ついに幕を開けたカタール・ワールドカップ。森保一監督が率いる日本代表は、いかなる戦いを見せるか。ドイツとの初戦は11月23日。ベスト8以上を目ざすサムライブルー、26の肖像。今回はDF冨安健洋(アーセナル)だ。

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 福岡のアカデミーでスキルを磨いた冨安健洋は、トップ昇格を果たしたのち、ベルギーのシント=トロイデン、セリエAのボローニャ、そしてプレミアリーグのビッグクラブであるアーセナルとステップアップした。

 A代表でセンターバックの主力として誰もが認める存在となったのは、2019年のアジアカップ、準決勝のイラン戦だった。

 大迫勇也の2ゴール、原口元気の1ゴールで3−0の完勝を飾った試合後に「スーパーゲーム!」と大声を発した長友佑都が「冨安はスーパーでしょう」とこちらが聞くよりも前に言ってきたことは、今も鮮明に覚えている。

 そこからキャプテンの吉田麻也とともに押しも押されもせぬディフェンスの中心となってきた。メディア対応をしている時の冨安は常に誠実で、物静かな好青年だが、一度ピッチに立てば、相手アタッカーにとって本当に厄介な存在となる。
 
 福岡ではボランチでも起用された富安にとって、1つ転機となったのがボローニャで右サイドバックを経験したこと。当時のシニシャ・ミハイロビッチ監督のもと、攻撃の時は左のサイドバックが高く上がり、右の冨安が基本的に残る可変型で、冨安は持ち前の守備能力に加えて、攻撃面でも非凡な才能を発揮した。

 ベルギーからイタリアに戦いの舞台を移した冨安が、戦術以上に直面したのはタフさ。2019年の8月、セリエA開幕戦にスタメンでフル出場すると、辛口で知られる現地スポーツ紙も、軒並み最高評価を付けた。

 しかし、冨安は打撲の数がベルギーとは違ったことを明かしている。プレミアリーグではさらに厳しい環境のなかで、主に右サイドバックで奮闘しながら、日本人DFの価値を高めてきた。

 そんな冨安にとって最大の敵が怪我かもしれない。大きな目標の1つであった東京五輪はすでにA代表の主力として、オーバーエイジさながらの活躍が期待された。しかし、足首の負傷に苦しみ、さらに出場停止でメキシコとの準決勝を板倉滉に託すこととなった。
 
 その後、新天地のアーセナルで活躍を見せていたが、シーズン終盤にふくらはぎを痛めて、長期離脱を余儀なくされた。日本代表でも、4試合が組まれた6月シリーズでは試合に出ない前提で、トレーナーが個別に付いてリハビリを行なうという異例の措置によって、新シーズンにこぎつけた。

 ただ、100パーセントの状態ではなく、チームが開幕から好調を続けるなかで、完全にポジションを奪えていない。それでも出場チャンスがあれば、さすがのパフォーマンスでアーセナルの勝利を支えていた。

 ところが、11月3日に行なわれたヨーロッパリーグのチューリヒ戦で、右太腿を負傷。日頃は誠実なメディア対応をしてくれる冨安だが、カタールでの直前合宿の最初の対応では怪我のことを集中的に聞かれて、さすがにいつにも増して口数は少なかった。
 
 公開練習の期間はずっと別メニューが続き、カナダとの最後のテストマッチも回避したが、本人はドイツとの初戦にも間に合うことを主張している。

 間違いなく守備の要だが、やはり心配になるのは怪我の影響と再発のリスクだ。ドイツ戦はもちろん、2試合目以降でどうなっているのか。日本の躍進にも大きく関わるポイントになることは間違いない。

文●河治良幸

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