サッカーの世界でダービーとは特別な試合である。

 今では日本でも、その重要性が分かる人ばかりであろうが、Jリーグが開幕した当時はまだ知られていなかった。
 
 カズがJリーグの選手として初めてイタリアへ挑戦した1995年。ジェノバダービーでカズは見事にダービーで得点した。

 カズにとって、これがセリエA唯一の得点になったが、ダービーでの得点は今でもジェノバファンの心にあると言われる。ダービーとは世界のリーグにおいて、もっとも熱い闘いなのである。

 JFLにも三重ダービーがあり、いつかJリーグのビッグダービーとして闘えるようになるのであれば、三重県民にとっては夢のあるストーリーである。

 今年はヴィアティン三重と3回のダービーマッチを行なった。三重県で我々以上に存在を認められているダービーチームの存在。

 天皇杯三重県決勝とリーグ2戦。いずれも熱いダービーであった(※リーグ戦では1勝1敗、天皇杯予選決勝は0-0からのPK戦を制した鈴鹿が勝利)。

 そしてJリーグにも多くのダービーが存在する。

 静岡出身の僕にとって清水エスパルスとジュビロ磐田の静岡ダービーは、もちろん多くの静岡県民と同じく大きな関心事だ。Jリーグ2年目から今日まで、お互いに負けられない闘いとして注目されている一戦だ。

 今年はお互いが残留争いからスタートしてしまい、少し清水は補強により立て直しているようだが、磐田はまだまだ苦しいシーズンとなりそうだ。

 本来であれば同じ地域にあるチームでの対戦をダービーと呼ぶのであろうが、ナショナルダービーと例えたり、(有名なのはラ・リーガのバロセロナ‐レアルマドリーであろう)川を挟み多摩川ダービーと例えるダービーもある(フロンターレ‐FC東京)。

 今年もすでにリーグでは6月5日(日)に三重ダービーが行なわれたが(※リーグ1戦目は1-4で敗戦)、うっかりコラムを書くことを忘れてしまった。

 今回はホームで勝つことができ(※リーグ2戦目は2-0で勝利)、翌日には時間が取れ、ゆっくりしている時に気づいた。

「あっコラムを忘れてた……」

 監督としてコラムを書くことも忘れて、ダービーに備えたという証拠である。
 
 街を二分する大きな試合、ダービーマッチ。

 リーグの順位は関係なくというが、ダービーだからこそ勝つだけではなく、どのようなサッカーが出来たか?!内容はどうであったか? サポーターに何かを残せたか?ということが大事だと思う。
 

 僕がコラムのことを思い出したのは地元(鈴鹿市)にあるサウナで、隣りに座ったおじさんが、サウナを出る前に一言、「ダービー完勝おめでとうございます」と言われたからである。JFLとはいえ、町の人たちにもしっかりと情報が入る環境になっているのである。

 そして怪我で長期離脱していたカズも、この試合で残り15分間プレーした。ダービーを復帰戦にしたのである。

 シーズンは後半に入り、ワールドカップの影響で11月の中旬でリーグが終わる日程になっている(例年は12月の始めまで)。猛暑の夏場から残暑となり、徐々に秋めいた気候の中でこれからの闘いが続いていく。

 鈴鹿にとっても、しっかりとした信頼を地元の人たちから得るためにも、大事な試合は続く。

 勝つことを目指すのは当たり前。プロの看板を掲げるスポーツなのだから。プラス、プロだからこそ、エンターテイナーとしてエンターテイメントを提供しなくてはならない。

 感動を与え、観戦した人たちがまた来たい。応援したい。そしてサッカーが好きになり、選手を好きになる。

 試合(四日市)会場に集まった4000人の人たちがそう思えたかどうかも、また大事なのである。三重ダービーをそう感じた週末になっていたら嬉しいが……。

 そして勝利の喜びも、敗戦の悔しさも、いつまでも引っ張ってはいられない。すでに次の準備をしなくてはならない。そして次も一瞬の喜びを味わうために。

 またしっかり努力するしかない。

2022年9月6日
三浦泰年