元Jリーガーの鄭大世氏がJリーグ30周年記念企画として公式YouTubeチャンネル『サッカーダイジェストTV』で歴代最強イレブンを選出。尊敬できるチーメイト、さらに対戦して嫌だった選手を中心に11人をピックアップしてくれた。

 採用システムは4-3-3で、最後尾に配置したのはワールドカップ参戦歴4回の川島永嗣。良い意味で「プライドが高く、完璧主義者。永嗣さんが来てから川崎フロンターレは優勝争いができるようになった」と鄭大世氏は称賛していた。

 4バックの2CBに選んだのは、「対戦して足元にも及ばなかった。空中戦は最強」という中澤佑二と「相手を背負いながらボールを奪う術が凄かった」田中マルクス闘莉王だ。闘莉王とのマッチアップで鄭大世氏が今なお忘れられないのが、2007年くらいの試合で競り合った直後「お前、誰だよ!」と闘莉王に怒鳴られたこと。「そういうのを僕は根にもつタイプなので(笑)」と鄭大世氏は笑みを浮かべながら振り返った。

 左サイドバックは「守備力が半端ない」佐々木翔で、右サイドバックは川崎時代のチームメイトだった森勇介。森について鄭大世氏は「三笘ステップ(内側に構えてから縦に行くドリブル)を当時からやっていたのが森さんで、縦への突破からのクロスの質が高くて、さらにサッカーI Qもめちゃくちゃ高い」と、リスペクトを込めて語っていた。
 

 アンカーは、森と同じく川崎のチームメイトだった中村憲剛。「憲剛さんは結構言うタイプで(笑)、僕も『そこでキープしないでどこでキープするんだよ!』って言われましたから(笑)。僕はそこで萎縮するので、あまり言ってほしくなかったんですけど(笑)」と想起する鄭大世氏も、中村の教えがなければサッカー選手として大成しなかった点で当然ながら彼のことを尊敬している。

 インサイドハーフのふたりは「天才。センスの塊」である小野伸二と「ひと言でレジェンド。プレースキックひとつだけ見ても脅威だった」中村俊輔である。そして3トップは、「感情的な波もプレーの粗さもない」三笘薫、「スピードに乗ったら絶対に止められない。まるでチーターみたい」なエメルソン、「点を取ることも、味方に取らせることもできる」ジュニーニョという顔ぶれだった。

 そんな豪華な11人の中で鄭大世氏がマイベストプレーヤーにピックアップしたのは中村憲剛である。

「見向きもされない大学時代から、J2の川崎に入って、そこでクラブの黄金時代を謳歌する。サクセスストーリーとして見た場合、憲剛さんは別格。Jリーグに多くのものを還元した意味でも、マイベストプレーヤーは憲剛さんですね」

 中村憲剛への深い愛を感じるコメントでもあった。

【動画】鄭大世が選ぶJリーグ歴代最強イレブン

取材・文●白鳥和洋(サッカーダイジェストTV編集長)