[E-1選手権]なでしこジャパン 0−0 中国女子代表/7月26日/茨城県立カシマサッカースタジアム

 E-1選手権の最終戦に臨んだなでしこジャパンは、勝点2差で追う中国女子代表と優勝を賭けた直接対決に臨んだ。結果は、スコアレスドロー。ゴールと勝利こそ手にできなかったが、今年初めのアジアカップを制している中国を終始、上回る好内容で、池田太監督就任後、初タイトルを手にした。

「日本開催で、目標としていた優勝をしっかりと達成できた。中国戦は勝ちたかったが最後まで粘り強く戦えた。タイトルを取った喜びをかみしめようと伝えました」(池田監督)

 第2戦の韓国戦で引き分けた後、日本戦への取り組みを尋ねられた中国のシュイ・チンシャ監督は「秘密。内緒です」と含み笑いをしながら、答えていた。この指揮官が就任してから、中国はリードされてもゲーム終盤に二枚腰を使うシーンが多くなった。

 先述のアジアカップでは3戦連続逆転勝利など、強さを発揮。今大会の韓国戦でも押されながら、選手交代を挟み、徐々に流れを引き寄せ、追いついてのドローで最終戦に望みをつないできた。

 なでしこジャパンは、そんなアジア最大のライバルに、最後まで主導権を与えることなく、ビクトリーロードを走った。
 
 この日は、高橋はな(浦和L)と宝田沙織(リンシェーピング/SWE)が、CBのコンビを組んだ。中国の2トップは、2月の対戦では出場しなかった7番のワン・シュアンと、チーム事情でCBを務めていたワン・シャンシャンの2人。特にワン・シャンシャンは、前線でのポストプレーがうまい。チームで唯一3戦連続先発を果たした宝田らは、これをしっかりと迎撃した。

「試合に関わることができて良かったと思いますし、自分が後ろから引っ張っていこうというのを意識してやれた。海外遠征では、なかなか試合に絡むことができず、悔しい思いがあったので、このまま残っていけるようにアピールしたい思いがありました」(宝田)

 韓国戦では、CBが弾き返した後のボールを拾われ、波状攻撃を受けるシーンが目についたが、この日はイーブンボールの回収率で相手を大きく上回った。長野風花(ノースカロライナ・カレッジ/USA)が「中国の選手はフィジカルが強く、背も高い」と警戒していたが、1対1の勝負でも引けをとらなかった。

 それどころか、アプローチに来る人数の差で、一つひとつの勝負を制していく。宝田同様に、スウェーデンから参戦した林穂之香(AIKフットボール/SWE)は、その違いをこう語る。

「韓国戦の時はセンターバックが跳ね返してくれたボールを、中盤で回収しきれなかった。今日は90分間を通じて、日本が回収できた。放り込まれることが分かっていたので、互いの距離感に気をつけて、常に声をかけあって『ふわっ』としないように意識した。その声かけで変わったところもあると思います」
 
 2試合でキャプテンマークを巻き、大会MVPに輝いた清水梨紗(ベレーザ)は、この日も攻守両面で活躍。第2戦の後で「暑いからこそ走らなければいけなかった」と口にしていた宮川麻都(ベレーザ)も、中2日をものともせず、必要な局面でタイミング良く顔を出す。

 この日はゴールを奪えなかった攻撃陣も、再三の仕掛けで中国の最終ラインを脅かし、後方にくぎ付けにした。

 後半に強い中国が切り札の18番タン・チアリを投入しても、なでしこの優位は覆るものではなかった。アジアカップ以降、勝利を積み重ねてきたチームは、スコアレスの状態を維持したまま、優勝への道筋をしっかりと辿った。戦前にあった勝点2のアドバンテージは、試合終了のホイッスルまで保持された。
 
 このE-1は大会単体の結果だけでなく、来夏のワールドカップ(オーストラリアとニュージーランドの共催)へ向けて強化の意味合いも大きい。欧州遠征以来、活発な動きで前線を活性化し、この日は右サイドで先発した千葉玲海菜(千葉L)らも加わり、競争は激しくなっていくはずだ。来月に開幕するU-20ワールドカップから、フル代表へ合流してくるメンバーもいるだろう。

「3試合それぞれに良いトライができたと思うし、今日の試合でも自分の役割、チームのコンセプトを理解して、戦う姿勢も最後まで出してくれた。(ただし)まだまだ、いろいろなところの積み上げを進めていくなかで、そのひとつを積み上げたというところです」(池田監督)

 ハードな条件下で勝ち取ったタイトルの喜びを、一晩じっくりと噛みしめて、翌日から、また世界との闘いに視線を移してもらいたい。

取材・文●西森彰(フリーライター)

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