首位陥落のI神戸。ショックや焦りは? キャプテンの三宅は「後半戦で全チームに勝っていければいい」と泰然の構え【WEリーグ】
[WEリーグ第11節]ベレーザ 1−1 I神戸/3月19日/味の素フィールド西が丘
WEリーグは折り返し地点手前の第11節を迎えた。3位の日テレ・東京ヴェルディベレーザは、首位のINAC神戸レオネッサを味の素フィールド西が丘で迎え撃った。
現状、勝点6差でI神戸を追うベレーザにとって、直接対決で3ポイントを詰められるか、広げられるかは、逆転優勝に向けて死活問題。一方のI神戸も、勝点1差でピタリとつける2位の三菱重工浦和レッズレディースから首位の座を守るためにも、勝利を手にしたい。
この両チームは、1月末に行なわれた皇后杯決勝でも対戦し、その時はベレーザがI神戸を4−0で破っていた。試合後に「差があった」と口にしていたI神戸の三宅史織だが、「あの試合での『差』とは、自分たちがやりたいことができなかったり、簡単なミスを相手に決められたりしたところ。相手は上手い選手が揃っているが、もともとすごい差があるかと言えば、そうではない」(三宅)。
それを証明すべく、三宅らはベレーザの強力なアタッカー陣にしっかりと対応。ペナルティエリア付近までボールを持ち込まれても、ひるまない。「後ろにはヤマ(山下杏也加)がいるから、ファーを防いで、相手が狙ってくる股下も消して」(三宅)とコースを限定し、シュートをブロックする。前線も、皇后杯の後、再編成されたベレーザのビルドアップにプレッシャーをかけて、ミスを誘発すべくチャレンジも試みた。
皇后杯では圧倒的に不利な状況下で、最後まで失点を防ごうと試みていたGKの山下杏也加は「今日は、みんなが自信を持って自分のプレーをしようというのが、後ろから見ていても伝わった」という。山下自身も、クロスをがっちりと処理して、制空権を相手に許さなかった。前半は0−0。
後半に入り、時計が進むに連れて、どちらのチームにも疲労の色が出始める。67分、先手を取ったのはI神戸。ベレーザの守備網を縦に破った右SBの守屋都弥がクロスを上げると、中へ絞ってきた左SBの小山史乃観が、そこに合わせて先制点を奪った。
練習していた形でゴールを奪った小山は「まだ自分で上手くできているとは思わない。結果を求められているのは分かっているし、練習から合わせていきたい」と語る。
1点をリードしたI神戸は、完全な5バックでスペースを消し、守り倒しにいくのではなく、前半同様に積極的な守備を続けた。突破力のあるベレーザのフォワードとペナルティボックス周辺でやり合うリスクを消しながら、前半にも芽生えかけたショートカウンターの可能性を残した。
しかし、I神戸が決定的な2点目を奪う前に、次の1点は、82分、ベレーザにもたらされた。藤野あおばのコーナーキックに、キャプテン・村松智子が起死回生の同点ゴールをもたらす。山下が出ていけない位置に蹴った藤野のボールも、潜り込んで合わせた村松も素晴らしかったが、「I神戸のチーム全体で許した失点」と山下は受け止めた。
「マークがズレていた。(そこまでの流れで)ベレーザがニアのところを狙っていたので、(DFが)全体的に前目で防ごうとして、結果的に、ボールがそこを越えてしまった」
やや惜しまれるのは、このセットプレー直前に行なわれた、筒井梨香から井手ひなたへの交代か。ベレーザのアタッカーと懸命に渡り合った筒井の足が、すでに限界を迎えていたためだが、結果論を承知で言えば、少し引っ張り過ぎたか。
試合は、このまま1−1でタイムアップ。この一戦と同時刻に行なわれていたゲームで、浦和Lがノジマステラ神奈川相模原を3−1で下した。これによって浦和が、I神戸をかわして、首位に浮上した。
久しぶりに1位の座を明け渡したショックはないか。キャプテンの三宅は「自分は、後半戦で全チームに勝っていければいいと。直接対決が残っていなければ他力になってしまうけれど、まだ半分なので、そういう焦りはないかな。みんなはどう思っているのかな」。その表情には、ダメージや焦燥感は見られなかった。
取材・文●西森彰(フリーライター)
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