先日、バルセロナはガビことパブロ・マルティン・パエス・ガビラと2026年6月30日までの契約延長で合意したことを発表した。契約解除金は昨シーズン、同じく契約を延長したアンス・ファティ、ロナウド・アラウホ、ペドリと同額の10億ユーロ(1400億円)に設定。新戦力補強と並行して、クラブは若手逸材の囲い込みを着実に進めている。

 もっともガビに関しては、その道のりは決して簡単ではなかった。クラブとガビの代理人、イバン・デ・ラ・ペーニャとの話し合いは、昨年9月に始まった。当初から、両者の主張には大きな隔たりがあった。

「現時点では超逸材に過ぎないのに、スーパースター級のサラリーを要求している」と、カンプ・ノウの事務所から不満の声が上がった。一方、ガビサイドも対案を出しても、回答を得るまで3、4週間待たされるという交渉のペースの遅さに痺れを切らしていた。

 とりわけクラブからオファーを待っていた最中の今年の5月に、ジョアン・ラポルタ会長が行なった「デ・ラ・ペーニャが我々の提案を好意的に受け止めてくれることを期待する」という発言は彼らを困惑させた。

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 英紙「ザ・サン」によると、ガビは、リバプール、チェルシー、マンチェスター・ユナイテッドからアプローチを受けていたという。しかし、同じくプレミアのビッグクラブから巨額のオファーを受けても、バルサ愛を貫いたフベニール時代がそうだったように、ガビの希望は当初から残留で固まっていた。

「手応えは常にあった。ガビの夢はバルサにある。本人と代理人がそのことを示してくれた」と、スポーツ・ディレクター(SD)のジョルディ・クライフは強調。シャビ監督も、「ガビは競争心の塊だ。競り合いを制し、ボールを奪い、インテンシティを発揮する。とくに即時奪回で見せるプレー強度は凄まじいものがある。素晴らしい才能の持ち主で、違いを生み出してくれる。彼のような選手を指導できるのは監督冥利に尽きるよ」と絶賛する。

 最終的にガビにアンス・ファティやペドリに匹敵する内容のオファーを提示したのは、この指揮官の高評価も背景にあり、その好条件が決め手となり夏の移籍市場終了時に双方はすでに合意に達していた。
 
 正式発表が9月中旬までずれ込んだ理由は主に2つある。1つ目は、ガビが成人に達する18歳になるのを待っていたこと(誕生日は8月5日)。2つ目がファイナンシャル・フェアプレー(FFP)だ。

 規約に抵触しないように、いかに収支の帳尻を合わせるか経営陣が電卓とにらめっこする生活は移籍市場がクローズした後も続いていたが、そんな中、ミラレム・ピャニッチが契約を解消し、シャールジャFC(アラブ首長国連邦)に移籍。その人件費の浮いた分を充てることで、ガビをトップチーム登録することが可能となった。背番号も来年1月から「6」に変更する予定だ。

 シャビは「足下でボールを受けるか、スペースに飛び込むか、中に絞るかといった局面に応じた判断力を向上させる必要がある」と戦術面の課題も指摘するが、ガビに厚い信頼を寄せているのは起用法を見ても明らかだ。ガビのプレーを見ていて彷彿とさせる選手の1人がデコだ。シャビが現役時代に一緒にプレーしたチームメイトでもあるが、ガビも当時の彼と同じくチームに安心感をもたらす存在になっている。
 
「シャビは(中盤の底に)静的なMFを配置する。彼にとって現チームでその役割を果たせる選手はブシ(セルヒオ・ブスケッツの愛称)しかいない。さらにペドリが不動のレギュラーであることを考えると、ガビ、(フレンキー)デ・ヨング、(フランク)ケシエが残り1枠を争う構図になる」

 ある強化担当者は中盤のポジション争いについてこう説明するが、現在その熾烈なバトルを制しているのがガビだ。バイエルン戦がそうだったように、新6番はシャビ・バルサにおいて“中盤の番犬”のごとくピッチを走り回り続けている。

文●ラモン・ベサ(エル・パイス紙バルセロナ番記者)
翻訳●下村正幸

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