横浜F・マリノスが3年ぶり5度目のJ1リーグ制覇を果たした。
 
 11月5日のJ1最終節。敵地のノエビアスタジアム神戸に乗り込んだ首位の横浜は、26分にエウベルのゴールで先制する。前半アディショナルタイムに同点とされるが、後半に西村拓真と仲川輝人が加点して2点差とすると、その後はJ屈指のタレント軍団である神戸に最後までゴールを許さず、3−1で歓喜の瞬間を迎えた。
 
 今季の横浜が強かった要因のひとつは、圧倒的な攻撃力だ。アンデルソン・ロペスとレオ・セアラがともに11ゴール、西村拓真が10ゴールと3人だけで30点以上を取り、エウベルと仲川輝人の脅威的なスピード、水沼宏太の高精度クロスも大きな武器になった。
 
 インテンシティの高い守備もそのひとつ。ボランチの喜田拓也、渡辺皓太、藤田譲瑠チマは攻守の切り替えが早く、攻撃時に奪われたボールを敵陣内ですぐに奪い返すシーンも多々あった。
 
 ほかにもCB岩田智輝とエドゥアルドの安定感だったり、GK高丘陽平の高いセービング力と足もとの技術など、挙げれば枚挙に暇がない。それくらい隙のないチームだったが、横浜担当として、年間を通じて強く感じてきたのがチームの“一体感”であり、最も大きな優勝の要因と言えるのではないだろうか。
 
 実際、A・ロペスが6試合の出場停止処分を受けた時や宮市亮が右膝前十字靭帯断裂の大怪我を負った時、終盤でガンバ大阪とジュビロ磐田に2連敗した時など、あらゆる場面でマリノスファミリーの“一体感”を発揮してきた。
 
 そして最終節も、敵地にもかかわらず多くのファン・サポーターが会場に駆け付け、まるでホームのような雰囲気を作り、「優勝」を掴み取るべく選手を後押しした。

 優勝後のインタビューで主将の喜田拓也が「苦しい時に一歩、頑張らせてくれたのはチームメイトやチームスタッフ、ファン・サポーターの存在。周りに感謝しかない」と語れば、水沼も「一緒に戦ってくれた仲間たちとみなさんに感謝したい」、仲川も「選手一人ひとりがチームのために行動し、ピッチで表現してきた結果。メディカルなども含めてみんなに感謝していますし、全員で掴み取った優勝だと思う」と同じ想いを口にしたのが、それを物語る。
 
 もちろんケヴィン・マスカット監督が常々「全選手の力が必要」「次の試合に向けて準備」と口にしてきたように、指揮官の巧みなマネジメントも要因のひとつだ。ただ、喜田、水沼、仲川が揃って発した「感謝」という二文字からは、ピッチに立っているかどうかに関係なく、同じ想いを持ってそれぞれの役割をこなせば必ず良い結果が得られるという、マリノスファミリーの強くて固い“一体感”を改めて感じた。
 
 そして選手たちは、すでに先も見据えている。まだシャーレを掲げてから数時間と興奮が収まらないなかで水沼は、「2連覇への挑戦権は僕らしか持っていません。今年以上にアップデートした姿を見せたい」と語気を強める。
 
 喜田も「リーグタイトルは獲りましたけど、今年はACLで悔しい想いをしました。ACLの借りはACLで返します」と意気込む。
 
 来季の目標は当然、リーグ戦2連覇とACL優勝になるだろう。その目標に向けて今季の“一体感”もどのようにアップデートしていくのか。今から楽しみで仕方ない。
 
取材・文●金子徹(サッカーダイジェスト編集部)
 
【PHOTO】敵地神戸で優勝の歓喜に沸いた横浜F・マリノスサポーター