2023年5月24日(現地時間)、U-20ワールドカップを戦う日本代表がグループステージ第2戦でコロンビアと対戦。立ち上がりからボールを握られながらもセットプレーから山根のゴールで先制したが、後半の2失点で逆転負けを喫した。

 コロンビアでとりわけ目を引いたのが10番のアスプリージャだ。圧倒的なテクニックで違いを作り出し、決定的なチャンスを演出する姿は、ピッチの誰よりも輝いていた。また、アタッカーのアンヘルはここぞという場面でゴールを決めるなど、求められている仕事(得点)を完遂。勝負どころを見逃さず、彼らの能力を活かして畳み掛けたコロンビアの強さは本物だった。

 とはいえ、日本の戦いぶりがそこまで悪かったわけではない。前半は耐えるべき時間帯にチェイス・アンリを軸に守り切り、セットプレーのチャンスを活かして先制するなど、試合巧者にも映った。後半に入って右サイドを何度も崩されて2失点したのはいただけないが、終盤はセットプレーからPKを獲得し、他にもいくつか得点機を作れていたので「引き分けに持ち込めなくて残念」との見方もできた。

 では、日本とコロンビアの何が決定的に違ったか。それは単純に個の能力だろう。独力でサイドを切り崩す迫力、ゴール前でシュートに持ち込むセンス、そのいずれもコロンビアが明らかに上だった。終盤、何度か攻め上がった左サイドバックの松田が相手とのマッチアップで苦戦した点からも、個の能力の違いは感じ取れたはずだ。もちろん、チェイス・アンリなど1対1で戦えている選手もいたが、この試合の全体的な内容で判断すれば、個が勝負を分けた大きなファクターと言えたのではないか。
 

 象徴的だったのは、松木のPK失敗と決定機逸。1−2で迎えた83分、PKのチャンスで放った左足シュートはクロスバーを叩き、その後のヘディングシュートも惜しくもゴールにならなかった。これも言ってみれば、個の能力か。

 プロ2年目の松木は昨季よりも守備力が向上した印象で、FC東京の試合では90分間戦い抜けるフィジカルの強さも見せてくれている。シーズン前に本人が「ゴールとアシストにこだわりたい」とコメントしていたとおり、そこさえついてくればスーパーな選手に成長を遂げられるように感じるが、コロンビア戦では得点力という点で課題を突きつけられた印象がある。  

 決めるべきところで決めないと、一流への道は切り開けない。そう断言するのは大袈裟かもしれないが、いずれにしても、だ。残念ながら、コロンビア戦は“松木の日”ではなかった。

文●白鳥和洋(サッカーダイジェストTV編集長)

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