期待せずにはいられない。パリ五輪への大事な初戦、松木玖生は気合十分「チームを引っ張っていけるようにしたい」
逆境に強い男が、虎視眈々と主役の座を狙っている。
来夏のパリ五輪出場を目ざすU-22日本代表が、来年3月に行なわれるU-23アジアカップの予選に挑む。
U-23アジア杯では上位3チーム(4位はアフリカ4位のチームとのプレーオフに回る)にパリ五輪の出場権が与えられるため、バーレーンで開催される今回のコンペディションは実質1次予選に相当する。大岩剛監督率いるU-22日本代表は、現地時間9月4日の夜から本格的にトレーニングを行なった。
所属クラブの試合の関係で、全員が揃うのは初戦(6日のパキスタン戦)前日の5日になるが、13名の選手たちは限られた人数でメニューを消化。1時間半ほどの練習では気候に身体を慣らしつつ、2日後に迫るパキスタン戦に向けてコンディションを整えた。
そのなかで初戦に向けて並々ならぬ意欲を持つ選手がいる。FC東京のMF松木玖生だ。
松木は4日の夜に福岡とのゲームを終え、そのままチームメイトのCB木村誠二とGK野澤大志ブランドンとともに、夜中の便で日本を発つ強行軍。機内では疲労を考慮されてビジネスクラスで移動したというが、さすがに4日の練習では疲れを感じさせる表情を見せていた。
だが、この男に期待せずにはいられない。どんな状況でも全力を出せるタイプであり、苦しければ苦しいほど頼りになるからだ。言動からもそれが滲み出る。
「バーレーンは温度もすごく高くて暑い。コンディションを整えていくのは難しいけど、それを言い訳にはできない。こういった環境を自らモノにできるように、残された時間で良い状況を作っていきたい」
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今予選の開催地であるバーレーンは酷暑で、日中は40度近くまで気温が上がる。夜でも30度を下回らず、湿度は70パーセント前後。1、2試合目は21時キックオフ、3試合目は18時半キックオフと陽が落ちてからの試合になるが、不快指数はかなり高いなかでの戦いを余儀なくされる。
厳しい環境下で中2日の連戦。タフな戦いになるのは間違いない。そうしたなかで松木が持っているタフさや勝負強さは活かされるはず。高校時代から最大の武器は「メンタル」と言い切っていただけに、松木の真骨頂を発揮するには最高の場だろう。
U-20日本代表の活動を優先していたため、パリ五輪世代のチームでプレーするのは昨年6月のU-23アジア杯以来となる。連係面で不安もあるが、他のインサイドハーフの選手たちが5日入りになっている点を踏まえれば、1日早めに現地入りしている松木にかかる期待は大きい。
本人も初戦に向けて意欲を示しており、パキスタン戦で自身がどのような役割を担うべきか理解しているつもりだ。
「ここでやんなきゃみたいな(気持ちはある)。いつも以上に自分がもっと要求して、大岩さんからも『リーダーシップを活かしてほしい』と(ふたりで話した時に)言われたので、パキスタン戦はチームを引っ張っていけるようにして、しっかり見せつけたい」
4日のトレーニングではチームメイトの野澤が宿舎で調整した一方で、松木は木村とともにピッチに登場。最初のウォーミングアップ以降は別メニューでジョギングだけで終わったものの、感覚を確かめるようにしながら汗を流した。
5月下旬のU-20ワールドカップでは、キャプテンを務めながらチームはグループステージで敗退。あの悔しさは今も忘れていない。
再び日の丸を背負う松木は、アジアの舞台でどんなプレーを見せてくれるのか。「気持ちで絶対に負けてはいけない」と言い切る俊英の一挙手一投足から目が離せない。
取材・文●松尾祐希(サッカーライター)
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