[U-23アジア杯予選]日本 1−0 パレスチナ/9月9日/Sheikh Ali Bin Mohammed Al Khalifa Stadium

 来夏に開催されるパリ五輪の一次予選を兼ねたU-23アジアカップ予選の第2戦目で、U-22日本代表はU-22パレスチナ代表と対戦。1−0で勝利した。本稿では、現地の取材記者によるチームや選手、監督の採点・寸評をお届けする。

※MAN OF THE MATCH=取材記者が選定するこの試合の最優秀選手。
※採点は10点満点で「6」を及第点とし、「0.5」刻みで評価。
※出場時間が15分未満の選手は原則採点なし。

【U-22日本代表・総評】
採点「6」

 6−0で快勝したパキスタンとの初戦から、フィールドプレーヤーの先発を総入れ替えで臨み、勝点3を獲得する最低限のミッションは遂行した。

 しかし、試合の内容は低調。立ち上がりの15分は相手の圧に屈し、押し込まれる場面が目立つ。とりわけ最初の5分はセットプレーや相手の9番の強引な突破からピンチを迎えるなど、試合の入りに課題を残した。

 それでも23分、山本理仁のスルーパスで右サイドを抜け出した小田裕太郎のクロスを、中央にいた藤尾翔太が右足で合わせて、均衡を破る。

 先制点以降は落ち着きを取り戻したが、パスミスが目立ち、決定機を作るまでには至らず。右の小田、左の平河悠が果敢にサイドで仕掛けたが、最後のクオリティが足りず、追加点を奪えなかった。

 この日はセットプレーもハマらず、中2日で迎えるバーレーンとの最終戦に向けて改善すべきポイントになった。
 
【個人採点・寸評】
GK
1 鈴木彩艶 6
最後まで集中力を切らさず。時折あったミドルシュートも無難に処理し、クロスに対する対応もさすがだった。攻撃時はビルドアップに加わり、低弾道のパントキックも効果的だった。

DF
5 木村誠二 6
大岩ジャパン初出場の高井をリードしながら、最終ラインを統率。肉弾戦を得意とする相手の9番に対しても身体を張った守りで未然にピンチを阻止した。あとはセットプレーから何度かあった好機を決めていれば...。

DF
15 畑大雅 5.5
大外からオーバーラップをするだけではなく、右ウイングの小田を活かすべく内側にもポジションを取る。ただ、クロスの精度が今ひとつで、決定的な仕事をするまでには至らず。

DF
17 中野伸哉 6(82分OUT)
カウンターのリスクマネジメントをしつつ、積極的に攻撃に関与。左ウイングの平河との連係で左サイドを攻略する場面もあった。その一方でクロスを上げる回数が少なく、もう少し自ら仕掛けても良かったか。

DF
22 高井幸大 6
序盤は浮き球のボールに対する処理が不安定だったが、時間の経過とともに落ち着き取り戻す。空いたスペースにボールを運び、鋭い縦パスから攻撃のスイッチを入れる場面も。

MF
6 川﨑颯太 6
セカンドボールを回収しつつ、ビルドアップ時にはCBを助けるように適時ディフェンスラインに降りてボールを捌く。ただ、どちらかと言えば無難なプレーが多かった印象で、もっとチャレンジする姿勢を見たい。

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MF
7 山本理仁 6(75分OUT)
タイミングの良いスルーパスで先制点の起点になるなど、試合を通じてボール回しの中心を担う。しかし、序盤を含めて、苦しい時間帯のゲームコントロールに課題を残した。

MF
10 鈴木唯人 5.5(75分OUT)
ボールフィーリングが悪く、パスを収められない場面が目立った。ドリブルで運ぶシーンもあったが、相手に引っかかる回数が多く、得意の推進力を発揮して決定的に絡むプレーはほとんど見られなかった。

MF
13 平河悠 6.5
ボールをアグレッシブに呼び込み、左サイドから単騎で仕掛けて局面を打開。ゴールに結びつかなかったが、臆さずに何度もトライしていく姿勢はポジティブだった。

FW
19 小田裕太郎 6(82分OUT)
重馬場のピッチでも馬力を活かした突破でチャンスに絡み、先制点の場面では正確なクロスで藤尾のゴールをお膳立て。その一方でゴールへの意識がやや物足りず、シュートを放つ積極性がもう少し欲しかった。

FW
9 藤尾翔太 6.5(87分OUT)MOM
身体を張ったポストワークとチェイシングで存在感を発揮。先制点の場面ではニアサイドでしっかりポジションを取り、流れを引き寄せる一撃を決めた。マン・オブ・ザ・マッチ。
 
[交代出場]
MF
8 藤田譲瑠チマ 6.5(75分IN)
アンカーのポジションでボールを拾いつつ、上手くボールを散らしてゲームを組み立てる。インサイドハーフとの距離感も良く、攻撃にリズムを生み出した。

MF
14 三戸舜介 6.5(75分IN)
小気味良いドリブル突破や正確なパスでチャンスメイク。2列目から最前線に飛び出す場面もあり、ゴール前で相手に怖さを与えた。

DF
2 内野貴史 採点なし(82分IN)
右SBに入り、ゲームをクローズさせる役割を担う。集中力を切らさず、最後まで味方に声をかけながらタフに戦った。

MF
20 山田楓喜 採点なし(82分IN)
セットプレーで見せ場を作る。正確な左足のキックで木村の頭に合わせるなど、CKからチャンスを演出。守備面でも献身的にボールを追うなど、限られた時間でタスクを全うした。

FW
11 細谷真大 採点なし(87分IN)
最終盤の苦しい時間帯に背中でパスコースを消しながら、前線からプレスをかけ続ける。攻撃でもラストプレーでショートカウンターからシュートを放ち、最後まで貪欲にゴールを目ざした。

監督
大岩剛 6
相手の情報が乏しいなか、フィールドプレーヤーを総入れ替えして勝利を掴んだ点はプラス材料。選手の疲労度を見ながら交代のカードを切るなど、チームマネジメントも的確だった。

取材・文●松尾祐希(フリーライター)

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