「アサノは歴史に名を刻んだ」対戦国スペインの記者が森保Jのドイツ戦出場16選手を採点! V弾の浅野と並ぶ最高評価は? HT交代の久保より低い最低点は…【W杯】
森保ジャパンはカタール・ワールドカップの初戦で、優勝4回を誇るドイツを相手に2−1の逆転勝利を飾った。第3戦で対戦するスペインの記者は、日本代表選手のパフォーマンスをどう見たのか。試合分析に長けたアルベルト・モレン記者に採点してもらった。
―――◆―――◆―――
【GK】
権田修一 6.5点
PKを献上して先制を許すなど、クリアや飛び出しにおいて不安定な対応を見せる場面もあったが、ドイツが最も攻勢をかけてきた時間帯に、ビッグセーブを連発。土俵際でチームを踏みとどまらせ、逆転勝利をもたらす原動力となった。
【DF】
酒井宏樹 5点
前半、ラウムのオーバーラップとムシアラの中に絞る動きに手を焼いた。システム変更に伴い負担が軽減し、後半、持ち直したが、攻撃面ではウイングバックに役割が変わっても存在感は希薄なままだった。
板倉滉 6.5点
前半、ドイツが左サイドから繰り出す再三の攻撃に最も難しい対応を強いられた。後半、システム変更に伴い、DFの枚数が1枚増えたことで、後方のスペースに気を配ることなく果敢にアプローチする場面が増え、持ち味を発揮。相手のプレスを回避する精度の高いロングパスで攻撃面でも大きく貢献した。
吉田麻也 7.5点
前半、チームが劣勢に立たされる中、相手の攻撃を最後のところで食い止め、DF陣の中では出色の出来だった。後半もディフェンスリーダーとしてビルドアップの局面において方向づけの役目を果たしながら、板倉や冨安の背後を巧みにカバーした。
長友佑都 5.5点
ドイツの攻撃が左サイドに比重が寄り仕事量が多いわけではない中でも、ニャブリとミュラーの対応に苦しんだ。攻撃でもパスの受け手になろうという姿勢は見られたが、貢献度は高いとは言えなかった。結果的に三笘との交代が日本の逆転勝利のカギとなった。
【MF】
遠藤航 7.5点
チームと同様に、尻上がりにパフォーマンスが良くなった。ガツガツと寄せる守備がドイツが攻勢をかけた前半のいくつかの時間帯において、チームに混乱をもたらす原因にもなった。だが、流れが変わった後半は、その強度の高いプレーでプレッシングやカバーリングに奔走し、ラインを押し上げた。
田中碧 6.5点
遠藤と同様に、下がって守るよりも、前からプレスを仕掛けるほうが持ち味を発揮する選手だが、前半の最も苦しい時間帯においても、卓越した戦術眼を見せた。日本がラインを押し上げ、敵陣に攻め込む時間帯が増えた後半は、足下にボールを収めた後のプレーでやや創造性を欠いた。
伊東純也 4.5点
日本にとって攻撃の突破口になれる選手のひとりだが、むしろ問題となったのは守備の対応だ。帰陣が遅く、ラウムのオーバーラップを再三許し、その守備の拙さは前半、相手の攻勢に防戦を強いられる原因となった。後半、システム変更に伴い状況は改善したが、攻撃面で決定的な仕事をできないまま試合を終えた。
鎌田大地 7点
日本がボールを握れず、ゴールから離れたエリアでのプレーを余儀なくされた前半は、所在なさげで攻撃面で影響力を発揮できなかった。後半は遠藤とダブルボランチを形成し、チームに欠けていた創造性をもたらした。
久保建英 5点
前半のみで退いたが、ゴールから離れたエリアでプレーし、チームがポゼッションできず、持ち味を発揮するには難しい状況だったことも確かだ。なかなかプレーに絡めず、味方とのコンビネーションからチャンスを作り出すよりも、プレッシングに奔走する姿のほうが目立った。
【W杯PHOTO】堂安だ! 浅野だ! 日本代表が大金星を挙げた大国ドイツとの歴史的一戦を厳選フォトでお届け!
【FW】
前田大然 5.5点
エネルギッシュに動き回り、献身的なフリーランを再三見せたが、オープンスペースでドイツのCB陣に走り勝つまでには至らなかった。特にリュディガーにデュエルでことごとく劣勢を強いられ、常にそのコントロール下に置かれた状態で、プレーすることを余儀なくされた。
【途中出場】
DF
冨安健洋 7点
後半の頭から出場し、試合の流れを変える働きを披露。システムが4−2−3−1から3−4−2−1にシフトする中、守備の安定感とビルドアップの精度の向上に寄与した。自陣ペナルティエリアの守備対応、足下でのプレーいずれも落ち着きが際立っていた。
MF
三笘薫 8.5点
左ウイングバックとして途中出場し、同点弾を演出するなど、逆転勝利の立役者のひとりに。間合いを取りながら、ドリブルで攻撃に推進力をもたらすだけでなく、的確な状況判断や正確なパスも光った。攻撃陣の中で最も明確なアイデアを持ってプレーしていた。
FW
浅野拓磨 8.5点
ノイアーが守る相手ゴール近くでプレーできたという点で、前田よりも有利なシチュエーションだったのは確かだ。しかしそれまで圧倒的な存在感を見せつけていたリュディガーを向こうに回し、局面を打開する推進力を発揮したのは見事の一言。逆転ゴールを叩き込み、W杯の歴史にその名を刻んだ。
MF
堂安律 7点
右サイドにおいて伊東のパフォーマンスを改善させるというミッションを見事に遂行した。ワイドに張るだけでなく、頻繁に中に絞ってはパスを正確にさばき、同点弾に象徴されるように、ゴール前に顔を出すタイミングも絶妙だった。森保監督の采配の正しさを証明する1人に。
MF
南野拓実 6.5点
最後の交代カードとして投入され、日本は6人のアタッカーが同時にピッチに立つという攻撃的な布陣に。堂安の同点弾をアシストしただけでなく、左サイドと中央を行き来しながら、ジューレを苦しめた。
文●アルベルト・モレン
翻訳●下村正幸
【PHOTO】カタールW杯のスタンドを華麗に彩る“美しきサポーターたち”を厳選!
【W杯PHOTO】試合前後の緊迫した選手入場口…試合では見れない日本代表の表情を厳選!