近年、多くのJクラブのアカデミーが一貫指導の下、トップチームあるいは世界で活躍できる選手の育成に取り組んでいる。横浜FCフットボールアカデミーもそのひとつで、ユース年代から幼稚園年代まで一貫した育成・指導理念の下で活動しており、プレースタイルは「攻守に主導権を握るアタッキングフットボール」を志向する。
 
 今夏、横浜FCユースはそのスタイルを発揮し、第46回日本クラブユースサッカー選手権(U-18)大会で初のベスト4という成績を残した。
 
「正直、全部出し切ったというよりモヤっとした感覚のほうが強い準決勝になりましたけど、今大会では勝敗へのこだわりも大切にしながら、自分たちのスタイルでどこまでやれるのかを追求したことが良い結果につながりました」
 
 こう語るのはユースチームを率いる小野信義監督だ。
 
 ユースチームは、グループステージでは優勝を果たしたセレッソ大阪U-18に4−0で快勝し、1位で突破を決めた。準決勝で再びC大阪U-18と対戦し、0−1で敗れたが、今大会では多くの試合において攻守に主導権を握り、意図的に相手を動かしてチャンスや決定機を作った。
 
 一方、課題も見つかった。サガン鳥栖U-18との準々決勝は1−0で競り勝つも、終始ボールを保持され、まったくスタイルが出せなかった。選手個々のトータル力(技術、判断、フィジカル、マインドなど)にも差があったという。
 
「(個の強化も含めて)まだまだ改善しなくてはいけないと気付かされました」(小野監督)
 
 今夏は中学年代の横浜FC Jrユースも、第37回日本クラブユースサッカー選手権(U-15)大会で躍進。育成組織の全カテゴリーを含めて初となる全国での準優勝を成し遂げた。
 
 グループステージを2位で通過したJrユースチームは、決勝トーナメント1回戦では清水エスパルスJrユースとPK戦までもつれるも、その後は順調に勝ち進む。迎えた決勝戦は、グループステージ1節で3−0と完勝していたC大阪U-15。試合は1−3で敗戦したが、和田拓三監督は「セットプレーから先制点を奪われて、そこで隙を見せてしまいましたけど、最後まで諦めずに1点返せたのは次に繋がると思います」と振り返る。
 
 さらに、「頂点を目ざすためにはもっと質を上げていかなければいけませんが、自分たちがやりたいサッカーで準優勝という結果を出すことができた。アカデミーのプレースタイルが間違っていないという証明にもなった」と手応えを示す。
 
 小野監督、和田監督の言葉から伝わってくるように、この2チームが躍進した要因のひとつは、プレースタイルの浸透の深さにある。一貫した育成体制があるからこそ、カテゴリーが違っても監督やコーチの指導にブレがなく、選手たちも身に付けたものを試合で表現できるのだろう。
 
 また、アカデミー全体でレベルアップを図っている点も特長と言える。例えば小野監督がJrユース、和田監督がユースの練習にお互い参加してチームや選手の状況を確認し合う。そうすることでチーム戦術や浮き彫りになった課題の改善方法を探るとともに、選手への伝え方などもブラッシュアップしているという。小野監督は「フランクにコミュニケーションが取れるのもうちの強み」と胸を張る。
 
 クラブユース選手権における横浜FCユース、横浜FC Jrユースの次なる目標は“優勝”だ。今回の経験を糧に、さらなる高みを目ざす。
 
取材・文●金子徹(サッカーダイジェスト編集部)
 
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