2023年シーズンも新たな俊英たちがプロのステージに足を踏み入れる。期待通りの活躍を見せるのか。あっと驚くような輝きを放つのか。1年目から結果を出すのは簡単ではないが、昨季のMF松木玖生(FC東京)が高卒ルーキーながら主軸を担ったように、チャンスは無限大だ。本稿では、注目すべきブレイク候補10人を紹介する。

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DF
山﨑大地(順天堂大→広島)
 184センチの高さと正確なフィードに加え、豊富な経験値が魅力の守備者だ。広島ユース時代に2種登録されており、高校2年次には久保建英らとともにU-17ワールドカップに出場。順天堂大に進学後も世代別代表や全日本大学選抜で構成されたU-23日本代表でもプレーした。ユース時代の同期である松本大弥、東俊希と再びプレーする今季は、大学4年間の成長を示す場となるはずだ。

DF
津久井佳祐(昌平→鹿島)
 良い意味で“鹿島らしくないCB”だ。闘志を前面に押し出して戦うよりも、ポジショニングや駆け引きで勝負するクレバーなタイプ。ディフェンス面における嗅覚に優れ、相手よりも先に動いてピンチを未然に防ぐ。昨夏のインターハイで大怪我を負ったが、今冬の選手権で完全復活をアピール。植田直通、昌子源、関川郁万など先輩たちから学び、さらなる成長を誓う。
 
MF
大迫 塁(神村学園→C大阪)
 正確な左足のキックとゲームの流れを読む眼を持つプレーメーカーだ。セットプレーのキッカーとしても有能で、今冬の選手権では準決勝で直接FKをねじ込んでいる。憧れの存在は清武弘嗣。練習参加するたびに言葉を交わし、自分の肥やしにしてきた。フィジカル面の課題はあるが、プロのスピードに慣れれば、早期デビューも見えてくるはずだ。

MF
石渡ネルソン(C大阪U-18→C大阪)
 高校2年生だった昨年5月にルヴァンカップでトップチームデビューを飾った逸材だ。同10月にはJ1の舞台を経験するなど、クラブからの期待値は高い。主戦場は中盤の底。185センチのサイズを活かしたプレーだけではなく、技術にも自信を持つ。3列目から推進力を発揮し、決定的な仕事をする場面も少なくない。ナイジェリアにルーツを持つ大型ボランチだ。

MF
浦 十藏(東福岡→神戸)
 50メートルを6秒で駆け抜けるスピードはプロの世界でも十分に通用する。鳥栖U-15時代に日本一を経験し、U-15日本代表候補に選出。高校2年次に東福岡に転校してからはレギュラーとしてプレーし、持ち前のスピードに加えてフィジカル面や守備力で大きな成長を示した。“最後の冬”は怪我で満足いくプレーができず、チームも自身が欠場した県予選の決勝で敗退。悔しさをバネに神戸でどんな活躍を見せるのか。チャンスを掴めれば一気にステップアップしたとしても不思議ではない。

【布陣図】2023年シーズン J1全18クラブのポジション別最新序列
 
MF
楢原慶輝(鳥栖U-18→鳥栖)
 バイエルンのセカンドチームに加入したU-18チーム時代の同期・福井太智と並んで、早くからクラブの期待を背負ってきたタレントだ。U-18では高校1年次から活躍。線の細さが課題だったが、食事の量や筋力トレーニングの見直しで当たり負けしないようになった。2種登録の昨季にトップデビュー済み。今季はサイドアタッカーとして定位置を掴めるか注目だ。

MF
保田堅心(大分U-18→大分)
 正確なキックでゲームを作る司令塔だ。鳥栖U-15から大分U-18に加わると、高度な戦術眼を発揮して評価を高めた。昨年9月のU-20アジアカップの予選ではU-19日本代表の一員としてプレーし、アジアの舞台で貴重な経験を積んでいる。昨季はトップチームで8試合に出場しており、今季はさらに出場機会を増やせるか。

FW
木村勇大(関西学院大→京都)
 フィジカル能力が高く、相手が複数人で来ても関係ない。なぎ倒して前に進んでいくパワーは迫力満点だ。空中戦に強く、高い打点のヘッドからゴールを奪う術も併せ持つ。特別指定の昨季はリーグ戦で1試合に出場し、ルヴァンカップでは得点を奪っている。9月には初めてU-21日本代表に招集されたが、U-21イタリア代表戦では何もできずに力の差を痛感させられた。国際レベルを知った男がプロ1年目にどんな活躍を見せるのか楽しみだ。
 
FW
大森真吾(順天堂大→札幌)
 東福岡高時代から才能を高く評価され、順天堂大では1年次から出場機会を掴んで才能が花開いた。ハードワークを怠らず、身体を張ったボールキープで攻撃の起点になれる。大学3年以降は怪我に悩まされる時期が長かったが、ポテンシャルは一級品。世代別代表からは久しく離れており、大岩ジャパンにも未招集。ポジション争いに割って入れれば、パリ五輪世代のストライカー争いに名を挙げたとしてもおかしくない。

FW
熊田直紀(FC東京U-18→FC東京)
 しなやかさと柔らかさを兼備するストライカーだ。FC東京U-15時代から体躯に恵まれ、フィジカルでは負け知らず。U-18に昇格してからも順調に成長を遂げ、高校3年次に2種登録されて4月にルヴァンカップに出場した。コンディションの影響で目立った活躍はまだできていないが、今年5月のU-20ワールドカップを目ざすチームでも期待されており、早期のアピールが待たれるところだ。

取材・文●松尾祐希(サッカーライター)

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