U-20ワールドカップで味わった悔しさは忘れてはいない。川崎で技を磨く若きCBが、虎視眈々と出場機会を狙っている。

 来年4月中旬の本大会出場を懸けたU-23アジアカップ予選。パリ五輪の一次予選を兼ねる大会で、大岩剛監督が率いるU-22日本代表は、現地9月6日の初戦でパキスタンに6−0で快勝して好スタートを切った。

 中2日で迎える9日の第2戦はパレスチナが相手。初戦でホスト国バーレーンを終了間際の一撃で下しており、タフに戦ってくるスタイルは侮れない。試合前日となった8日のトレーニングは冒頭15分のみ公開。誰がスタメンに名を連ねるか不明だが、次戦で期待したいのがCBの高井幸大(川崎)だ。

 今回のメンバーでは最年少となる04年生まれの世代で、大岩ジャパンには初招集。4日に19歳を迎えたばかりの若武者だが、CB陣の中では唯一、J1で継続して出場機会を得ている。今大会の活躍次第では今後も代表に招集される可能性があり、自身の未来を切り開くチャンスだ。

 そんな高井だが、全試合に出場した今年5月のU-20ワールドカップでは苦い経験をした。1勝1敗で迎えたグループステージ第3戦のイスラエル戦。引き分け以上でノックアウトステージに進出できる状況だったが、1点リードで迎えた終盤に2失点し、無念の敗退を味わった。

 高井は本職ではない右SBでのプレーだったとはいえ、後半アディショナルタイムに許した逆転弾の場面では、最終ラインを押し上げられず失点に関与。3試合を通じてのパフォーマンスも低調な出来に終わり、世界で戦うために何をすべきかを考えさせられる大会になった。

 高井は言う。

「単純に日本の組織力は凄いけど、その一方で1対1の局面はウィークだと感じた。まずは目の前の相手に負けない。サッカーの根本的なところだけど、そこが自分に足りなかった」
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 川崎に戻ってからは“デュエル”を意識して日々を過ごしてきた。ワールドカップ後はクラブに合流した後の2試合は欠場したものの、以降はCBのレギュラーとしてプレー。ジェジエウなどCBに怪我人が相次いだ影響もあるが、プロ2年目の今季はここまで13試合に出場しており、相手に怯まずに戦えるようになってきた。

「試合に出た時はかなり失点が多い。自分のところからやられているシーンがあるので、まだまだかなと思う」

 なかなかチームの勝利に貢献できておらず、悔しさを滲ませるが、毎週のようにJ1の舞台で戦えているのは財産だ。屈強なストライカーと対峙した経験を活かしながら、今回の予選では大岩監督の信頼を掴んで代表定着を狙う。

「チームの勝ちにこだわってやりたい。とにかく、守備の選手なのでまずはゼロで終わらせて、自分の特長でもある攻撃面でも見せていければ、自ずと良い結果が出る」

 再び、悔しい想いを味わうわけにはいかない。成長した姿を見せるべく、高井はアジアの戦いに身を投じる。

取材・文●松尾祐希(フリーライター)

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