現地時間9月18日に行なわれたリーグ・アンの第8節、伊東純也を擁するスタッド・ドゥ・ランスとのアウェーゲームで、3−0の勝利を飾ったモナコで南野拓実が待望の移籍初ゴール。さらにアシストも決めて存在価値をアピールした。

 ホームのランスは、ブラッドリー・ロッコの退場で1人少なくなり、アレクサンドル・ゴロビンのゴールでモナコが1−0として迎えた65分に、そのゴロビンに代わり、モナコのフィリップ・クレマン監督は南野を投入した。

 終盤になり、追いかけるランスが3−4−2のハイリスクなフォーメーションで攻勢に出た裏を狙い、南野は87分にカウンターから、スイス代表ブレール・エムボロのパスに反応して抜け出し、GKイェバン・ディウフとの1対1を見事に制した。さらに3分後には、キャプテンのフランス代表FWウィサム・ベン・ヤーデルによる3点目をアシストした。

「タキにはインテリジェンスがある」とクレマン監督。伊東のヘンク時代の恩師でもある指揮官は、ここまで南野をあまり多く起用できていない理由に、”欧州でもトップレベル”と自負するハードなフィジカルトレーニングによる疲れを挙げたが、「徐々にフィットし、今日はゴールとアシストを決め、彼にとってパーフェクトな結果だったと思うし、それはすごく大きなことだ」と評価した。
 
 ベン・ヤーデルとの関係性についても「彼ら2人の素晴らしいフットボールプレーヤーが初めて今日、良い連係も見せた」と語り、ここからさらなる高まりに期待を抱いているようだった。ランスのオーギュスト・ドゥローヌ・スタジアムには、モナコからも多くのサポーターが応援に来ており、終盤に見せた南野の活躍に沸いていた。

 南野は多額の移籍金で獲得した選手でもあり、モナコからの期待は間違いなく高い。ただし、クレマン監督も南野が1人で全てを解決するようなドリブラーではなく、周囲とのコンビネーション構築が活躍には不可欠であると考えている。

「周りとの連係が重要だと会見でも話したところだ。ディフェンダーやミッドフィルダーが新しいチームに来た時もそうだが、アタッカーが新天地に加入した時には連係面がとても大事。お互いが理解して、何を求めているか、どうすればもっと良くなるかを知り合うことに時間がかかるし、徐々に適応していくと思う」
 
 ここまでの起用が決して“冷遇”でないことは確かだろう。ただ、やはりモナコはリーグ・アンでも屈指のタレント力があり、ハイレベルな競争の上に成り立つチームだと感じさせる試合でもあった。

 4−4−2をベースとする前線には、エムボロとベン・ヤーデルという欧州でもトップクラスのFWがおり、サイドハーフにはランス戦で先制点を挙げたウクライナ代表のゴロビン、左利きで将来性豊かなU-20フランス代表のマゲネス・アクリウシェなどがいる。

 特にゴロビンは、縦の突破力に優れるサイドアタッカーで、伊東のように個人でも局面打開できる選手だ。一方でアクリウシェはテクニカルで、左利きながら右足も器用に使うなど、まさしくインテリジェンスがある。

 南野がチームのフィジカルや戦術にフィットしていっても、そう簡単にスタメンで継続的に出られる選手層ではないだろう。ただ、必要なスタンダードを満たしたうえで、対戦相手や状況に応じて選手を起用していくのがクレマン監督の仕事だ。
 
 残念ながらチャンピオンズリーグ(CL)は予選敗退してしまったが、ヨーロッパリーグ(EL)優勝はモナコとして十分に達成可能な目標だ。しかしリーグ・アンは、王者パリ・サンジェルマンをはじめ、リヨン、マルセイユ、リールなどとの競合に打ち勝っていくために、スタートの11人だけで勝ち続けられるほど、やわなリーグではない。

 筆者はたまたま、この試合の前にブンデスリーガのシュツットガルトとフランクフルトの試合を取材したが、コンタクトプレーなど、フィジカル的なタフさは勝るとも劣らないものを感じた。そうした環境で、4−4−2にしても2トップ、左右のサイドハーフをこなせる南野は重要な戦力になっていくはずで、カタール・ワールドカップに向けてパフォーマンスを上げていくためにも、モナコは良いチームであるはずだ。

 ただし、カタール後も続く個人のキャリアで考えれば、重要なオプションで止まるのでは、プレミアリーグ屈指の強豪であるリバプールから来た意味を証明することにはならない。本当にモナコの中心的なアタッカーになっていくには、多くのハードルがあるのは間違いなさそうだ。

取材・文●河治良幸

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