いよいよ開幕が迫るカタール・ワールドカップ。森保一監督が率いる日本代表は、いかなる戦いを見せるか。ベスト8以上を目ざすサムライブルー、26の肖像。今回はDF谷口彰悟(川崎フロンターレ)だ。

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 カタールの地で、谷口彰悟が“最後の砦”となるかもしれない。

 ゴール前で最後に身体を張る守備の要として。そして、冨安健洋、板倉滉ら怪我を抱える選手が多いセンターバック陣の、主力として。約1000人が集った11月6日の壮行会では、腕をぶした。

「怪我人が出たからではなく、常にどんな時もチャンスが来てもいいように準備をしている。グループリーグで対戦する3つの国はワールドカップ常連で、力のあるチーム。そういう国とワールドカップで本気の戦いができる。こんなに嬉しいことはない。自分たちの力を証明したい」

 5日のJ1最終節・FC東京戦で鼻骨を骨折したが、プレーには支障がない。補正手術を受け、黒いフェースガードも作製済みで、「やれと言われたらできる。怖さ次第。あまり気にはしていない」と力強く言った。

 自分の容姿で気に入っているところは「顔」。イケメンを潔く認め、「だいぶ得しています」と笑う。そう聞かされても、恐らく誰もつっこめないほど端正な顔立ちゆえの数少ないデメリットがあるとすれば、泥臭さが見えにくいところではないか。
 
 そんな谷口は、一つの大きな後悔を胸にプロ生活を続けてきた。

 2014年に筑波大から川崎入り。1年目から公式戦35試合に出場した。2年目の翌15年にはハリルジャパンで日本代表に初招集された。

 だが、自身でも「順調だった」と認める歩みは、途中で途切れた。17年を最後に、代表に呼ばれなくなった。

「甘かったなと今でもすごく思う。当時はビッグネームというか、代表常連の欧州でバリバリやっているような選手がたくさんいて、そういった人たちに食らいついてやろうみたいな気概はなかった。どうしてもお客さんという感じがあった」

 代表から遠ざかって初めて、猛烈な後悔に襲われた。「なんで俺はもっとやらなかったんだ。しがみついてでも入るべき場所だった」と。海外移籍も検討したが、最終的には川崎で自身を成長させることを選んだ。

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「センターバックは、ゴールキーパーを除いて一番屈強じゃないとダメだという考えがあった」。Jリーグでも海外勢に当たり負けないパワーを身につけるため、ウエイトトレーニングに励んだ。

「体つきもここ数年で変わってきている。パワーは年々、上がってきている感じはする」と変化を自覚。体重も17〜20年で3キロ増えた。

 そして昨年6月、森保一監督のもとで再び代表の扉が開いた。「このチャンスを逃したら終わり」と食らいついた。以降は定期的に招集され続け、今年1、2月には吉田麻也、冨安不在のアジア最終予選で2試合連続の完封勝利に貢献。7大会連続のW杯切符をつかむ立役者の一人となった。
 
 もう「お客さん」ではない。W杯では堂々と“最後の砦”を務める覚悟がある。

「ビルドアップで相手を剥がしていくプレーは、これまでの代表活動を通しても十分できる自信がついている。本番だろうが相手の国がどこだろうがやらないといけない。自分に自信を持って、存分に発揮していきたい」

 端正なマスクの陰に、泥臭い思いがにじんだ。

取材・文●波多野詩菜(スポーツニッポン新聞社)

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