ロベルト・レバンドフスキがカンプ・ノウで意外な面を見せている。

 それは笑顔でファンに手を振ったり、得点を決めるたびにチームメイトに話しかけたり、バックヒールで流し込んだバジャドリー戦(バルサが4−0で勝利)の3点目がそうだったように、繊細さも持ち合わせたストライカーを示していることだ。バルサのオフィシャルショップで彼のユニホームがここまでの売り上げを記録することも、驚きだった。

 常にゴールを量産し続けてきたストライカー。その一方でバイエルン・ミュンヘンのクラブ―カラーと対を成すように冷酷で、完全無欠で、無慈悲。それが加入前までカンプ・ノウのファンが抱いていた印象だった。

 しかしバルセロナでのレバンドフスキは異なる。まず表情が変わった。機械的なイメージが強かった彼は、このシーズン序盤、ゴールとともにバルセロニスモに希望の灯をともすアイコン的な存在になっている。昨夏のリオネル・メッシの退団後、バルサはリーダーシップが弱体化したが。レバンドフスキはゴールを決め、様々な局面に顔を出し、周りを引き立たせとフル回転の働きを見せ、カンプ・ノウを沸かせている。

 レバンドフスキは静かにバイエルンに別れを告げた。ポーランド代表帯同中に退団を志願したことから始まり、プレシーズン期間中に大きな騒動に発展し、最終的に移籍実現に至るまでの経緯とは対照的だった。最後の去り際もそうだった。1人の記者が車でスタジアムを後にするレバンドフスキに3つの質問を投げかけようとしたが、素っ気なく窓を閉めてさえぎられただけだった。375試合に出場し、344得点を記録し、大きな功績を残した選手である。上層部との信頼関係が崩れ、円満退団とはならなかった。

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 レバンドフスキはフィニッシャーとしての能力が健在であるばかりでなく、経験とともにプレーの幅が広がり、攻撃の核を必要としていたシャビ・バルサにおいてすでに大きなプレゼンスを発揮している。

 昨今、世間の関心が、カリン・ベンゼマやアーリング・ハーランドに向いている中で、その存在をアピールしたのだ。成熟度を増し、謙虚さを失わず、想像以上に身体にバネがあり、マークを引き付けたり、裏に抜けたりオンザボールとオフザボールを問わずポジショニングに優れる。しかもストライカー特有のエゴイスティックな面というものが以前に比べて希薄になっている。

 シャビはレバンドフスキのプレーのタイミング、状況判断の良さと選択肢の多さ、そして人間性を気に入っている。決してマシーンではなく、その身体には心が宿っており、同時にそれは何事においてもパッショナルなバルサというクラブにおいていい時期も悪い時期も訪れることを警告している。

 今後レバンドフスキがバルサでどんなキャリアを描いていくは未知数だ。そんな中、現時点で明らかとなっていることがあるとすれば、カンプ・ノウが熱気を取り戻したことと、“新9番”が試合中で示している意外な表情やジェスチャーは決して無関係ではないことだ。

文●ラモン・ベサ(エル・パイス紙バルセロナ番記者)
翻訳●下村正幸

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