5月25日に神戸市内で行なわれたアンドレス・イニエスタの退団会見。ヴィッセル神戸公式YouTubeチャンネルでもライブ配信された本編のあと、メディア向けに約13分間の囲み会見が行なわれた。

 時間の関係で質問は4つ。

1)Jリーグ100年構想を見据えて成長していくために何が必要だと思うか。
2)退団はいつ頃から考えて、決断はいつだったのか。
3)自身がプレーすることで神戸の認知度やサッカー熱が高まったが、それをどう感じているか。
4)引退後にシャビ監督のバルセロナに加わる可能性はあるか。

 回答として興味深いのは2つ目の退団理由だった。

 ちなみに本編では「まだまだプレーを続け、ピッチで戦い続けたいという思いがあります。(中略)しかし、それぞれの歩む道が分かれはじめ、監督の優先順位も違うところにあるという風に感じられはじめました。(中略)最終的には自分の競技面での現実と、自分がプレーし続けることに対して感じている情熱を掛け合わせた結果、ここを去ることがベストの決断だということをクラブと話し合いながら決めました」と話している。
 
 そして囲み取材では、これをさらに深掘りした回答になっている。

「(退団に関して)もちろん、1日や2日で決めたことではなく、じっくり考えてきたことです。サッカーを続ける限り、引退の日付が近づいてくるのは誰しもが同じ。人生も同じです。その中でこのチームを去るべきタイミングについて考えはじめたのは昨シーズンの終わりや、今シーズンが始まった時などいろいろな局面がありましたけど、ここ数か月は一番考えた時でした」

 ここ数か月。コンディション面について記者陣から質問されたイニエスタは「コンディションは整っている。使うか使わないかは監督が決めること」と答えていた。囲み会見では続けている。

「自分としてはプレーを続けたい。そのためにコンディションを整えてきたつもりではある。ただ、現実として自分がプレーできないというところで、もちろん監督が……。自分がそう思っているというよりは、現実としてプレーできてこなかったので、そのことに関しては一つの要因(退団理由)だったことは間違いないです。プレーを続けたいという思いで、この決断に至りました(以後、省略)」

 今シーズンのイニエスタはここまでJ1リーグ3試合で計38分間、ルヴァンカップ2試合で計47分間の出場にとどまっている。本編では「リスペクトを持って、その現実を受け入れました」と語っていたが、「コンディションを整えてきた」という自負もあり、なかなか受け入れがたい現実だったのかもしれない。

取材・文●白井邦彦(フリーライター)

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