[キリンチャレンジカップ]日本 0−0 エクアドル/9月27日/デュッセルドルフ・アレーナ

 ワールドカップのメンバー選考前の最後の強化試合が終わった。26人のメンバー選考については割愛するが、実績を重視する森保一監督の考えから、大枠のメンバーに変化はないはずだ。

 スタメンに目を向ければ、このドイツ遠征の戦いを経て、序列が変化したと感じたポジションは2つ。

 1つ目はゴールキーパーだ。

 言うまでもなく、エクアドル戦でのPKストップの活躍などで、シュミット・ダニエルがスタメンに最も近い存在になったのではないだろうか。チームがピンチになっている場面で活躍してチャンスを掴んだ彼は、かつての川島永嗣のようだ。

 川島は12年前の2010年南アフリカ大会で、開幕直前の強化試合で正GKの座を奪った。そのまま本大会でも安定したパフォーマンスを見せ、日本のベスト16入りに貢献している。

 これまでは権田修一がゴールマウスを守る機会が多く、アジア予選での活躍は誰もが認めるものであったが、その後のポジション争においては、シュミットが抜け出したのではないだろうか。

 チームに勢いをもたらすことができる選手は貴重である。特に、ゴールに直結するプレーであればあるほど、チームの空気を変えてくれる。エクアドル戦で、あのPKが決まっていれば、日本は0−1で敗れていたかもしれない。

 強化試合とはいえ、ワールドカップのシミュレーションとして考えれば、勝点1をもたらしたシュミットのプレーは、ヒーローに値する(だから、エクアドル戦でのMVPも彼しかいない)。

 守りの選手はやはり、ゴールを止めてくれる香りがあったほうがいい。
 
 もう1つ、スタメンの序列の変化があったのはトップ下。格の違いを見せつけているのが鎌田大地だ。

 所属クラブでの好調ぶりをそのままに、アメリカ戦では1ゴールを叩き込んだが、エクアドル戦でも途中出場で少ない時間ながら、前線でスペースを見つけては常にゴール前に顔を出し、いくつかのビッグチャンスを作り出した。彼がピッチにいるだけで、ゴールの香りが出ているように感じさせてくれる。

 日本はアメリカ戦、エクアドル戦ともスタートのシステムはトップ下を配した4−2−3−1で臨んだ。これまで4−3−3で戦ってきたのに、4−2−3−1に変えたのは、トップ下を得意とする鎌田を活かすため、だと考えてもおかしくない。

 本来、そのポジションでプレーすべきは、南野拓実だったはずだが、エクアドル戦でトップ下としてスタメン出場したものの、期待どおりの活躍を見せてくれたとは言いがたい。

 そんな南野のパフォーマンスを見てか、「落選もありえるかも」という報道もちらほら目にするが、そんな心配は杞憂に終わるだろう。しかし、鎌田と南野を比較して、一つ言えるのは、所属クラブでの活躍ぶりが日本代表でのピッチ上に如実に表われるということだ。

 当然、クラブで活躍できなければ、代表チームでもなかなか活躍することはできない。ワールドカップ開幕までの2か月間で、選手たちが所属クラブに戻ってたくさん結果を出して、鎌田のように自らの成長と、自信へとつなげてほしい。
 
 話はそれるが、三笘薫も同じくゴールの匂いを感じる選手。しかし、エクアドル戦でのプレーを見るかぎり、スペースが生まれる終盤で起用し、スーパーサブとして彼の良さを活かしたほうが相手にとって脅威となる。

 ワールドカップに向けた“組み合わせ”を見れば、三笘と堂安律のセット起用はゴールを奪いたい時の大きな武器になりえる。堂安をワントップに起用する戦術における化学反応も興味深いが、最大の武器である「カットインからのシュート」を引き出すには、慣れ親しんだ右サイドでプレーさせたほうが賢明だろう。

 アメリカ戦では後半の途中から、エクアドル戦ではスタートから堂安と三笘のセットで臨んだが、「右サイドでゲームを作って左サイドで仕留める」というチームスタイルが確立されていた。ボールをキープできる堂安が単独でカットインしてシュートを打ってもいいし、左サイドへワンステップでサイドチェンジすれば、フリースペースで三笘が「1対1」で勝負できる状況を作り出すことができる。

 エクアドル戦ではノーゴールに終わったが、ゴールを奪いに行きたい状況下では、特にこのセットは大きなオプションとなる。

 一方、チームの課題に目を向ければ、ワントップが空席であることだ。

 このドイツ遠征で、目に見える結果を残したフォワードはいなかったが、ワールドカップの初戦・ドイツ戦にすべてを賭ける必要があるとすれば、アメリカ戦でスタメン出場した前田大然のチェイシングはチームにとっての生命線だろう。もちろん怪我から復帰すれば、パワーと走力の点で浅野拓磨のほうが、さらにチームのチェイシング力が高まるかもしれない。

 エースストライカーがいないなか、ワールドカップを制した国は思い当たらない。長期的視野に立って、世界に渡り合えるストライカーを育てなければならないことを考えると、10代のフォワードを思い切って抜擢するのも一案だろう。

 しかし、近未来のカタール大会に限って言えば、それを言っても仕方がない。
 
 エースストライカー不在のなか、どう勝ち上がればいいのか。その視点で考えると、ドイツに勝つために森保監督はあらゆるイメージを想定していると思うが、無失点の時間を長く保ち、後半の勝負どきに「堂安―三笘」のセット起用などでいかに1点を奪うか、といったプランが現実的。

 また、今回のワールドカップは、選手交代枠は「3人」から「5人」まで拡大される。普通に考えれば、クオリティの高い選手を多く抱えるドイツやスペインなどサッカー大国に有利に働くことは間違いない。そうした相手の動き(自由)を封じるためにも、インテンシティを高く保つ必要がある。

 日本は、自陣ゴール前で待ち構えて屈強な攻撃を跳ね返すスタイルではない。守備のファーストステップとして「前線のプレス」を効かせる必要があるから、堂安をワントップで起用する選択は現実的とは言えなくなったが、それでも見てみたい気持ちは強い。

 そのファーストチョイスはアメリカ戦で実績を示した前田なのか、あるいは怪我からの復帰を目ざす浅野や、実績十分な大迫となるのか注目は高まる。

【動画】三笘薫の超絶突破、長谷部誠の緊急合流、即席サイン会などサバイバル合宿が活況

【PHOTO】デュッセルドルフ・アレーナに駆け付けた日本代表サポーターを特集!

【PHOTO】日本代表を応援する「美女サポーター」を厳選!