今シーズンのJ1リーグは、かつてないほど各クラブの力が拮抗している。

 第25節は象徴的だった。首位を走る横浜F・マリノスが、残留争いの最中にある横浜FCに1−4で完敗。同じく優勝を争うヴィッセル神戸はFC東京に引き分け、名古屋グランパスもセレッソ大阪に敗れた。
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 第26節も、残留争いをする柏レイソルが横浜FMを撃破。同じ下位の横浜FC、湘南ベルマーレが、それぞれ3位の名古屋と引き分け、5位の鹿島と引き分けた。

 下剋上の様相を呈している。

 戦力や経験で言えば、横浜FⅯがリードしているだろう。しかし、アンジェ・ポステコグルーの遺産を使い果たし、サッカーが大味になってしまい、結局、アンデルソン・ロペスに依存するところが多くなった。攻撃が大味で、緩急の変化やアクセントをつける動きが少なくなり、守備をこじ開けられない。カウンターやパワープレー一辺倒になっているのだ。

 神戸も、大迫勇也一人が戦術を担う比重が高い。ともかく、彼にボールを蹴れば、どうにか収めてもらえる。相手ボールになっても、前線から圧力をかけるだけで相手は浮つくだけに、他の元日本代表選手たちの「個人」で上回れる。しかし個人の色が強く、チームとしての仕組みのようなものはなく、どうしても場当たり的になる。

 率直に言って、本命不在だ。
 これはJリーグからの人材流出が一因だろう。監督、選手と優秀な人材を維持するのが難しくなっている。急速な円安もあって、欧米のクラブと経済力で太刀打ちできない。選手自身も、魅力的なオファーを受けざるを得ないだろう。なぜならヨーロッパで門戸を開き、そこで活躍することで、より高いレベルでプレーできるからだ。

 80人前後の日本人選手が海を渡っている状況で、戦力差がつきにくい。

 一方で、外国人選手の人材も一部を除くと限られる。良く言えば老練、悪く言えばロートル。爆発的に飛躍しそうな新鋭や旬のプレーヤーは少なくなった。ただ、以前にも書いたが、必要以上に悲観することもない。

 Jリーグの日本人選手に、より試合に出る機会は与えられる。その経験を触媒に成長できる。実際、海を渡っている選手たちは状況を生かし、勇躍していっているのだ。

 海の向こうから戻って来た選手たちもいる。浦和レッズの酒井宏樹はJリーグ最高の右サイドバックだし、神戸の大迫、武藤嘉紀はフィットし、セレッソの香川真司も経験も伝え、アクセントに。新たに柴崎岳も古巣・鹿島に戻るという。

 去る者もいるが、戻ってくる者もいる。行き来するサイクルを止めないことが、日本サッカーの成長につながるのだ。

文●小宮良之

【著者プロフィール】
こみや・よしゆき/1972年、横浜市生まれ。大学在学中にスペインのサラマンカ大に留学。2001年にバルセロナへ渡りジャーナリストに。選手のみならず、サッカーに全てを注ぐ男の生き様を数多く描写する。『選ばれし者への挑戦状 誇り高きフットボール奇論』、『FUTBOL TEATRO ラ・リーガ劇場』(いずれも東邦出版)など多数の書籍を出版。2018年3月に『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューを果たし、2020年12月には新作『氷上のフェニックス』が上梓された。

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