[国際親善試合]日本 4−2 トルコ/9月13日/セゲカ・アレーナ

 日本代表は国際親善試合でトルコ代表と対戦し、4−2で勝利した。森保ジャパンは15分に伊藤敦樹のミドル弾で先制点すると、28分と36分に中村敬斗が追加点を挙げ、3点差に。その後に2失点も、78分に背後へ抜け出した伊東純也がPKを奪取。これを伊東が落ち着いて決め切った。9日のドイツ戦も4−1で完勝と、日本は今回の欧州遠征を連勝で締めくくった。

 ドイツ戦からスタメンを大幅に入れ替えながらも勝利を掴んだ一戦を、現役時代は鹿島アントラーズや日本代表で活躍した本田泰人氏はどう評価したか。

 森保ジャパンの出場17選手と監督の採点&総評は以下のとおりだ。

【先発】
GK
中村航輔 5.5
(45+3分→シュミット・ダニエル 5.5)

DF
毎熊晟矢 6.5
(HT→橋岡大樹 5)
谷口彰悟 5.5
町田浩樹 5.5
(79分→冨安健洋 7)
伊藤洋輝 6

MF
伊藤敦樹 6.5
(64分→遠藤航 7)
田中碧 5
堂安律 5
(HT→伊東純也 7.5)
久保建英 7
中村敬斗 6.5
(HT→前田大然 6)

FW
古橋亨梧 6

監督
森保一 6

※採点は10点満点で「6」を及第点とし、「0.5」刻みで評価。

――◆――◆――
 
 圧倒的な差こそ感じなかったとはいえ、欧州屈指のタレントを擁するドイツに対し、トルコは日本よりも格下だ。今の森保ジャパンの実力を考えたら、もっと余裕を見せつけたうえで勝ってほしかったね。

 トルコ戦で、日本はドイツ戦からスタメン10人を入れ替えた。サイドバックは人材不足なのだから、代表経験の少ない森下龍矢に経験を積ませれば良いのに、なぜ伊藤洋輝だけ2戦連続で先発起用したのか理解に苦しむ。

 伊藤敦樹が鮮やかなミドルシュートで代表初ゴールを決め、中村敬斗も2ゴールを奪うなど、日本は“急造チーム”ながらテンポの良いパスワークからの崩しでトルコを圧倒した。そのままの勢いが続いていれば良かったが、徐々にトルコにペースを握られてしまった点はいただけない。

 要因は、フィジカルの強さを活かした相手の圧力に押されて、日本の最終ラインがズルズルと下がりすぎたから。センターバックの谷口彰悟と町田浩樹はもっと1対1の局面で耐えるべきだった。背後のスペースも簡単に取られすぎだ。

【PHOTO】日本代表のトルコ戦出場17選手&監督の採点・寸評。2人が7点台の高評価。MOMは2ゴールの13番
 ボランチでコンビを組んだ伊藤敦樹と田中碧はトルコのプレッシャーをいなせず、慌ててプレーしていたように見えた。森保一監督は多くの選手にチャンスを与えながら勝利に導いたが、ボランチの組み合わせを再考する必要があったんじゃないかな。

 代表経験の少ない選手で構成されたスタメンのなかで、ベテランの谷口とキャプテンマークを巻いた田中はもっとチームをコーチングして“締めて”ほしかった。彼らがもっと全体をコントロールできていたら、ハーフタイムでベンチに下がった毎熊晟矢や堂安律、中村らはもっとプレー時間が増えていただろう。

 キーパーの中村航輔は怪我による交代で不運としか言いようがない。

 新戦力としてアピールに成功したのは、鮮やかなミドルで代表初ゴールを決めた伊藤敦と、右サイドバックで精力的な動きを見せた毎熊だ。中村は2得点を奪ったが、他の場面で違いを見せられなかった。ウインガーならもっと守備で貢献しないと、スタメンの座を掴むのは厳しいだろう。
 
 攻撃陣で、誰よりも違いを見せたのは久保建英だ。古橋亨梧の動き出しに合わせてパスを出せていたし、何より彼がボールを持つとチームが落ち着く。周りにコーチングしながらひとりで攻撃をリードしていた。一方、堂安はあまり見せ場を作れなかった。本来、10番は試合を決めるのが仕事だが、トルコ戦に限れば久保こそが10番にふさわしい働きだったと言える。

 後半からピッチに立った選手では、伊東純也、遠藤航、冨安健洋が別格の存在感を放った。

 この3人がピッチにいるだけで、他の選手は安心してプレーできる雰囲気が生まれる。守備陣がハイラインを保てるから、中盤が締まる。

 彼らが入るまで、日本はゴールこそ奪えていたものの、どこかワクワクしなかったのは、久保以外でチームをコントロールできる選手がいなかったからだろう。

 どんな試合も負けてはいけないが、ただ勝てばいいというわけでもない。強化試合なのだから、もっと新戦力がアピールしてほしかった。前田大然、橋岡大樹、シュミット・ダニエルなど、欧州で活躍する選手もアピール不足。レギュラー組とサブ組の差を露呈する試合となったね。

【著者プロフィール】
本田泰人(ほんだ・やすと)/1969年6月25日生まれ、福岡県出身。帝京高―本田技研―鹿島。日本代表29試合・1得点。J1通算328試合・4得点。現役時代は鹿島のキャプテンを務め、強烈なリーダーシップとハードなプレースタイルで“常勝軍団”の礎を築く。2000年の三冠など多くのタイトル獲得に貢献した。2006年の引退後は、解説者や指導者として幅広く活動中。スポーツ振興団体『FOOT FIELD JAPAN』代表。

「前にタレントが多い」遠藤航がドイツ戦で選手層の厚さを実感! 好調に繋がった“日本人らしくない”メンタリティ

「強すぎるだろ」日本に完敗→監督解任のドイツがフランスを2−1撃破!「見えてきたよ、希望の光ってやつが」「かつてないほどの幸せ」などファン大喜び!

「なんたる爆発力だ!」“4戦18発”を叩き出した森保ジャパンに韓国メディアから感嘆の声!「継続した強化が実を結んでいる」