環境は日本とまるで違う。高温多湿で、立っているだけで汗が吹き出てくるし、突然のスコールも珍しくない。その影響で初戦はキックオフが30分遅れ、ウォーミングアップも室内中心で行なうしかなかった。ピッチ外では、食事も日本とは異なる味付けで、必ずしも口に合うわけではない。

 今までの常識が通用しないなか、3連勝を飾った冨樫ジャパンにおいて、欠かせない選手がいる。それが今予選でキャプテンを務めるMF山根陸(横浜)だ。

 9月12日からラオスで行なわれているU-20アジアカップ予選。来年3月に開催される本大会(来年5月のU-20ワールドカップ最終予選を兼ねる)出場を目ざすU-19日本代表は、ラオス(12日/4−0)、グアム(14日/9−0)、パレスチナ(16日/8−0)に勝利し、18日のイエメン戦を引き分け以上で終えれば、グループ1位で本大会行きが決まる。不慣れな環境下でも勝利を重ねてきたチームにおいて、山根はキャプテンとして存在感を発揮している。
 
 山根はここまでの全3試合に出場。ラオス戦とパレスチナ戦では先発で起用され、グアム戦も61分からピッチに立ってゲームを引き締める役割を担った。

 4−3−3ではインサイドハーフやアンカー、4−2−3−1ではダブルボランチの一角に入り、いずれの試合でも冷静なプレーでゲームをコントロール。長短のパスを織り交ぜながらリズムを作り、隙あらば縦パスを入れて攻撃のスイッチを入れる。

 ラオスとの初戦では、1−0で迎えた44分に、インサイドハーフの位置からペナルティエリア内まで入り込んでヘディングシュートを決めた。守備でもチームを助け、何度もセカンドボールを回収。集中力も最後まで切れず、プレーでチームを引っ張る姿が目立った。

 また、ピッチ外でもリーダーとしての役割を全う。“アジアの戦い”を知らない選手に対して、横浜の一員として出場したアジア・チャンピオンズリーグ(ACL)で「練習会場はこれよりも酷かった」という経験を踏まえ、体験談を仲間に伝えている。チームのために奔走する姿は、まさにリーダーの振る舞いに相応しい。
 
 そんな山根は、実は自分がキャプテンに任命されるとは考えていなかった。山根は言う。

「(中野)伸哉とか(田中)隼人が(最近の代表活動では)キャプテンマークを多く巻いていたので、あの2人についていこうって感じだったんです」

 ただ、驚きはなく、任命されたからには責任を持ってタスクを遂行する気持ちが芽生えてもいた。

「久しぶりの国際大会で堂々とキャプテンマークを巻いても、自分のプレーが出せる選手が選考基準」と言う冨樫剛一監督から託された今予選の大役。所属クラブでも、主将のMF喜田拓也の姿を通じて、リーダーに求められる素養を学んできた。だからこそ、戸惑いもなかったのだろう。
 
 今年5月下旬のモーリスレベロトーナメント(旧・トゥーロン国際大会)でも、「日常で(喜田を)観ているからこそ、ここに来たらもっと自分が引っ張らないといけないとは思っている」と話しており、今回も自分にできる仕事を全力でやりながらチームをまとめていくつもりだ。

 3試合を通じて、キャプテンらしさが出てきた山根。イエメンとの最終戦でも、出場機会の有無に関わらず、チームをまとめる。

「この4試合だけではなくて、今年からずっと積み重ねてきているものをひとつとして考え、アジア予選を締めくくりたい。スコアが何対何とかではなくて、自分たちは勝利をもちろん目ざしますけど、やりたいことや目ざしているものを表現できればと考えている」

 すっかりリーダーの顔になった山根は、予選突破が懸かる大一番でも、自分らしく振る舞ってチームを勝利に導いてみせる。

取材・文●松尾祐希(フリーライター)

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