[U-20W杯]日本 1−2 コロンビア/5月24日/ラ・プラタ・スタジアム

「未知との遭遇」

 大会前から冨樫剛一監督は、度々このワードを口にしていた。アジアの戦いでは決して味わえない。親善試合で経験したとしても、ワールドカップはまた別物。世界で戦う難しさを知る場として、コロンビア戦は最高の場だった。

 現地時間5月24日、アルゼンチンで開催されているU-20ワールドカップのグループステージ(GS)第2節。日本はコロンビアに1−2で敗れた。勝てばGS突破が決まるなか、苦しみながら奪った前半のゴールを守り切れず、後半の立ち上がりに連続失点。最終盤に猛攻を仕掛けたが、松木玖生(FC東京)のPK失敗も響いて、軍門に降った。

 コロンビア戦では、初戦のセネガル戦(1−0)から先発を1人変更。山根陸(横浜)をボランチで起用し、1戦目で同ポジションを任されていた佐野航大(岡山)が右サイドハーフに回った。

 しかし、初戦と同じくボールを握れない。昨年5月のモーリスリベロ国際大会で戦った時以上の圧があった。もちろん、相手のメンバーが半分以上、入れ替わっており、一概に比較できないが、ワールドカップという大舞台で本気モードのコロンビアからは随所にプレーの迫力を感じさせられた。

 実際に90分を通じて、日本の時間は最終盤以外ほとんどなかった。相手の攻撃を跳ね返すのが精一杯。「引いてしまう場面も多かった」と松木が話した通り、ボールを受けたとしてもプレッシャーに屈して後ろに戻すシーンが目立った。試合を振り返り、選手たちも力の差を痛感させられたと話す。

「迫力のあるプレッシングもあったし、球際の部分は南米特有の足が伸びてくる感じ。そこは困ってしまった部分で、そういった相手に勝たないとこの大会(で世界一)は獲れない」(福井太智/バイエルン)

「ワールドカップは局面で剥がせる選手や強さを持っている選手ばかり。ここはアジアの戦いではない。改めてそういった際の部分やデュエルに関して、自分たちはまだまだでした」(山根)
 
 セネガル戦も含め、今大会において日本が逃げずにボールを繋げた時間帯はほとんどない。だからこそ、この2試合で露呈した課題はイスラエルとの最終戦までに修正すべきだろう。中2日しかないが、“未知との遭遇で得た気づき”を活かさなければ、目標に掲げる世界一には辿り着けない。

 その一方でポジティブな材料もあった。最終盤に攻勢を仕掛けられたこと。80分以降は1−2の状況をひっくり返すべく、アグレッシブに何度も仕掛けた。左サイドバックの松田隼風(水戸)から良いクロスが入り、もう一歩でゴールという場面も作れている。臆さずにアタックできれば、世界の強豪とも渡り合えるはずだ。

「今日で終わりじゃないので、次の試合で、課題をプラスに捉えて勝てるように頑張りたい」とは福井の言葉。現時点で1勝1敗の勝点3。2位につけており、イスラエルとの最終戦に勝てば、自力でノックアウトステージ進出を決められる。

 万が一、ドロー以下に終わってもグループ3位の上位4か国に入れば、勝ち抜けは可能。課題は多いが、日本は優位な状況にある。ヨーロッパ2位のイスラエルもコレクティブで強敵だが、これまでの経験が次に活かされれば、コロンビア戦の敗戦は決して無駄ではない。

取材・文●松尾祐希(サッカーライター)

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