来年5月下旬からインドネシアで開催されるU-20ワールドカップ出場を目ざすU-19日本代表が、アジアの戦いに挑む。

 世界に打って出るためには、最終予選を兼ねた来年3月のU-20アジアカップへの出場権を掴むことが最低条件。9月12日に初戦を迎える予選で、1位もしくは各グループ2位の上位5チーム以内に入らなければ、世界への扉は開けない。

 今回の予選で対戦する開催国のラオス(12日)、グアム(14日)、パレスチナ(16日)、イエメン(18日)は格下の相手。力関係だけを見れば、日本の1位抜けは難しいミッションではないだろう。

 だが、簡単に勝たせてくれないのがアジアの戦いでもある。実際に過去の予選でも苦しんだ経験があり、冨樫剛一監督がコーチとして参加した前回大会の予選(U-19アジア選手権。U-20ワールドカップは新型コロナウイルスの感染拡大の影響で中止)では、最終戦でフィリップ・トルシエ監督が率いるベトナムにスコアレスドロー。勝点で並ばれながら得失点差によって1位抜けを確定させた。

 過去の経験を踏まえ、冨樫監督が危機感を口にしたのもそのためだ。

「前回の予選ではベトナムと分けているし、他のグループでも韓国も苦戦しました。そういう難しさも実際に出てきているなかで、(10日に行なわれた)ラオスの初戦(グアムに3−0)を見ても、やるぞというのを感じましたから。これはやっぱり現地に来て、一次予選を戦う人じゃないと分からない。これがアジアの難しさですね」
 
 また、U-19の世代は新型コロナウイルスの流行が拡大した影響で、U-16世代以降、海外遠征の経験がほとんどできていない。比較的恵まれている国内での活動ほか、今年の5〜6月に出場したモーリスレベロトーナメント(旧・トゥーロン国際大会)などヨーロッパでの戦いを知る一方で、アジアの特異な環境で戦った経験はあまりない。

 特に今回のホスト国であるラオスは高温多湿の気候で、現在は雨季に当たる。そのため、スコールに見舞われるケースも珍しくない。5チームが総当たりで戦う今回は同じ会場を使って全試合を消化するため、大会を追うごとにピッチが荒れていくはず。

 前日練習で水捌けが悪いグラウンドを経験したとはいえ、ピッチに苦戦する可能性は決して小さくない。さらに今予選は中1日での連戦。大会前から冨樫監督はターンオーバーを採用する可能性に言及していたが、コンディション調整が難しくなるのは言うまでもない。ある意味、未知の領域で、勝利を掴んでいく作業は簡単ではないだろう。
 
 過酷なアジアの戦いに身を投じるなかで、今回のチームで軸として期待したいのはDF中野伸哉(鳥栖)とFW北野颯太(C大阪)だ。

 前者は一学年下ながら2019年にU-17ワールドカップに出場しており、Jリーグでの経験値もこの世代ではトップクラス。国際舞台で戦っている点はチームにとっても有益で、不測の事態が起こった時にも冷静に対応できるのは心強い。

 後者も2019年にU-15日本代表の一員としてU-16アジア選手権(現・U-17アジアカップ)予選でラオスの地で戦っており、国際試合の経験を持ち合わせている。現役高3ながらプロ契約を結び、今季はすでにJ1の舞台でもプレーしており、コンディションも良好。個人技で打開できる10番が攻撃のキーマンになるはずだ。

 初戦で相まみえるラオスは、今予選の中で最大のライバルであり、一筋縄ではいかない相手。ボランチの山根陸(横浜)も警戒を強める。

「スピードがある選手が多い。それはウインガーだけではなくて、中盤やセンターバックの選手も一瞬のスピードがあって、少しでもボールが流れたら狙われるし、映像でも見ましたけど、ある程度、人に強く来るなっていう印象がある」
 
 ラオスはホームアドバンテージを生かし、観衆の後押しを受けられる点も、日本にとっては厄介だ。だが、そうしたアウェーの雰囲気を味わえることも含め、選手たちにとっては成長スピードを加速させる大チャンスだ。

 U-21代表に飛び級で選出された経験を持つMF松木玖生(FC東京)、J3でゴールを量産しているFW横山歩夢(松本)などが招集辞退となり、海外組もシーズンの途中で招集できなかったが、アジアでの戦いは財産になる。

「(日常とは異なる)環境を自分たちのものにしていくことがテーマ」とは冨樫監督の言葉。アジアの戦いを通じて、選手たちは何を感じ、何を持ち帰るのか。予選突破に向け、冨樫ジャパンがどのような戦いを見せるのか注目したい。

取材・文●松尾祐希(フリーライター)

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