入りを狙ってウエスカ行きを選択したように、藤田も同じような道を歩まないとも限らない。そのチャンスを切り開くためにも、とにかく日韓戦でチームを勝利へと導く仕事を果たすこと。それに尽きる。

 鈴木と細谷については、次戦で出番が訪れるかどうか微妙な情勢。GKはまだ試合に出ていない谷晃生(湘南)の先発が有力視されるし、FWに関しても185センチの売り出し中の点取り屋・町野修斗(湘南)の出場が濃厚だからだ。

 しかしながら、中国戦で脇坂泰斗(川崎)からの決定的なラストパスを決め切れなかった細谷は「今度こそ必ず決めてやる」と闘志を燃やしているに違いない。出番があるとしたら、まさに日本が苦境に陥っている状況だろう。スコアレス、あるいはリードを許しているところで、1点を取ってくれる選手として送り出されるはずだ。
 
 千載一遇のチャンスが巡ってきた際、中国戦と同じミスをしていたら、「A代表経由パリ行き」という未来が遠のいてしまいかねない。カタール行きはともかく、2年後を見据えた目標を達成するためにも、今回のE-1で大きな手応えをつかんでおきたい。ゴールはその一番の早道に違いない。

 彼ら3人の後には、今回は怪我でA代表入りが叶わなかった鈴木唯人(清水)や欧州組の斉藤光毅(スパルタ)らが控えている。パリ世代の台頭を加速させるためにも、まずは藤田、細谷の日韓戦のパフォーマンスが重要になってくる。

 ピッチに送り出されたパリ五輪世代がタイトル獲得に貢献するようなインパクトを残してくれれば、「パリ世代も十分やれる」という評価が高まってくるはず。そういう前向きな雰囲気を生み出すべく、若い世代にはリスクを恐れず、大胆かつ積極的に宿敵に向かっていってほしいものである。

取材・文●元川悦子(フリーライター)

【PHOTO】“推し”の選手を後押し!豊田スタジアムに駆けつけた日本代表サポーターを特集!

【E-1選手権PHOTO】日本0ー0中国|粘り強い守備に手を焼きスコアレスドロー…!27日に首位・韓国との優勝決定戦に臨む