UDN SPORTSは9月26日、持続可能な開発目標(SDGs)達成に向けたプロジェクト「地方からミライを」を開始。水沼宏太(横浜F・マリノス)らが、同日に行なわれたトークセッションに参加した。

 同社は、アスリートのマネジメント事業を中心に活動し、水沼や香川真司(シント=トロイデン)、柴崎岳(レガネス)、清武弘嗣(セレッソ大阪)らが契約している。「地方からミライを」は、地方経済の活性化を起点に日本全国の企業の活性化を目ざすプロジェクト。UDN SPORTSと契約するアスリートがアンバサダーとして参画する。

 トークセッションには、水沼とバドミントンの桃田賢斗、スポーツクライミングの楢﨑智亜と楢崎明智、陸上競技・走り幅跳びの橋岡優輝、7人制女子ラグビーの大竹風美子が登壇。各選手が出身地自慢やSDGsの17項目のうち最も興味があるテーマ、地元企業との取り組み、競技を始めたきっかけや今後の目標などを語り合った。

 水沼は、自身の出身地の神奈川県や横浜市のご当地自慢を展開し、取り組みたいSDGs項目は「飢餓をゼロに」を提示。イベントの最後には、先日の台風15号で大きな被害が出た静岡県への支援をアスリートとして考えたい意向を示した。
 
 トークセッション後、水沼は取材に応じ、SDGsについて、今回のトークセッションへの参加で気づきがあったと話す。

「イベントに出ると決まり、SDGsについて調べると、『なるほど、こういうことか』がたくさんあった。サッカーで地域を盛り上げるのもSDGsに当てはまる。『あ、これも目標の一つとしてできている』と。Jリーガーとしてクラブも地域密着活動には取り組んできたが、SDGsにつながっていると自覚していなかった。すごく前向きに感じられた」

 また、違う種目のアスリートと共にトークセッションに臨み、良い刺激を受けたと振り返った。

「サッカー以外のアスリートと接点を持てた。実は楢崎選手、桃田選手、橋岡選手、大竹選手、各選手は知っていたけど、『初めまして』だった。若い選手から刺激を受けられるし、自分はプロとして15年やってきたので、競技に向かう姿勢を伝えられると思う」
 
 横浜で活躍する水沼は、7月のE-1選手権で初の日本代表入りを果たした。香港戦(6−0)と韓国戦(3−0)でスタメン出場し、日本の4大会ぶりの優勝に貢献した。

「参加して、日の丸を背負う凄さを実感した。代表のユニホームを着て、試合開始前に国歌を歌って、試合に出て。しびれた」

 9月の森保ジャパンの欧州遠征には選出されなかった。「今まで一番、代表発表が気になった。入れず、すごく悔しかった」と“日の丸”への思いが一層強くなったようだ。

 カタール・ワールドカップに向けても、「メンバー入りが厳しいのは分かっているが、可能性がある限りチャレンジはしたい。少しでもチャンスがあるのに、諦める理由はない」と意欲を燃やす。

 来年2月には33歳になる。“ベテラン”と呼ばれる年齢に近づいてきたが、「年齢は関係ない。プレーしていて、まだまだ成長できると感じている」と気にしていないようで、「ただ、経験を積んできたのはプレーに良い影響を与えていると思う」とポジティブに捉えている。
 
 悔しい経験を糧にして、選手として成長してきた。昨シーズン、36試合出場でリーグ2位の9アシストをマークした。ただ、スタメンは1試合のみ。出場時間は667分にとどまった。

「ずっとスタメンでやってきて、ベンチスタートになったのは悔しかった。途中出場のわりにアシスト数が多いと評価されたが、アピールできるのがアシスト数に限られていた。選手としては最初から出てチームに貢献したい。でも、今後に活かせると思う。ベンチを経験して貴重な体験だった。途中から出る気持ちも分かった」

 高く評価されている正確無比なクロスなど、プレー面での活躍に加え、チームを鼓舞する声も定評がある水沼。ただ、チームリーダーとして意識的に行なっているわけではないと明かす。

「チームは勝たなければいけない。僕の声がけでチームの雰囲気が良くなるのなら、いくらでも声を出したい。喉が枯れたっていい。リーダーという意識はなく、夢中になって声を出しているだけ」

 そんな水沼に、今、最も気になる若手選手を尋ねると、横浜ユースの後輩、山根陸を挙げた。「喜田拓也ら“直属の後輩”は他にもいるけど、昇格1年目という意味で。聞くか聞かないかは本人の選択でいいという思いで、色々と伝えている」という。プレー面では「ユースからトップチームに昇格した直後のボランチが、スピードやプレッシャーが全く違うレベルの中でボールを持って前を向けるのが凄い」と称えた。
 
 さらに、「コロナを経験してファン・サポーターとの交流が難しいと痛感した」と繰り返し述べる水沼は今季、ピッチ外での言動も注目を集めている。

 7月のJ1第19節・清水エスパルス戦では、レオ・セアラのゴールをアシストしたクロスについて、Jリーグ公式ツイッターに、プレー時に考えていた点を問われると、3つのツイートで詳細に回答。ファン・サポーターを喜ばせた。

「書き出したら長くなった。そんなに単純なプレーでもなかったので。SNSが発達して、ファン・サポーターとの交流もできるようになっている。JリーグもSNSを利用して盛り上げようとしている。選手が発信して自分の価値を高めるのも大切だと思う」

 また、8月のルヴァンカップ準々決勝・第2戦のサンフレッチェ広島戦の敗戦で、今季初の公式戦3連敗に。試合直後のゴール裏での挨拶では、ファン・サポーターに向かって、選手が悔しい気持ちだと伝え「絶対勝とう、これから!」と鼓舞した。
 
「ファン・サポーターとチームは一体感を持って良い関係でありたい。一緒に戦って負けたからといって、バラバラになってはいけない。勝てない時期、ファン・サポーターは辛いだろうけど、選手にも思いはある。あの時は『何か言わなきゃ』とか考えたのではなく、気づいたら自然と話していた」

 今後に向けて、ファン・サポーターに見てほしいプレーは「『宏太がいるからボールがスムーズに回る』といった点を見てほしい。クロスは得意だけど、ゴールやアシストだけではなく、その前で行なわれるプレー」だという。

 現在、J1リーグでトップに立っている横浜。目標は、もちろん3年ぶりのJリーグ制覇だ。

「F・マリノスが優勝のチャンスが大きいから、何が何でも優勝するのが僕たちの使命。目の前の試合に全力を尽くしたい」

 代表ウィーク明けで再開されるJリーグで、横浜は10月1日、敵地で名古屋グランパスと対戦。残り5戦、意気軒昂な32歳の全力プレーに注目だ。

取材・文●野口一郎(サッカーダイジェストWeb編集部)

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