芸能界屈指のサッカー通で、J1からJ3まで幅広く試合を観戦。Jリーグウォッチャーとしておなじみの平畠啓史氏がセレクトする「J1月間ベストイレブン」。見応えあるタイトルレース、熾烈な残留争いが繰り広げられた10・11月の栄えある11人はどんな顔ぶれになったか。MVPには、ガンバの守護神が選出された。

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 GKはガンバ大阪の東口順昭。終盤4戦負けなし。4試合すべて無失点。G大阪の残留のドラマに東口の活躍は欠かせなかった。

 10月1日の柏レイソル戦ではビッグセーブ連発でチームを救う。21分、マテウス・サヴィオのミドルシュートに反応。そのこぼれ球に細谷真大がフリーで詰めていたが、東口はすぐに立ち上がり間合いを詰めてシュートを防いだ。

 66分には三丸拡のクロスにドウグラスのヘディングシュート。東口にとってはかなり至近距離からのヘディングシュートだったが、身体を投げ出して防いだ。

 G大阪の残留劇は柏戦の東口の好セーブがスタートさせたと言っても過言ではない。終盤のJリーグのなかで東口の存在感は際立っていた。
 
 DFは3人。右には京都サンガF.C.の白井康介。尋常ではない走力。目の前にスペースがあれば、どんなに長い距離でもスプリントを続ける。たとえ、それが試合終盤であっても彼は走ることをやめない。

 圧巻は最終節のジュビロ磐田戦のアディショナルタイム。こぼれ球に反応した伊藤槙人のシュートはゴール方向に飛んでいたが、その前に一度、守備対応していたにもかかわらず白井は反応して、ジャンプしながら足を延ばして、シュートを防いでみせた。白井の献身性は感動的でもある。

 ディフェンスの中央にはG大阪の三浦弦太。自陣で守る時間が多くなり、相手の攻撃を受ける時間も少なくはなかったが、しっかりと身体を張って相手の攻撃を跳ね返し続けた。G大阪の終盤の戦いのなかで東口や昌子源、そして三浦の守備力は欠かせないものとなった。

 もう1人はアビスパ福岡の湯澤聖人。タフに戦えて、身体も強い。そして、守備的な戦いで攻撃の枚数が少ないなかでも、運動量豊富に攻撃に加わり、下支えするだけでなく、アシストで攻撃にも貢献。湯澤のスタミナがアビスパを降格の危機から救った。
 
 中盤のアンカーの位置に横浜F・マリノスの喜田拓也。攻撃的なチームにおいて、あらゆるスペースを埋め、ときには攻撃にも加わる。優勝を決めたヴィッセル神戸戦でも中盤で存在感抜群だった。

 インサイドハーフに神戸の小林祐希。31節、32節と連続ゴール。これまでは人を使うイメージもあったが、使われるプレーでも力を発揮。そして、33節・川崎フロンターレ戦での直接フリーキックは文句なし。終盤の戦いで神戸を牽引した。

 インサイドハーフのもう1人は、北海道コンサドーレ札幌の青木亮太。卓越した技術力が様々な場面で披露された。攻撃でも存在感抜群だったが、怪我人が出てボランチに移っても持ち味を発揮。今シーズンは8ゴール。来シーズンはさらなる飛躍が期待できる。

 前線は4トップ気味で、右には川崎の家長昭博。神戸戦でPKを決めたあと、ピッチを叩きつけたシーンや、1人少なくなった最終節FC東京戦で献身的に守備に奔走するシーンに、技術だけでなく戦う漢であることを見せつけられた。

 左には川崎のマルシーニョ。何度もスピードに乗ったドリブルで突破するだけでなく、肝心なところでゴール前にも姿を見せた。終盤4連勝フィニッシュの川崎で3試合連続ゴールの活躍だった。
 
 2トップは湘南ベルマーレの町野修斗。終盤戦、出場4試合で4ゴール。10月8日のFC東京戦で自陣からドリブルで運んで決めきったゴールは、町野のストライカーとしての引き出しの多さを証明するものとなった。

 もう1人は神戸の大迫勇也。無理な態勢でも巧みにボールをコントロールして何度も攻撃の起点になっていた。前線での存在感はやはり特別である。

 MVPはG大阪の東口。少しステップを踏んで膝を軽く曲げてから、ボールに無駄なく向かいセーブする動きの速さ、スムーズさは美しい。至近距離のシュートに対する反応が鋭い。G大阪を救った東口のプレーぶりはMVPにふさわしい。

取材・文●平畠啓史

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