ついに幕を開けたカタール・ワールドカップ。森保一監督が率いる日本代表は、いかなる戦いを見せるか。11月23日、初戦の相手はドイツ。ベスト8以上を目ざすサムライブルー、26の肖像。今回はMF守田英正(スポルティング)だ。

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「自分はエリートではない」と日本代表の主力ボランチ、守田英正は語る。

 金光大阪高から流通経済大に進学したが、ファーストチームの主力に定着したのは3年生になってから。アンダー世代で一度も代表に呼ばれなかった。4年生になり、ようやくユニバーシアード代表に選ばれた。

 そこで2つ年下の旗手怜央(セルティック)、三笘薫(ブライトン)とチームメイトになり、一緒に金メダルを獲得した。いくつかあったオファーから川崎を選んだのは、厳しい環境にもまれることで成長を望んだからだろう。

 冬のインカレでMVPを獲得した守田は当然、川崎でも即戦力として考えられていた。1年目から中盤の主力に定着して、ACLでも中心的な役割を担った。
 
 その裏付けとなったのが、学習意欲の高さ。特別指定からチームに参加していた守田は、同じボランチの大先輩である中村憲剛を質問攻めにした。もともと守備能力は高いが、攻撃面で抜群の存在感を放っていたわけではない。しかし、守田はみるみるうちに進化していった。

 ルーキーイヤーだった2018年の9月に、山口蛍(神戸)と、同僚である大島僚太(川崎)が怪我で代表辞退したため追加招集で、初陣となった森保ジャパン入りを果たす。代表初キャップとなったコスタリカ戦は右サイドバックでプレーした。

 プロ1年目から主力としてリーグ連覇に貢献した守田。翌年のアジアカップは怪我で離脱、クラブでもコンディションがなかなか整わない時期が続くが、3年目は旗手と三笘も正式に加わったチームで中盤を引き締め、成長著しい田中碧(デュッセルドルフ)とも名コンビを組んで、3年間で2度のリーグ優勝を経験した。

 ポルトガルのサンタ・クララに移籍することが発表されたのは2021年1月だった。慣れない環境で守田は自身の特長やビジョンを知ってもらうために、ポジションの近い仲間と積極的にコミュニケーションを取った。
 
 さらに攻撃ではボールの繋ぎ役だった川崎からマインドを変えて、チャンスと見れば飛び出してゴールを狙う姿勢を押し出した。そしてサンタ・クララ加入から2か月経った同年3月に、アジア2次予選で2年ぶりの代表招集を受ける。

 当時はコロナ禍でオンライン取材だったが、守田の顔つきから語り口まで、欧州挑戦前とは明らかに変わっていた。それでもボランチには遠藤航(シュツットガルト)と柴崎岳(レガネス)という主軸がおり、守田も完全な主力になれていたわけではない。

 しかし、最終予選のオマーン戦とサウジアラビア戦に敗れると、森保一監督は4試合目となるホームのオーストラリア戦で4−1−4−1(4−3−3)に変更し、遠藤、田中、守田の“ボランチトリオ”を起用し、2−1の勝利に結びつけた。そこから予選突破を決めたアウェーのオーストラリア戦までファーストセットとなった。

 今年の夏、ポルトガルの名門スポルティング・リスボンに移籍した守田は、元ポルトガル代表のルベン・アモリム監督のもとで、「戦術をここまで教えてもらうのは今回が初めて」と学ぶなかで、チャンピオンズリーグを経験するなど、さらなる成長を見せた。

 6月は負傷離脱したため、実質的に久々の代表となった9月のアメリカ戦で、守田は4−2−3−1のボランチで遠藤と組んで、2−0の完勝を支えた。
 
 初のW杯に主力として臨むことが期待されたメンバー発表前、ふくらはぎに違和感が出た。そこからチームに合流後も別メニューとなり、UAEのドバイで行なわれた本番直前のカナダ戦は、脳震盪からの復帰プロトコル中だった遠藤とともに、カタールに居残りとなった。

 しかし、ドイツ戦の前日にようやく全体練習をフルメニューでこなした守田は「やるべきことはやってきましたし、まあ、ぶつけるだけ」と語る。フィジカル的には手探りの状態ではあるが、痛みは問題ないという。

 躍進の鍵を握る1人であることは間違いないだけに、どこまでベストパフォーマンスに近づけるかが気になるところだ。それでも試合に出る以上は、100%を期待したい。

文●河治良幸

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